ぼくの場合、
土日はもっと他愛もないことをやってますね。

ああ、そうですか。

だから、自分を振り返るようなことは、
わりと、ぼくは不定期にですね。

不定期。

週末とは限らない。

そうですね。
だから、会議のあととかね。
とくに、意思の疎通がうまくいかなかった
会議のあととかに考えますね。
「ちょっと、核心に触れすぎたかなぁ」とか。

ああー、いいですねぇ。
ひとりで考えるときの宮本茂。

わりと、会社でも、
夜になるとひとりなんですよね。
みんな、作業はしていても、
ぼくの前にはいなかったりするので。
そういうときに、不定期に考えますよね。

どういうことを考えますか。

あの、極端なことが多いですね。
どういうふうにもっていこうかっていうより、
「それ、あるのとないのと、どっちがいいの？」
みたいな。

ああ、うん、うん。

あるなら、「絶対にある」っていう方向で考えようとか、
これはもう、なしにしよう、
明日みんなに「なし！」って言ってみようとか。

大胆なことを。

そうですね。
誰かが「なし」って言わないと動かへんな、
みたいなことは不定期に考えますねぇ。

土日は関係ないんだ。

わりとね、
月曜日に生き生きと仕事の話をするときも、
金曜日に思いついてて、土日でちょっと練って、
月曜日に言ってみよう、みたいな。

週末に時間がポンとあくことで、
なにかこう、考えの熟成が進むんですか？

ああ、それは進みますね。

それがあると思うんですよ。
だから、月曜日のお昼ごはんのときに、
「ついにわかったんですよ」って種類の話が多いんですよね。
要するに、長年のもやもやした問題が
こうするときれいに説明できるとか。

それは、あれですね、
ひとりで考えを熟成させるというのもあるけど、
画面や場面が変わったときのひらめき、
みたいなものが作用するんじゃないかな。

土日で。

うん。
つまり、ぜんぜん違う場所の、
まったく空気の違うところでいるわけだから、
違う頭になって、新しい見方ができるというか。

それはあるかもわかりませんね。
なんか、まったく違うことをやってても、
「あ、これとあれは構造がいっしょやね」
みたいな発見があったりしますから。

そうそうそう。
会社にずっといると、
それはなかなか難しいですから。

なるほど。

あとね、金曜日に会社で思いついたようなことを
土曜日に家でしゃべると、
けっこう軽くあしらわれるんですよ。

あー（笑）。

「そんなの当たり前じゃない」って感じで。

そう、ダメなんだよ。

でしょ？

家の中にはね、聴衆はいない。

（笑）

はははははは。

それで、「あー、その程度のことなのか」
とか思いながら、なんか。

誰も感心してくれないんですね、家では。

自分の考えの置き場所をね、
やっぱり再調整しますよね、そこで。

家の中ではね、
「そうなんじゃない？」
っていうような言葉でおしまいですよ。

（笑）

けど、それがけっこう、
客観性を保つには大事なことやと思うんです。

いや、大事です。
そういう「相手にされなさ」は大事ですよね。

そうですね。
家で、相手にされないぐらいの
距離感で接してもらうことで、
自分が我に返れるというか。

そうなんです、そうなんですけど・・・
岩田さんは、なんか、ちょっと、
家でも尊敬されてるふしがある。

あ、そうそう。ちょっとうらやましいぐらいです。

（笑）