宮本
ちゃんとしすぎてダメになる会議って、
たくさんありますよね。
糸井
あります、あります。
宮本
なんなんでしょうねぇ、あれ。
ダメな会議って、あるなぁ。
糸井
もう、極端にいうと、
誰かが「えー、それでは・・・」って
きちんと口火を切るような会議は
だいたいよくないですよ。
一同
(笑)
宮本
逆に、うまくいく会議のパターンとしては、
その会議に提案されたことに対して、
誰かが「そうかなぁ・・・?」って
きちんと言えたときじゃないかと思うんですよ。
糸井
ああー。
宮本
ガチッと固まった提案に対して
「そうかなぁ・・・?」っていう「崩し」が
一回入らないとダメなんですよね。
崩されてからもう一回考え直されたものは、
けっこうリアリティーを持つというか。
岩田
そうですね。
糸井
ぼくの場合、よく言うのは
「いいんだけどさぁ・・・」ですね。
うまくいくときは、だいたい、
「いいんだけどさぁ・・・」からはじまります。
宮本
ああーー。
岩田
「いいんですけどね」「でも」っていう話ですよね。
糸井
そうそうそう。
「いいんだけどさぁー」って思わず言って、
言ってるときは自分でもなにを言いたいのか、
ほんとはわかってないんだよ。
でも、そのままは通せないというか、
通してもいいし、成り立ってはいるんだけど、
「なんか、そのままだとつまんなくない?」みたいな。
だから、「いいんだけどさぁ」のあとに
自分で言った言葉が、価値観ですよね。
宮本
そうですね。
糸井
「つまんなくない?」とか。
「ちょっと逃げてない?」とか。
「お客さんがよろこばないんじゃない?」とか。
宮本
そう、だから、そういうふうに言った人の価値観、
誰かひとりの価値観で、その問題を
一回とらえ直すっていうことが重要で、
そうすると、リアルになってくるんですよ。
糸井
まだできていないようなものでも、
「そうじゃなくてさ」って、
誰かの価値観でしっかり崩せると、
すごくよくなるんだよね。
宮本
逆に、みんなでなんとなく決めたようなものって、
なんかこう、キレがないというか。
岩田
そうですね。
だいたい、成果があがるときの会議って、
合議制で決まったようなものじゃなく、
誰かが自分の意見を
バーンと打ち出したときですよね。
糸井
いや、ほんと、そう思いますねぇ。
宮本
あのね、またちょっと話が戻りますけど、
昼休みにやる作戦会議のときは、
岩田さんや中郷さんたちと
ごはんを食べながら、わーっとしゃべって、
みんなで会社に帰ってきて、
階段のところで上の階に行く人と
下の階に行く人で別れるんですよ。
岩田
中郷さんが地下1階で、
宮本さんが5階、わたしが7階に。
宮本
うん。歩いてのぼります。
でね、別れる間際に、ちょっと立ち止まって、
手すり越しに「今日の話はこういうことやね」って
ひとこと、あらためて言うんですよ。
それがけっこう大事なことが多いです。
糸井
ああーー。
岩田
結論。
宮本
けっきょく、それなんですよね。
で、「ちょっとやってみるわ」って言いながら
階段のぼって、それからまた考えるという感じで。
岩田
そのあとは、しばらくのあいだ、
それぞれが個々に動くんですよね。
で、また、ごはんのときに集まって、っていう、
考えてみれば不思議な進め方をしてるんです。
宮本
そう(笑)。
なんなんでしょうね、あれは。
糸井
でも、それは関係として、
すてきですね。
一同
(笑)