宮本 |
責任者にまとめて渡すというパターンが多かったんです。
しかも、なるだけ現場には行かないようにして
メインの担当者とだけ、やり取りする。
現場の運営は任せてあるわけですからね。
ところが今回は、さすがに関わる人数が多くて、
若い開発者もたくさんいましたから、
見えないところでいろんな指示が飛び交うよりも、
関わる人たちに見える形でやったほうがいいと思って。
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岩田 |
ああ、なるほど。
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宮本 |
まあ、気になる人は読んだらいいし、
気にならない人はもう無視してもいいという形で。
要は、あなたの先輩がそれをどう受け取ってるか、
どう理解して、どう返すのか、というところまで含めて
全部見てもらったほうがいいと思ったんです。
ま、でも、いちいち全員にやったわけじゃないですよ。
本来であれば2〜3人にするような話を
10人くらいに同報していたという感じで。
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青沼 |
今回、やっぱりスタッフが多かったので、
たとえばぼくだけに指示が集まると、
手配や段取りをするだけでも
すごく手間になってしまうというところがあったので、
そういう意味では、関係者全員に
宮本さんの指示が行くという体制はよかったですね。
それぞれの担当者がそのメールを見て、
自分なりの考えをすぐにフィードバックして
「じゃあ、こうしよう」ということが
効率よく決定していきましたから。
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宮本 |
そういうふうにした裏のテーマとしては、
ひとつの問題に対する判断の基準というのを
担当外の人にも理解してもらうことで、
その基準を統一したかったんですね。
そうすると、ほかの問題の解決も早くなるから。
やっぱり、関わる人数が増えてくると
話がうまくかみ合っていかないから。
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岩田 |
でも、何十人もいると、そこまでしても
なかなか基準を統一することは難しいでしょう?
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青沼 |
そうですね。
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宮本 |
だから、指示や結論だけではなく、
どうしてそうなるのかという
経過や背景を書くようにはしたんですよね。
ただ、それでも……。
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青沼 |
それでも、初めて『ゼルダ』に関わる人が読んだら
わけがわからないだろうなっていうメールが
いっぱいありましたけどね(笑)。
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宮本 |
うん。ちゃんとついてきてないともうわからへん(笑)。
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青沼 |
だけど、わけがわかんないということはわかるから、
「これ、宮本さんは一体
どういうことを言ってるんですかね?」
って聞きに来たりする人はたくさんいたので。
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岩田 |
聞きに来てくれたら、まだいいですよね。説明できるから。
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