遊びと機能に直結するデザインに遊びと機能に直結するデザインに

デザインからアニメーションまで担当する

子どもの頃から絵を描くのが大好きだった私は、高校生になると静止画を描くだけでは満足できなくなり、それを動かせば楽しいだろうと、2Dのアニメーションを制作するようになりました。そのときにアイデア出しをして、ラフスケッチを描き、アニメーションを制作するまでの一連の工程を、自分ひとりで手がけた経験は、任天堂にキャラクターデザイナーとして入社してから、思わぬところで役に立ちました。

任天堂に入ってから、ニンテンドー3DSの『Miitopia』の敵キャラクターのデザインなどを手がけたあと、『スプラトゥーン2』のプロジェクトに関わることになりました。このゲームのメインの遊びは、ナワバリバトルと呼ばれる4対4の対戦ゲームなのですが、それとは別に、シャケの姿をしたコンピューターの敵と戦って、イクラの報酬を集める「サーモンラン」というモードがあります。私はこのモードの敵のキャラクターをデザインすることになりました。

キャラクターの制作は、まずモデルを作る人がいて、アニメーターがそのモデルに動きをつけるというように分業で行われているイメージがあるかもしれませんが、任天堂では、キャラクターを作った人がアニメーションまで担当するケースが多くあります。なぜそういう作り方をするかというと、遊びに直結するデザインや、機能に直結するデザインを、任天堂が大事にしているからです。

現実の遊びもデザインに反映させる

自分で考えたキャラクターの複雑な動きを、プランナーやプログラマーに言葉で伝えようとしても、上手く伝わらないことは少なくありません。当時、スケジュールの都合上、短い期間でキャラクターの制作を進めていく必要があったため、関係する人たちの間に、認識のズレが生じれば、開発の遅延につながりかねませんでした。そこで役に立ったのが、学生時代に夢中になったアニメーション作りの経験です。敵のシャケがルアーに飛びつくシーンを考えたのですが、その動きの面白さがわかるような簡単なアニメーションを作って、それをスタッフに見てもらうことで、ひと目で納得してもらうことができるようにしました。

また、遊びに直結するデザインという意味では、現実の遊びをデザインに反映させるようなこともしました。例えば「カタパッド」という敵を考えて、左右にゴミ箱のようなものを持たせるようにしました。そこに爆弾を投げ入れて倒すのですが、ヒントになったのは、子供の頃に遊んでいた、紙を丸めてゴミ箱に投げ入れる遊びでした。また、「タワー」という敵は、7段に積み上がったナベを撃ち落として倒すようになっているのですが、このアイデアのもとは、だるま落としでした。

キャラクターをデザインする仕事では、機能を満たすことが求められるのはもちろんですが、それ以上に、お客様がそれを触って楽しいと思えるように制作することが、大事なことだと考えています。

社員略歴

池尻企画制作部/2015年入社
2015年「デザイン系」入社。
ニンテンドー3DS『Miitopia』(2016年)、Nintendo Switch『スプラトゥーン2』(2017年)の敵キャラクターデザインや2Dアニメーションを担当。その後のアップデートや、追加コンテンツ『オクト・エキスパンション』ではプレイヤーやブキのデザインを担当。その後のタイトルではデザインリードを務める。
職種

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