だから、大野さんに
「糸井さんは必死だから」って言われたときに、
理解されてうれしいっていう気持ちと、
やっぱり、そういう必死さって、
にじみ出しちゃうんだと思って。

ああ、そうですね。

いまはどっちかというと、
人をからかうときに使いますよね。
「あいつ、必死」って。

あ、そうだね。
でも、俺なんかよろこんじゃうんだけどね。
「必死だ」って言われると、
「そうだよ！」って思っちゃう。

（笑）

うちの社内でも、わりとそういう
必死な人を支援してますよ。
必死な人って、
周りから迷惑がられたりしますからね。

ああ、そうですね。
そういうところが任天堂という会社の
おもしろいところだと思うんですけど、
必死な人はみんなが応援しますね。

うちもそうだけど、
そういうところって多くないのかなぁ。

どうなんでしょうねぇ。
でも、必死な人を応援するのか、からかうのかは、
組織の健全性のようなものを
はっきりと表すような気がしますね。

俺はやっぱり、必死じゃないものがあるのは、
なんか、イヤだなぁ。
あの、休んでるのはいいのよ？

うん（笑）。

休んでるのとか、のんびりしてるのとか、
サボってるのとか、ぜーんぶＯＫなのよ。
だけど、なんか必死じゃないことがいい、
みたいなのは、イヤだなぁ。

そう。
ぼくもサボってるのはいいんですよ、別に。

ね。それは、サボってるな、っていうだけのことで。

うん。
逆に、サボってないような顔をして、
なんか忙しくしている風にサボってる、
っていうのは、すごくイヤで。

（笑）

はははははは。

まさに、「面目」を保ってるだけの。

そうそう（笑）。

必死かぁ・・・。

必死、いいですよね。

はい、必死は応援します。
ただ、たとえばわたし自身も、
必死に仕事をしてる自信はあるけど、
「にこにこしながら必死」がいいなぁ（笑）。

あーー、そうだね！

「悲愴」^（※注）なのはいやです。

でも、表現に「悲愴」が出ちゃうのは
「必死」が足らないんじゃないかね。

ははははは、
「悲愴」なのは「必死」が足らない。

「必死」っていうのは、どっちかというと、
周りが止めに入るようなものなのでね。
「悲愴」なのはなんか、本人がまわりに
自分をそう見てほしいと思ってるっていうか。

なるほどね（笑）。

ふふふ。

ほかの人に見せる用の「必死」ね。
あ、それは、また「面目」と同じだ。

ええ。

そういうことから自由でありたいねぇ。