岩田 |
Wiiのリモコン型のコントローラが
『ワリオ』シリーズと相性のよいものだとしても、
それだけで簡単にできたわけではないですよね。
逆に、リモコンで遊ばせるからこその
苦労もたくさんあったと思うのですが。
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坂本 |
たしかに、Wiiのリモコンというのは
いろんな遊ばせ方があるので
『ワリオ』シリーズに向いているんですけど、
いろんなことができてしまうがゆえに、お客さんに
「いま自分が何をしなければいけないか」
ということをパッと伝えにくいということがありました。
というのも、『ワリオ』シリーズはテンポが命ですから
遊ぶ人は「つぎはこうする」というのを
5秒で判断してもらわなくてはならないんですよ。
だから、それをどう伝えればいいのか。
そこがまず、最初の課題としてありました。
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岩田 |
これまでの『ワリオ』では、
いちおうみんなふつうに携帯機なり、
コントローラを持っているわけですから、
「Aボタンを押せ!」みたいなことが
指示しやすかったんですよね。
ところがWiiリモコンだと、
そもそもユーザーがいまどう持っているのかが
わからないから指示が伝えにくい。
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坂本 |
そうなんです。
どうやったら、お客さんに
自分が要求されているアクションを
一瞬で理解してもらえるだろうか、と。
まずはそこでずっと悩んでいたんですが、
そうしているあいだにも
プチゲームのアイデアというのは
もう、どんどん出てきていまして。
やはり、Wiiリモコン自体が
非常におもしろいデバイスですから
いけそうなアイデアはたくさん出てくるんですよ。
ところが、プチゲームの制作に選ばれるアイデアが、
大人しいものが多く、どうも何かはじけきれていなかったんです。
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岩田 |
「バカバカしさ」や「くだらなさ」が足りない?
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坂本 |
そうなんですよ。いつもはじけている女性スタッフの、
いつにも増してはじけているコンテが選ばれにくい。
その理由は、プレイヤーがWiiリモコンを
どう持っているかわからないので、
普通に握っている状態から、無理なく反応できるような、
無難なアイデアが選ばれる傾向があったからなんです。
で、先の課題とも合わせ解決するために
「もう、ゲームを始める前に、
まず『こう持て!』と言っちゃったらどうか」
ということになって、ひとつひとつのプチゲームの前に
「こう持ちなさい」「つぎはこう持ちなさい」
という指示を入れていったんですね。
それを作っているうちに、誰かが
「これって何か、踊りのお作法みたいな感じだね」
と言い出して、それが妙にバカバカしくて。
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岩田 |
ああ、そこで「おどる」という
キーワードが生まれたんですね。
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坂本 |
そうなんです。
まあ、岩田さんからも冗談交じりに
「つぎは『おどる』ですかね」
という話は出ていたんですが。
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岩田 |
ええ、言いました(笑)。
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坂本 |
そこでお作法のアイデアが出たところで
晴れて『おどるメイド イン ワリオ』になったんです。
まあ、その、「踊ってない」んですけど(笑)。
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岩田 |
「踊ってない」ですね(笑)。
だけど、踊りのお作法のような。
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