インタビュー

社長が訊く『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』
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特別篇:糸井さんとのクリエイティブの雑談。

21. アイデア

岩田

いや、誕生会の企画の話は興味深いですね。

糸井

共感してもらえて、よかったよかった。
やっぱり、アイデアの根本は、
ろくでもないこととか、困ってることだからね、
なにをやってもうれしいでしょっていう場合は・・・
まぁ、それはそれで好きな人はいるか。

岩田

ええ、そっちのほうが得意っていう人も
いらっしゃると思いますよ。
ただ、我々の場合は違うというか、
そもそもその役目として呼ばれていない(笑)。

一同

(笑)

糸井

「岩田さん、いよいよ来月、
 宮本さんの誕生日なんですけど!」
っていう会議はないんですね。

岩田

ないです(笑)。

宮本

ぼくもないなぁ(笑)。

一同

(笑)

宮本

糸井さんは、昔、ほら、
世の中のだいたいのことは、
アイデアで解決できるって言ってた。

糸井

うん。

宮本

あれがほんとにそうやなと思うのは、
アイデアが出たから解決するというよりも、
解決のためにアイデアがあるんですね。

糸井

そうそうそうそう。
だから、誕生日のプレゼントだと難しい。

宮本

うん(笑)。

糸井

誕生日にふだん驚かない人を
びっくりさせたいんです、とかね、
びっくりさせたいけど
ものすごくびっくりさせたくはないんです、とか、
そうなってくるとアイデアが必要だけど。
しかも誕生日は今週末です、とかさ。
2000円以内で、とかさ。

岩田

(笑)

糸井

だから、いいことしてやろうって考えるよりも、
いいことしてやろうの奥にある、
なんか悲しいものを埋めてやろうだとか、
あるいは、このままじゃさみしかろう、だとか、
なんかこう、ネガティブなものを一回挟まないと、
強烈なアイデアにはならないような気がするなぁ。

宮本

あああ、うんうん。

糸井

しあわせで、にこにこして、
なんか、もらう側も、にこにこしてて、
「なにがほしい?」って聞いたら、
「これがほしい!」っていうのは、
アイデアの出番がないよね。

岩田

たぶん、同じ話だと思うんですけど、
もしね、ゲーム開発における制約がなかったら、
アイデアなんか、
ぜんぜん生まれないんじゃないかと思ってて。

宮本

あーー、そうですね。

糸井

表現もそうさ!

岩田

けっきょく、そういうことですよね。

宮本

制約があるからなんですよね。
制約との戦いなんですよ、もう歴史がぜんぶ。
制約があって、その制約を、
逆にうまく活かしているっていうふうに思える。
それが自分のエネルギーになるんですよね。

糸井

そうです、そうです。

岩田

だから、そうやって解決したときの、
もう、気持ちよさっていったら、ないですよね。

宮本

これは、誰も考えてないやろうな、ってことが
たのしくてしょうがないんやと思うんですよ。

糸井

うんうん。

宮本

反対に、これ、みんながやってるけど、
がんばってやってねって言われたら、
つらくてしょうがない。

糸井

それはイヤだねぇ(笑)。

宮本

ですよね。

岩田

はい。