阿部 |
今日は、そのソフトを持ってきました。
もちろん開発途中のものですが……これです。
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岩田 |
「似顔絵チャンネル」の基本的な構造って
すでにこの中に全部入ってるんですよね。
簡単な操作でいろんな顔を作るということも、
直感的なインターフェイスもすごくうまくいってる。
宮本さんはこういう「分身」を作りたがっていて、
「データを小さくして、たくさんゲームの中に入れたい」
とも言ってましたから、これがまさにぴったりで。
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坂本 |
宮本さんがこういうものを求められてるというのは、
正直、ぼくらはわかってなかったんですよ。
で、これも、とくに似顔絵だけを
作ろうしていたわけじゃなくて、
単にアバター的なものを作って、
それをソフトの中にどんどん登録していく
というような仕組みのものとして考えていたんです。
だから、似顔絵の機能も、最初は
目とか鼻とか口をモンタージュ的に
並べていくだけのものだったんですが、
いざ、ぼくが自分の顔を作ろうとしたときに、
その、ぼくの顔のパーツがなかったんですね(笑)。
「ぼくの目はもっと大きくて垂れてんのに、
パーツがないなぁ……」ということで、
「これ、パーツのサイズを変えたり
角度を変えたりできないの?」
ということになって。
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岩田 |
それがじつは大発明だったんですよ。
その発想がなければ「似顔絵チャンネル」も
「Mii」もないわけですから、
Wiiも違ったマシンになっていたはずなんです。
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坂本 |
言うてみるもんですね。
単に自分の顔が作れなかっただけなんですが(笑)。
あの、ぼく、スタッフにこう言ったんですよ。
「規格外の顔も作れるようにしてくれ」って。
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岩田 |
「規格外の顔」(笑)。
そのひと言がなければ今のWiiはないんですよ。
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阿部 |
ということは、つまり、
坂本さんの顔がふつうの顔だったら、
今のWiiはなかったんですね。
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坂本 |
そやね。って、コラ。
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岩田 |
でも、まあ、そういうことです(笑)。
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坂本 |
いや、まあ、そうですね。
ぼくの顔も規格外だし、その意味でいうと
世間にはもっと規格外の人もいるので(笑)。
パーツを変化させられるようにしないとダメだと
いろいろ要望を出していたら、
わりといろんな顔が作れるようになって。
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岩田 |
そこでソフトが「おもしろく」なったんですよね。
おもしろくなってないと、坂本さんも
私にこのソフトを見せにこなかったでしょうから。
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阿部 |
やはり坂本さんの規格外の顔がWiiを変えたと。
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坂本 |
そういうことやね。もうええわ。
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岩田 |
それがぐるっと一周回って、
『ワリオ』の中にも「似顔絵チャンネル」の機能が
活きているからまたおもしろいですよね。
ちなみに『ワリオ』の中に「Mii」が
どういうふうに登場するか、説明してもらえますか。
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