青沼 |
考えて考えて、考え尽して、
「これ以上もう考えられない、ワーッ」
という状態になっちゃうと、やっぱりいい結果は出ない。
そこらへんは本当に難しいというか、
ある意味、気力の勝負ですよね。
本当に今回の開発では、
体力と気力というのが必要なんだなと、
40を超えて、つくづく感じました。
軽く、生命の危険を感じたくらいに(笑)。
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岩田 |
宮本さんは、体力と気力についてはどうでした?
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宮本 |
ぼくは、おもしろかったですね、今回の開発は。
もうワーッて集中できたというか、
まだ体力あるわと思ったということでもないねんけど、
なんかやってて楽しかった。
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岩田 |
(笑)
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青沼 |
ていうか、おかしいです(笑)!
もう50超えてる人が
ぼくよりも遅くまで会社にいますから(笑)。
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宮本 |
「わー、久しぶりに楽しいわー」
言うてやってたね(笑)。
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青沼 |
勘弁してくださいよって、
最後はぼくがちょっと
音を上げるぐらいの状態だったので。
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岩田 |
そこまですごかったですか(笑)。
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青沼 |
ちょうど疲れてくる11時とか12時ぐらいに、
もう宮本さん帰りはったかなと思ったら、
ピポーとかってメールが届くんですよ。
「うわっ、まだいてはる!」とか思って、
もう、一発で目が覚めますよね。
あのメール攻撃は、かなり厳しかった(笑)。
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宮本 |
後半はけっこう乱暴に出してましたね。
丁寧に書くときは本当に
フローチャートの状態にまでして
「こんな感じになればいいんですけど」
というふうに仕様を伝えていくんですけど、
最後のほうは粗くなってしまって。
ほとんど箇条書きみたいな状態だったから、
初めてあれを見た人は、
やけくそでまとめてると思うかもしれない(笑)。
あんまり指示が粗いと、現場のスタッフから
「ちょっと演出しておきました」
って返事が返ってくるんですけど、
中にはやっぱりそれが「違うな」ということもあって、
もう、そういうのは即座に
「よけいなことはしなくていいです」
とかって書いて返信してしまう(笑)。
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岩田 |
厳しい(笑)。
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宮本 |
どうしても言いたいことが伝わらないときには、
キャラクターどうしのセリフのやり取りまで
具体的に書いたりするんですよ。
そういうのを送ると、セリフの担当者から
「このまま入れさせていただきます。
もう私は必要ないということですね」
とかいうイヤミなメールが来たりして(笑)。
あ、もちろん、そういうやり取りは、
お互いにどういう感じで伝わっているかわかってる
つき合いの長いスタッフとだけ、やってるんですよ?
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青沼 |
でも、そのメールを同報されて、
初めてそういうやり取りを読む
若いスタッフもいるわけですよ(笑)。
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宮本 |
ぼくとその人の関係を知らない人があれを読んだら、
「この人、こんなこと言われて大丈夫かな」
って思うでしょうね。それか、
「宮本茂は毒を盛られるんちゃうか」とか(笑)。
青沼さんとかそのあたりの人たちとは長年やってるんで、
だいたいぼくの毒の具合がわかるんですけど、
若い子がそれを突然読むと
「えらいことになってる!」と思うみたいで(笑)。
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岩田 |
そうでしょうね(笑)。
そういうときに中堅どころのスタッフが、
「あ、こういうときは大丈夫だから」って
フォローしていたと聞きましたよ。
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青沼 |
でもね、またここでフォローするわけじゃないですけど、
そういう厳しいメールをもらいながらも、
「もうダメです」みたいになる人はいなかったですよ。
最後までけっこうがんばってくれた。
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宮本 |
うん、がんばってくれたね。
それは、ものすごく助かりましたね。
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青沼 |
ええ。
宮本さんにきついことを言われたら、
言われたなりの何かを返す、みたいなことは
みんな最後までがんばってやってくれたので。
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