竹田 |
これは逆説的な考え方になりますが、
従来のロードマップをそのまま踏まえるなら、
「より速く、より豪華に」というふうになったと思うんです。
つまり、豪華な映像を速く映し出す、という方向ですね。
しかし、その方向に進んだとして、
お客さんにどれほどのインパクトがあるだろうかと感じたんです。
より豪華にするときの開発側の苦労やコストと、
お客さんに新しさを感じてもらうことの効率の悪さ。
そういったものを、開発の途中で感じるようになりました。
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岩田 |
それはいつごろから感じられました?
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竹田 |
Wiiの開発を始めてから1年くらい経ったころでしょうか。
開発のパートナーとなる会社の方と話していくうえで痛感したのですが、
「もっといいものを!」というふうに求めていく
人々の要望というのは、臨界がないんですね。
1を得た人がつぎに2を得て、
つぎに求めるのが3かというとそうではなくて、
5を、10を、30を、100を‥‥というふうに、
要望は加速度的に上昇していくんです。
そこを追求していくと、とんでもないことになってしまう。
そこに違和感を感じ始めたのが、開発して1年くらい経ったころです。
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岩田 |
それでは、より具体的に
Wiiのテクノロジーに関わっていた塩田さんに訊きます。
まず、何を担当していたかを簡単に説明してもらえますか。
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塩田 |
はい。私が担当しましたのは、このWiiの中の半導体の開発です。
といっても、半導体の開発というのは
任天堂が直接手がけるわけではありませんから、
パートナーとなる会社の方といっしょに開発してまいりました。
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岩田 |
半導体の開発というのは、新しい機械の性能を決めるうえで、
たいへん大きなファクターになると思います。
Wiiの開発当初に予想していたことと、できあがったもののあいだで、
違ったこと、あるいは違わなかったことなど、教えてください。
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