岩田
それにしても、
「全部のマップをつなぐ」というのは、
制作が大変だったでしょう?
岩本
本当は1個1個区切って・・・。
岩田
そうしたほうが、
圧倒的に制作しやすいはずなんですけど。
岩本
だから最初は「本当にやるんですか?」
という意見が多かったんです。
でも竹本さんは「どうしてもやる」と(笑)。
竹本
はい。なにを言われようと、やりたかったんです。
足助
もちろん、デザイナーさんとか、
いろいろな反対はあったんですけど、
「いや、今回はこれが大事なんです」という
竹本さんの強い意志が最後まであったので、
最終的にはチーム一丸となって
がんばることができました。
岩田
でも、がんばった甲斐があったんでしょう?
足助
はい、ありました。
今回の最終目的地はピーチ城なんですけど、
そこが目的地であるということを
どこからでも見渡すことができますし、
「いま3分の1くらいまで進んだ」とか、
道が二手に分かれていたりすると、
全体の地形を見渡しながら、
「どっちから行こうかな・・・」とか
悩むのがとても楽しかったりします。
岩本
つくっているときの竹本さん、
すごいこだわりがあって、たとえば
「山の高さはこれじゃ低すぎです」とか
「こんな形はイヤです」とか・・・。
足助
山の上まで進んだら、
「次のコースの先まで見渡せるようにしたい」とか。
岩本
だから足助さんも、
ポイントごとに次のコースが見えるように
カメラのアングルにこだわったり・・・。
かなり入念にやっていましたよね。
足助
そうですね。
なので、かなり手間はかかりました。
でも、できあがったものを見ると、
みんな「やってよかった」と言っていました。
岩田
このマップは、『Miiverse』(※12)の機能とも
関係しているんですよね。
岩本
『Miiverse』は、僕が担当したんですが、
マップの上に吹き出しを表示して、
自分のコメントを書き込めるようにしました。
じつはそれができたのは、
マップをひとつにつないで
コース全体を見渡せるようになったことが、
かなり大きかったんです。
岩田
ああ、たしかにひとつにつながっていないと、
あのような表示はできませんからね。
岩本
そうなんです。
岩田
もともと『Miiverse』をどう使うかは
それぞれのゲームにお任せしているんですが、
『NewマリオU』の場合、
自分がいる位置をマップ上に出して、
さらに投稿したコメントを
表示できるようにしたわけですね。
岩本
そうです。
足助
今回の『Miiverse』は
Wii Uの大きな特徴のひとつですから、
同時発売の『NewマリオU』でも
「絶対に活用しよう」ということになりました。
そこで「『Miiverse』をどうすればアピールできるのか?」と
いろいろ考えました・・・って、
考えたのは岩本さんなんですけど(笑)。
岩田
岩本さん、どんなことを考えて
『Miiverse』との連係機能を実現させたんですか?
岩本
『Miiverse』には“共感”という
キーワードがある、と聞いていましたので、
どのようなときに“共感”を得られるような
投稿をしたくなるかを、まず考えました。
ちなみに僕はアクションゲームが
あまりうまくありませんので、
同じ場所で何回もミスをしてしまうんです。
岩田
「また、あの穴にはまったよー」
みたいな感じですか?(笑)
岩本
そうです(笑)。
まさにそのときが、いちばん感情が高ぶって、
「人に言いたくなっちゃう」ときだと思うんですよね。
逆に、すごくうまくコースをクリアしたり、
何か特別なことをしてクリアしたときに、
そのうれしい気持ちを
人に伝えたくなったりとかしますし。
岩田
たしかにそれはありますね。
岩本
そんな気持ちのときに投稿したら、
「自分もそうだった・・・」ということが
“共感”につながると思って、
そういうことをゲーム側から
うながしてくれるように注力しました。
岩田
あと、『Miiverse』は
「手書き投稿」もできるようになったので、
よけいにその気持ちの部分が
伝わる感じになりましたよね。
岩本
そうですね。
でも、その「手書き投稿」の話も、
ホントにあとから聞いたんです(笑)。
岩田
そうでしたね。
最初から「手書き投稿」をする
仕様ではなかったんですよね(※13)、じつは。
足助
それ以外に、『Miiverse』では、
手元のWii U GamePadで
コメントが読めるようにしました。
岩田
あ、そうなんですね。
足助
もともと、テレビ画面で
『Miiverse』を表示させようとしたら、
たくさんの吹き出しが出てきて
画面が見づらくなってしまって・・・。
岩田
吹き出しがジャマをするんですね。
足助
でも“共感”するメッセージは
すぐに読んでもらいたいんです。
そこで、テレビ画面には
Miiの顔だけが表示されるようにして、
ここで「誰かがつぶやいてるぞ」
ということがわかって、
手元を見るとけっこうでかい文字で
コメントが読めるんです。
岩田
文字だから、手元のほうが読みやすいですしね。
足助
そうなんです。
しかもボタンを押すことなく
読めるのがいいんです。
それとテレビの画面より、手元の画面のほうが、
ほんの少しだけ遠くまで見渡せるようになっていて、
「この先はどうなっているんだろう?」というときは、
Wii U GamePadの画面を見るといいんです。
岩田
へえ~。
足助
それでも見渡せなかったら、
タッチでかんたんにスクロールできますし。
岩田
ついつい、テレビ画面とWii U GamePadの両方に
いつでもおんなじ絵が出ていると
思っちゃいますけど、
じつはそうではないんですね。
足助
はい。マップ画面は違います。
なので、今回はマップの使い勝手が
どんどん広がったと思います。
岩田
そういう意味では、
これからもWii Uの2画面を活用するノウハウが
たまっていくんでしょうね。
足助
はい、きっとそうなると思います。