デザイナーの仕事キャラクターデザイン
キャラクターデザインとは?
キャラクターデザインとは、文字通りゲーム内に出てくるキャラクターをデザインする仕事ですが、マリオのような人間や生き物の見た目や動きを考えるだけでなく、キャラクターが身に着ける衣服や武器、キャラクターが乗る車やバイク、時には家具のようなものもキャラクターデザイナーが担当します。担当は多岐にわたりますが、「見た目の美しさや面白さ」だけでなくゲーム内における「機能に合ったデザイン」を意識する必要があるという点は、すべてに共通しています。
ここでは、キャラクターの見た目をデザインするキャラクター制作についてと、キャラクターを動かすアニメーション制作についてご紹介します。
キャラクター
映画やドラマの配役と同じく、ゲームにも「主人公(プレイヤーキャラクター)」「敵」「仲間」「村人」「店員」など、さまざまな役割を持ったキャラクターが登場します。それらの役割が正しくお客様に伝わるようにデザインする必要があります。
「プレイヤーキャラクター」とは、実際にお客様が操作して動かすキャラクターのことです。親しみが持てたり、感情移入ができたりする容姿の要素も大切ですが、一見してそのキャラクターの役割や機能、特性がわかるデザインであることが、ゲーム体験として、より重要視されます。
また、「敵」はアクションゲームでは欠かせない存在です。ゲームの遊び応えに直接的に影響するので、難易度の調整や、ストレスなく遊んでもらう工夫など、見た目だけでなく遊びの要素にも気を配りながらデザインします。
「NPC」(ノンプレイヤーキャラクター)は村人などお客様が操作しないキャラクターのことです。ゲームを進行するためのヒントを与えたり、時には仲間として冒険についてくるなど、役割と世界感にあったデザインが求められます。
「装備・アイテム・オブジェクト・乗り物」もキャラクターデザイナーの仕事のひとつです。プレイヤーキャラクターが身に着ける衣服、手に持つ武器や道具、家具やステージを構築する仕掛けや障害物などのオブジェクト、乗り物などもこれに当てはまります。単体で役割や機能、特性をわかりやすく見せるだけでなく、キャラクターやその他オブジェクトとの組み合わせも意識したデザインが求められます。
キャラクター制作の事例①
キャラクターは見た目の美しさや面白さだけでなく、ゲームを遊ぶうえで必要な機能からデザインを考えます。
たとえば『リングフィット アドベンチャー』では、お客様がどれくらいの強さで運動できているかを直感的に伝えるため、プレイヤーキャラクターの髪を「運動の強さに応じて燃え上がる炎」としてデザインしています。
キャラクター制作の事例②
「足元から大きな口を開けて攻撃してくるので、ボムを入れたらどうなるだろう?」など、見た目や行動から攻略法を連想できるようデザインします。
キャラクター制作の事例③
お客様と関わる頻度が高いキャラクターの場合、「なるべく多くの方に愛着を持ってもらえる」ということを念頭において、デザインします。
アニメーション
キャラクターの起こすアクション、性格や特徴、感情を表現するのに、アニメーションは不可欠です。豊かなアニメーションによってキャラクターは動き出し、その振る舞いや反応はゲームの世界全体に命を吹き込みます。
特にプレイヤーキャラクターには、歩く・走る・跳ねる・しゃがむ・持つ・斬るなど大量のアクションを用意することで、お客様の操作の幅を広げます。アニメーションは、お客様の意図とキャラクターの反応を繋ぎ、直感的な操作感を生み出し、ゲームの手応えを決定する大切な役割を担っています。
アニメーション制作の事例①
ジャンプをする動作の場合、「踏ん張る→ジャンプ(滞空)→着地」が一連の動作です。
本来なら飛び跳ねる前にしっかり「踏ん張る」ことで、力を溜めた状態を表現したいところですが、お客様がジャンプボタンを押してから、ゲーム内で「ジャンプする」までの時間が長いと、「反応が鈍い」印象になります。
ゲームのキャラクターアニメーションでは、動きの格好良さと快適な操作性を両立することを心がけています。
アニメーション制作の事例②
アニメーションはキャラクターだけでなくオブジェクトなどにも付けます。気持ちの良い動き方やタイミングでアニメーションさせることで、よりわかりやすくなったり魅力を増したりし、その結果がゲーム体験の向上につながります。
任天堂ではたらくキャラクターデザイナーに求められること
任天堂は娯楽を作っていますので、遊びを面白くする工夫や、その機能や役割に見合ったデザイン、その遊びを引き立てるアニメーションの探究が、キャラクターデザイナーに求められます。
キャラクターデザインの現場では主に3DCGツールを用いた制作が中心となりますが、学生時代の3DCGデザインの経験は必須ではありません。例年、3DCG未経験で入社する方がほとんどです。それはツールを知っていることも大切ですが、長い目でみれば、基礎的な造形力やデザイン力の方が大切だと考えているためです。その造形的な基礎体力をベースに、多くの人を魅了する独創的なデザインや動きをたくさん生み出すことができるバイタリティーが大切です。