糸井
まぁ、土日にかぎらず、
何曜日でもいいんですけど、
カギは、ひとりぼっちでいることですよね。
岩田
ひとりで考える、ということですか?
糸井
うん。
宮本
そうですねぇ。
糸井
それはね、いいことでも、悪いことでも。
あのね、これは、ある会社の話なんですけど、
全社員が一丸となってがんばって危機を乗り切った、
ということがあったんですって。
で、そういうときは、みんなが前向きで元気なんです。
ところが、メンタルのカウンセリングを受けたら、
実際は、みんな、ぎりぎりの状態で、
全員、精神的に参っちゃう寸前だった。
岩田
ああ。
糸井
ほんとうに元気で健康な人はいなかったんです。
でも、なぜあんなに元気でいられたかというと、
そのメンタルの専門家が言うには、
ひとつは「我慢してるんですね」と。
で、もうひとつは、「みんなといるからです」と。
つまり、「俺は元気だ」っていう人が隣にいると、
元気になれるんですよ。
宮本
うん。
岩田
元気はうつりますからね。
糸井
そうなんだよ。
仲間といるときに助かるのはそこでね。
で、自分が見えなくなるというのも
そういうところなんだ。
岩田
ああ、はい。
糸井
任天堂も、たぶんチームとしては
それぞれがうまくいってるから、
上手に元気でいられるんだろうけど、
ひとりになると、やっぱり、ちょっと痛いところとか、
弱ってるところに気づくんだと思う。
で、逆に、そういうところに気づくことが、
クリエイティブにとって重要で。
自分がほんとうはどうしたいんだ、
みたいなことがわかってくるんですよ。
宮本
そうですね。
糸井
ひとりでいるときに感じる痛みみたいなものが、
実は重要だっていう気がするんですよね。
仲がいいとか、いまは元気だとか、そういうものだけで
乗り切っていけるかというと、そうじゃない。
ひとりでいるときに元気を維持できなかったら、
それは、ちょっとね。
だから、群れにいるよさと、群れから離れるよさと、
この往復運動を無意識でやってるんじゃないかな。
岩田
はい。
宮本
ぼくもひとりになるのも結構好きです。