坂本 |
まず、1作目の『メイド イン ワリオ』
(2003年 ゲームボーイアドバンス用ソフト)は、
「こういうものが作りたい」というコンセプトが
すごくはっきりしていたソフトだったんです。
ただ、言葉は悪いんですけれども、
まあ、「一発芸」みたいなソフトで(笑)。
結果的には1作目からすごくいいものができたんですが、
「これはこういうゲームなんだ!」
っていう個性が非常に強いゲームでしたから、
同じことは二度とできないだろうな、
という気が、なんとなくしていたんです。
|
岩田 |
なるほど。
|
坂本 |
でも、たくさんの方に遊んでもらえて、
ゲームとしての評価もすごく高かったんですね。
販売本数もどんどん伸びていきましたし、
これはシリーズとして続けていかなければならないなと
考えはじめていたんですが、
そんなときにちょうど岩田さんから
ゲームキューブ版の『ワリオ』を
作ってみたらどうかというリクエストをいただいて。
|
岩田 |
はい。私は1作目の『ワリオ』を見て、
ほかの人がやっているのを見るのもおもしろいソフトだな
というふうに感じたんですね。
ですから、多人数で遊ぶのに適しているゲームキューブで
1作目の勢いがあるうちにサッと作ってみませんかと。
|
坂本 |
それが『あつまれ!!メイド イン ワリオ』
(2003年 ゲームキューブ用ソフト)になったんですね。
ですから2作目もコンセプトは明快だったんです。
みんなで遊ぶ、コンソール向けの『ワリオ』を、
まあ、すごく短期間で作るという(笑)。
|
岩田 |
『あつまれ!!』のときは
阿部さんがディレクターでしたよね。
あれがディレクターとしては最初の作品ですか。
|
阿部 |
はい、そうです。
できれば、いちからゲームを作りたかったですが、
なにしろ「勢いのあるうちに出す」
というコンセプトでしたから、
プチゲームはアドバンス版のものをそのまま活かして、
多人数対戦向けにアレンジするというか、
いろんな遊び方を提案する
という方向でまとめていきました。
|
岩田 |
『あつまれ!!』が終わったあとは、
ゲームボーイアドバンスでもう1本作るという話と、
ニンテンドーDSの同発ソフトとして作るという話が
ふたつ並行して出てきて、
私と坂本さんはけっこう悩んだんですよね。
|
坂本 |
ええ。1作目のゲームボーイアドバンス版は
その後も順調にというか、
静かにどんどん売れている状態で、
やっぱり携帯機としてまた出したいという声もあって。
でも、『ワリオ』シリーズというのは、
基本がプチゲームの集まりですから、新作を出すとなると
プチゲームを新しくするだけではなくて、
何か新しい切り口というかコンセプトがいるんですよね。
1作目は瞬間アクション、2作目は集まって遊ぶ。
それに代わる切り口がほしくて、
とりあえずプチゲームのネタはどんどん出しつつ、
その方向性を探っているという状態でした。
|
阿部 |
一応プロジェクト自体は進んではいたんですけども、
いまひとつ決め手がない状態だったんですね。
で、そういうなかでニンテンドーDSの
本体の仕様が固まってきて、
タッチペンを活かすという切り口ができた。
DSの特長をアピールするソフトとしても
『ワリオ』はわかりやすかったですから、
これはもう、そのままいこうと。
ただ、ニンテンドーDSの同発ソフトにするには
ちょっとスケジュールがタイトだったので
それはそれとして、アドバンス版の新作も
作っているような状態でした。
|
坂本 |
そこであるスタッフが
「ちょっとこんな試作、作ってみたんですけど」
ということで、回転センサーをデバイスに使った
サンプルを作ってきたんです。
それは、大澤(和義)さんだったんですけど。
|
岩田 |
『リズム天国』の
ディレクター兼チーフプログラマーの大澤さんですね。
|
坂本 |
はい。彼が、回転センサーを使った
『ワリオ』の試作を作ってきて、
それをやってみたら、すごくよかったんですね。
回して操作をするということ自体もよかったんですが、
回転センサーを使っていろんな遊び方ができるというのが
非常におもしろくて、
「これはすごいわ。岩田さんに見てもらおうか」
ということですぐに見せに行ったんですよ。
|