9. 「親しさ」とグリーンスムージー

糸井

あとね、これも漠然とした話になるけど、
つまらないものっていうのは
「親しさ」がないんだよ。

岩田

「親しさ」。

糸井

そう。つまり、
宮本さんや岩田さんと俺のあいだで、
「そうでございますか?」
って言う必要ないじゃない。
「バカだねぇ」って言えるじゃない。

宮本

うん。

糸井

そういうときは、
互いに交換するものが、たくさんあるんだよ。
重たいものとか長いものもやり取りできる。
それこそ、おコゲみたいなものもね。
でも、そこに親しさがなかったら、
「失礼があったらなんですけど」ってことになって。

岩田

あー、はいはい(笑)。

宮本

そうですよね、それは。

糸井

渡せるものが限られちゃうんですよ。
だから、「親しさ」があるっていうのは、
交通量を増やすというのかな、
乱暴にいろんなことがやり取りできるぶん、
豊かなんですよ。広がるんですよ。

岩田

なるほど。

糸井

で、どうしてそういうふうに思ったかというと、
最近、俺はグリーンスムージーに凝っててね。
その、果物と野菜をミキサーで
ガーーーーーーーッとやって飲むやつさ。

宮本

はぁ。

岩田

ほぉ。

糸井

ま、すぐに飽きるかもしれないけど、
1カ月近く、飲んでるんですよ、それを。

宮本

ふーん。

岩田

ほー。

糸井

で、そのグリーンスムージーをつくるために
毎朝、ガーーーーーーーッとやってて、
ちょっと驚いたことはね、
キウイって、皮をむかなくても大丈夫なんだよ。
両端のヘタみたいなところは落とすけど。
全体の皮はついたまま入れちゃう。

岩田

皮ごと。

宮本

ほお。

糸井

りんごもそのまま放り込めるし、
ショウガなんかもそのままバーンと放り込める。
みかんなんかも、どうぞそのまま・・・なんだけど、
どういうわけか、俺、
みかんだけは皮むいちゃうんだ。

岩田

はははははは。

宮本

はははははは。

糸井

いや、その、みかんの話は別だけど、
なにが言いたかったかというと、
その、ミキサーにさ、
キウイを皮ごと放り込むときの気持ち、
あとでどうせドロドロのスムージーになるんだし、
っていうつもりで、こう、
どんどん放り込んでるときの、その・・・親しみ?

一同

(笑)

糸井

どんどん放り込める「親しさ」があるから、
グリーンスムージーを毎朝準備できるんだよ。
あれが、キウイもりんごも皮をむいてください、
ってなったら、やりゃぁしないよ、たぶん。

岩田

ははは。

糸井

あ、だからね、みかんの皮をむいてるときの俺は、
ちょっと、グリーンスムージーに対して、
水くさいなと思うんですよ。

宮本

うん(笑)。

岩田

「親しさ」が足りないんですね。

糸井

そうそう。
それとか、バナナの白いスジを、
ついついクセでちょっと取っちゃったりね。
もし俺がミキサーだったらさ、
「そこは自分が引き受けますから」って
言いたくなると思うよ。

岩田

つまり、会議やアイデアに「親しさ」があれば、
どんどん放り込んで、おもしろくなっていく、と。

糸井

そうです!

宮本

うん(笑)。

糸井

っていうような、この話だってさ、
岩田さんと宮本さんと俺が
親しいから言えるんであって、
「任天堂さんはずっと京都なんですね」
っていうような関係だったらさ、
言わないよ、こんな、グリーンスムージーの話なんて!

一同

(笑)