坂本 |
あの、昔の、ファミコンのころのゲームって、
見ていた人もおもしろかったと思うんですよね。
やり方がよくわからないようなときも、
コントローラを持っている人が
「え、これどうするの?」って迷うようなときに
必ず「違う違う、貸してみぃ!」っていう人がいて、
わからないことさえも、みんなで遊ぶ楽しさに
変換されるっていうことがあったと思うんですよ。
それって、すごく重要かなと思って。
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岩田 |
ああ、それは坂本さんと話していて
よくテーマになりましたね。
「まわりで見ている人に
『ちょっと俺に貸せ』と言わせたいよね」っていう。
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坂本 |
そうそう、そうなんです。
なんか、ゲームという遊びから、そういう部分が
どんどんなくなっている感じがしていて。
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岩田 |
見ている人も楽しめるように、
さまざまな苦労をした、と。
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阿部 |
はい。そういうことに……。
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坂本 |
しておいてください。
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岩田 |
(笑)。
まあ、たしかに、まわりで見ている人が
楽しめるような工夫は随所に施してありますよね。
初めて登場する「お作法」には
妙な外国人なまりの日本語できちんと説明があったり。
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阿部 |
はい。あれはカナダの方にしゃべっていただきました。
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岩田 |
カナダ? なんでカナダの人に?
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阿部 |
ええと、その、「お作法」を仰々しく説明するのに、
「外国で放送されてる日本語講座」みたいな感じの
雰囲気が出るといいなあと話してまして。
で、「誰にしゃべってもらえばいいかな」って
坂本さんといっしょに考えていた、そのときに……。
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坂本 |
まさに「どういうしゃべりがいいのかな」と
言ったその瞬間に、カナダ人のスタッフが、
ぼくらが会議している部屋の窓の外を通ったんです。
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岩田 |
え?
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坂本 |
で、ぼくがパッとそれを見て、
「あの人、しゃべってくれへんかな?」
と言ったのがすべての始まりで。
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岩田 |
え?
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坂本 |
まあ、無理かなあ、と思いつつ頼んでみたら、
あっさり快諾していただけまして、
そんでしゃべってもらったら、よかってんね、すごく。
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阿部 |
よかったです。非常によかった。
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岩田 |
その人は、本来は……。
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阿部 |
いちおう、企画の部分に参加していただいていて、
絵コンテとかも描いてくださってるんですけど。
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岩田 |
絵コンテは描く予定だったと思いますが、
まさか「お作法」について説明するとは……。
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坂本 |
思ってなかったでしょうねぇ。
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阿部 |
っていうか、チームへの貢献度としては
ナレーターとしての仕事のほうが圧倒的に高いですね。
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岩田 |
うん、まあ、そうかもしれませんが……。
窓の外をちょうど通っただけで……。
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