あれ？ 今日はこういう話でいいんでしたっけ？
クリエイティブについて、みたいなことになってるけど。

大丈夫です（笑）。
べつに、特定の商品にフォーカスしなくても、
糸井さんを交えて、
宮本さんのものづくりの話ができればいいわけで。

あ、じゃあ、してるね。

ずっと「必死」でやってるという（笑）。

それと、今日の話って、
いろんなことの原則についての話ですから、
すごく汎用性が高いと思うんです。
たとえば、ちょっと言いかえると、
なぜ『マリオ』や『ゼルダ』が
２５周年を世界中のファンのみなさんから
祝ってもらえるような存在になれたのか、
っていうふうにも受け取れると思いますし。

そうだねぇ。
長持ちするものね、宮本さんのクリエイティブは。

なぜ長持ちしたかっていうことの本質が
今日、こうして語っているようなことだと思うんですよ。
だって、ふつうに考えたら、
世界一売れたゲームソフトをつくったチームが
２５年も続かないと思うんですよ。

うん。

なぜ２５年後もこうやってつくり続けていて、
初心を維持し続けていられるのはどうしてなんだろう、
っていうことの回答がここにあるというか。

あ、じゃあ、もう、
答えをしゃべってたようなもんじゃない。

そうなんです（笑）。
その答えをずーっとしゃべってたような話。

うん。
さっき宮本さんもおっしゃったけど、
根本的には「必死」だからですよね。

そうですねぇ（笑）。
端的にいうと、だいたい、昼休みの話題は
「これじゃあかん」っていうところからはじまりますから。

「宮本さん、えらいことになってます」と。

そうそう（笑）。

ふふふふふ。

ふつうはね、「えらいことになってます」って、
困りきった顔で言うものですよ。
ところが、そう言う中郷さんたちには、
どこかしら、うれしそうなところがありますからね。
だから、さっきの野球の話でたとえると、
バッターが打席に立って、バットを振ったら、
内野ゴロになってしまった、と。

はいはい。

で、打者が内野ゴロ打った途端に、
ベンチで見ていた中郷さんがちょっとうれしそうな顔で
「えらいことになってますわ」と。

「しかもツーアウトです」みたいな（笑）。

というときに、
その内野ゴロを今からどうやってヒットにするか、
みたいなことを宮本さんたちは必死で話してる。

ちょっと、審判に言うてこい、って。

（笑）

いや、ほんとそんな感じです。

うん、まったくそうだね。
そして、だからこそ、「必死」が基本なんだよね。
無理に野球になぞらえるつもりはないけど、
内野ゴロでも全力疾走しとかなきゃ。

うん。そこは、プロかアマチュアか、
みたいなことじゃないですよね。

そう、おんなじおんなじ。必死で走らなきゃ。
サボるときはサボっていいって言ってるんだから。

そうそう。

サボるのはいいっていうのと、
いつも必死じゃなきゃあかんっていうのが、
矛盾しませんか？ っていう質問が
読んでいる方から寄せられそうですが・・・。

あ、はいはーい（生徒のように手を挙げる）。

はい、じゃあ、糸井さん、お願いします。

それは、相田みつをさん^（※6）が言っています。
「にんげんだもの」。

（笑）

「にんげんだもの」（笑）。

つまり、そんな必死のままだと
一生を送れないんだよ。

ずっとは。

ずっとは送れないんだよ。
だけど、バッターボックスに立ったときと、
立ってないときは、絶対違うんでね。

自分の打順が来たときは必死になれ。

そう。
あと、レギュラー目前の代打要員、みたいな人は、
ベンチでもずっと必死であるべきですよね。
そこのメリハリがわかったうえでできてないと。

うん。

うん、うん。