デザイナーの仕事カットシーンデザイン
カットシーンデザインとは?
カットシーンとは、オープニングムービーやエンディングムービーなど、ゲームプレイの間に挿入される映像のことを指します。
カットシーンは、ゲームに物語としての命を吹き込み、お客様のゲーム体験を盛り上げ、ゴールへ導くことと、ムービーとしての見ごたえとゲームの面白さを最大化することを意識して演出・設計・制作されています。
制作工程① 絵コンテ制作
ゲームのシナリオにそって、設計図である絵コンテを制作します。
制作工程② プリビズ制作
プリビズは完成したカットシーンがどのような表現になるかを共有・確認するために事前に作成する動画です。
状況が分かりやすいカメラワーク、没入感を高める演出など、ゲームならではの見せ方を考慮します。
※ プリビズで使用するキャラクターやステージなどのモデルはそれぞれの担当デザイナーが制作したものを使用します。
制作工程③ アニメーション制作
絵コンテ・プリビズにそって、3DCGツールを使いアニメーションとカメラワークを制作します。
より良いシーンに仕上げるために試行錯誤するのはもちろんのこと、ゲーム中の設定やアニメーションとイメージを合わせながら制作します。
制作工程④ 各職種との協働・調整と仕上げ
カットシーンは多くの職種が力を合わせて制作します。
プランニング、プログラム、エフェクト、サウンドなどの各担当者と細かなやり取りを何度も繰り返し、それぞれが担当したものを融合して1つのカットシーンを完成させます。
カットシーンの役割
ゲームにおけるカットシーンの役割は大きく2つあります。
・目的や状況を分かりやすく伝える
・ゲーム体験を盛り上げる
どちらもゲーム体験をより特別なものにするために大切な役割を担っています。
目的や状況を分かりやすく伝える
カットシーンには、ゲームの進行に必要な情報が詰め込まれています。
お客様には直感的でわかりやすく伝わるよう、情報を整理した演出を心がけています。
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』では、「禍々しい巨大な影と城」、「その城で輝く光と声」を見せることで、今起こっている状況とこれから目指すべき場所を同じシーンの中で伝えています。
ゲーム体験を盛り上げる
カットシーンは、ゲームプレイ中で語ることができないストーリー、キャラクターの個性、特別な景色やシーンなどを表現することができます。
ストーリーやキャラクターがカットシーンとして深堀りされることで、ゲームの魅力を最大化し、ゲーム体験を盛り上げることに繋がっています。
『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』では、仲間たちの姿を回想シーンで見せることにより、仲間が託した想いや現代に生きる主人公が背負う宿命を描きました。
カットシーンデザインで大切にしていること
カットシーンはゲームプレイの中で体験するものです。そのため、お客様のゲームプレイとスムーズに繋がることをとても大切にしています。
事例① 「ゲームプレイとスムーズに繋いで手ごたえを生み出す」
例えばボス戦の場合、戦う前は気分を盛り上げ、ボス(大きな敵)に勝利すれば手ごたえを感じられるようにと、「ボス戦」という一連でお客様に遊んでいただけるように全体を意識して演出します。
ボスが登場する迫力のあるカットシーンからスムーズにゲームプレイに繋がるようにカメラワークを工夫しています。
ボス戦の前にボスが強そうに見えるカットシーンを挟むことで、ボスと戦う前の緊張感を高めます。
ボスを倒したことが実感できるわかりやすい演出でゲームプレイに対する手ごたえや達成感を高めます。
事例② 「ゲームプレイ感覚のままカットシーンへ」
『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』は、横にスクロールしながら進んでいくタイプのゲームです。
カットシーンもゲームプレイ中と同じ横スクロールをベースとしたカメラレイアウトにすることで、ゲームの一部として体験していただけるように設計しています。
任天堂ではたらくカットシーンデザイナーに求められること
ここまでご覧になって、任天堂のカットシーンデザイナーを目指したいと思われた方へ。
カットシーンでは制作形態を問わず、
・ストーリー性のある映像のアニメーションとカメラワークの制作経験のある方
を募集しています。
また、絵コンテの考案からカットシーンを仕上げ、完成まで導いていくためにも、
・演出への強い意欲
・ゲーム開発への興味
が必要となります。
映像制作の経験と意欲があり、ゲーム開発に興味がある方はカットシーンデザイナーに向いていると思います。