嶋村 |
もともとはまったく別のソフトの中で、
ひとつのミニゲームとして作り始めたのがきっかけでした。
そのときは、はっきりしたゴルフゲームではなく、
パターゴルフとして作り始めたんです。
本格的にゴルフゲームを作るとなると、
やはりコースを作ったりだとか、大がかりになりますので。
ところが、太田さんと山下さんのプロジェクトがひとつになって
だんだん大きくなっていって、
いくつかのスポーツゲームを「スポーツ・パック」という感じで
まとめようということになりまして、
合流させていただいたという感じです。
|
岩田 |
いま、「パック」っていう言葉が出ましたけど、
いくつかのソフトをパックにして商品化しようという構想が
Wiiを立ち上げていくなかで生まれてきたんですよね。
そのパックシリーズのプロデューサーが江口さんなんですが、
まとめるといってもかなり大変な作業だったでしょう?
|
江口 |
そうですね。
なにしろ、いろんな試作品がたくさんあるんです。
もう、混沌としている状態、というか(笑)。
さっき太田さんが、
「好きなものを好きなところまで作ってやめられるんで、
すごく幸せだった」という話をしていましたけど……。
|
岩田 |
私もプロデューサーの経験がありますからわかるんですが、
それってまとめる立場からしてみれば悪夢のような状態で(笑)。
「これはよくなりそうだ」というおいしそうな素材が、
フィニッシュされていないまま、散らかっているわけですからね。
|
江口 |
もう、まさにそのとおりの状態で。
「これをどう料理してお客さんに出したらいいんだろう?」
ということでずっと悩んでました。
で、そのときに宮本(茂)さんも同じように
パックのことをずっと気にしてらっしゃって、
あるとき、すごく珍しいことに、宮本さんが、
その混沌した材料をどうまとめるかというのを
紙にまとめて書いてくださったんですよ。
|
岩田 |
え? 宮本さんが紙にまとめたの?
|
江口 |
まとめたんです(笑)。
ぼくも初めて見ましたよ、
宮本さんがそういうものを書いたというのは。
宮本さんの頭の中って、こんなふうになっているんだな、
というようなまとめ方の紙だったんですけど。
|
岩田 |
私は昔、『ピクミン』の仕様書っていうのを
見せてもらったことがありますよ。
といっても、紙一枚の表裏にざっと書かれたものでしたけど。
でも、宮本さんって、ふつうは
どうしようもなくなるところまで
放っておくじゃないですか(笑)。
で、担当者が煮詰まり切ったころに、
そういう紙が一枚、ぺらっと出てくるという感じで。
でもそれが『Wii Sports』では最初に出てきたんですか。
|
江口 |
そうですね。
宮本さんもきっと、Wiiの立ち上げに際して、
これを何とかしなきゃいけないと思ったんじゃないでしょうか。
|
岩田 |
そう思ったんでしょうね。
ちなみに、どういう指示が書かれていたんですか。
|
江口 |
いやもう、言ってしまえば、汚い図なんですけど(笑)。
|
一同 |
(笑)
|
岩田 |
その中には、最近、宮本さんがよく語る、
ヘルスパックの構想も書かれていたんですか?
|