5. 「生きている人がいる」
岩田
いま話題に出た『Miiverse』ですが、
このプロジェクトのゴールが見えたころ、
「共感ネットワークをつくります」って
水木(潔)さん(※16)が江口さんのところに相談にいって、
急きょ入ることが決まりましたね。
山下
『Miiverse』の話がある前から、
「そもそもテーマパークだから、万博みたいに
世界中の人が広場に集まる感じを出したい」
という話はあったんです。
江口
わたしも、こういう広場は
絶対につくってほしかったんです。
世界中のいろんなMiiがウロウロ歩き回ったり、
行列をつくっていたりするのを見せたいなぁと。
そういう広場を歩き回っていたら
「テーマパークに遊びに来た!」という感じがするじゃないですか。
山下
でも、当時は『Miiverse』がなかったので、
「どうやってその感じを出そうか?」
って話をしていました。
江口
そうですね。
最初は「Miiコンテストチャンネル」(※17)の
Miiをサーバーからもらってきて、
広場に登場させる話もありました。
山下
はい。ただ、それだと
「血の通った感じにならない」ということで、
解決するすべがないままでいたんです。
岩田
じゃあ「『Miiverse』があるんだけど」って話は、
いってみれば渡りに船だったんですか?
江口
はい、「ぜひやるべきだ」と強く思いました。
山下さんには、無理を言ったとは思いますけど・・・。
岩田
でも、苦労して入れた甲斐あって、
「『Nintendo Land』に生きている人がいる」
そんな感じがすごくします。
阪口
とくに外国からの投稿が見られるようになると、
読めない言語が飛び交う雰囲気が
なんかうれしいんですよね。
岩田
「テーマパークにきた!」って感じがしますね。
阪口
はい。やっぱり用意されたMiiに比べて、
誰かがつくったMiiは
血が通った生々しい感じがするので、
『Miiverse』が入ったことで
広場であるプラザが生き生きしました。
江口
プラザにはもうひとつ意味があって、
『Nintendo Land』は、
複数の人で遊ぶソフトだと思われがちですけど、
ひとりで遊ぶお客さんも意識したいんです。
『Miiverse』でほかの方と接することで、
「ひとりで遊んでいるわけじゃない」
ということを感じてほしいです。
岩田
それが「また明日も遊ぼう」という
エネルギーにつながりますね。
時間がずれても、一緒にプレイしなくてもいい。
でも同じ経験をしていて、
共感しあえる人が実際にいることがわかるのは、
すごく価値のあることだと思います。
嶋村
『Miiverse』で発言できる楽しみもありますよね。
山下
あの・・・わたしは正直、
「みんな、『Miiverse』で何を書くんだろう?」
って思っていたんです。
でも「なになにをクリアした」って
他愛ないことが書いてあっても、
それを見るときは自然と気持ちがのるんですよね。
岩田
やっぱり「共通の経験をしていること」が
すごく大きいんでしょう。
山下
はい。だから気負わず、投稿してもらいたいです。
ほのかにうれしい感じが集まって大きくなっていきそうなので
サービス開始がすごく楽しみです。
岩田
わかりました。
では最後に、ひとりで遊ぶ方と、
周りに遊ぶ人がいる方に一言ずつ、
嶋村さんからお願いします。
嶋村
はい。ひとりで遊ばれる方には、
食わず嫌いをせず、1回手にとって遊んで、
「『Nintendo Land』と『Miiverse』を
体験してもらいたい」と思います。
岩田
1人用ゲームには、
すごくゲームが上手な社員が、
目の色を変えてまで
挑戦し続けるものまでありますからね。
嶋村
はい。デバッグチームからも
「ミニアトラクションがいちばん難しい」
と言われるくらい高いハードルでつくっていますので、
「ぜひ頑張ってもらいたい」と思います。
みんなで遊ぶ方々には、実力差がある人が集まっても
楽しめるマルチプレイを意識してつくっていますので、
なるべくたくさんの人を巻き込んで、遊んでほしいと思います。
岩田
はい、山下さん。
山下
ひとりで遊ぶ方には、
「チームアトラクション」のゲームは
複数プレイに視点が行きやすいんですけど、
ひとりでも十分に遊びごたえがあります。
あとWii U GamePadで遊ぶときと
Wiiリモコンで遊ぶときで、
プレイヤーキャラクターの視点が切り替わるので、
たとえば「メトロイド ブラスト」なら
スターシップでもサムスの姿でも遊べるので、
「一粒で二度おいしく」味わえます。
また複数で遊ばれる方は、
ぜひみんなで体験してください。
やっていると自然に会話が生まれて
楽しく遊べますから。
岩田
「会話が生まれるソフト」ということですね。
山下
そうですね。
ゲームをしていると、とても仲良くなれるので、
とくに対戦アトラクションを体験してください。
ほかにも「ドンキーコングのクラッシュコース」を
華麗にクリアすれば、パフォーマーとして
周りの人気者になれます(笑)。
岩田
はい、阪口さん。
阪口
まず、みんなで遊ぶ方は
立場の違いを楽しんでほしいです。
僕は「ゲームを見ているだけ」というのも好きなんですが、
いろんな立場からゲームにかかわれることが
面白いところだと思うので、
ぜひみんなで集まって会話をしてほしいです。
1人プレイの方は、
もしまだ甘く見られている方がいたら、
「どのゲームも『かかってこいよ感』があります」
と言いたいです(笑)。
やり込み要素が十分にあるので、
手ごたえを感じてください。
岩田
はい、江口さん。
江口
一言で「大勢で遊ぶ」といっても、
家庭ごとに家族構成は違っていますし、
人が集まるときもいろいろなパターンがあると思いますが、
どんな人が集まって一緒に遊ぶ場合でも、
遊べるゲームが必ず見つかりますから
安心して楽しんでもらえたらと思います。
ひとりで遊ぶ方も、アトラクションごとに
遊び込める要素をしっかりつくっていますし、
ゲームが得意な人にも、そうでない人にも、
その人に合う遊びが必ず見つかります。
なおかつ、『Miiverse』で
「ひとりじゃない」と感じられるので、
ぜひ「ニンテンドーランドプラザ」を歩き回って、
そこにいるMiiのコメントから世界を感じたり、
プレイ後の気持ちを素直に発信したりして、
「自分から世界に近づいてほしい」と思います。
岩田
はい。わたしからは、
任天堂情報開発の内作チームが
最も長い時間をかけて、
Wii Uのためにゼロから本気でつくったゲームです。
一見、見かけがやさしそうに見えていても、
「深さが詰まっていることをお伝えしておきたい」
そう思っています。
多分、「これ、さわってはじめてわかった」
という部分も気持ちに残ると思うので、
「どういうふうに伝わっていくのか」
今後が楽しみですね。
みなさん、お疲れさまでした。
ありがとうございました。
一同
ありがとうございました。