岩田
Wii Uが世の中に出たら
どんなことが起こってほしいか、
栗栖さんからいいですか?
栗栖
はい。発売後、追って
PCやスマートフォンからでも
『Miiverse』にアクセスできる予定です。
家でゲームをした記録が外出先でも読めたり、
友達と遊ぶ時間を約束したりもできますので、
そこから幅が広がるといいなと思っています。
岩田
ゲームのことを考える時間が、
リビングルームにいるときだけじゃなくなるんですね。
スマートフォンはよく、
「ゲーム機のライバル」と言われますが、
「ライバルじゃなく、友達になる方法もある」
とわたしは思っていて、
今回はそのひとつのトライですよね。
栗栖
はい。はてなの本業は
PCやスマートフォン向けの
ウェブサービスをつくってきた会社なので、
『Miiverse』がこれから
PCやスマートフォンに本格進出していくことで、
「はてなの本当の強みを活かせるんじゃないか?」
と思っています。
岩田
元山さんはどうですか?
元山
僕はふだんから
いろんなウェブサービスをつくっていますが、
オンラインのコミュニケーション手段を提供することで
「現実世界のコミュニケーションが
豊かになることを実現したい」
と思っているんです。
いつもとは離れた場所でも、『Miiverse』を使えば、
「今度は家に集まって遊ぼう」っていう感じで、
「実際に会うキッカケが生まれるといいな」と思います。
岩田
自分の知り合いが、
同じゲームを楽しんでいることを
知るチャンスが増えたらいいですよね。
加藤さんはどうですか?
加藤
わたしも栗栖さんや元山さんと
話がかぶるんですけど、『Miiverse』は
Wii Uを遊んでいない方でも
十分楽しめるものになっています。
いずれ、遊んでいる方と遊んでいない方が
コミュニケーションをとれるようになる予定ですので、
遊んでいない方でも「楽しそうだな」と
思える場になれたらと思っています。
岩田
はい、湯澤さん。
湯澤
よく、PCとかスマホとかで
“ライフログ”(※23)を記録することがありますよね。
『Miiverse』では“ゲームライフログ”じゃないですけど、
「今日はここまでクリアしました」とか、
日記のような感じで使ってほしいですね。
※23
“ライフログ”=生活の中での体験を、映像・ 音声・位置情報などのデジタルデータとして記録すること。
岩田
“クラウド型(※24)ゲーム日記”になるといいですね。
※24
クラウド型=従来、コンピューターのソフトウェアやデータなどは、ユーザー自身で保有・管理していたのに対し、クラウド型は、サーバーにソフトウェアやデータを置き、ユーザーがインターネット経由でサービスを利用できるのが特徴。
湯澤
はい。『Miiverse』がきっかけで、
友達になった人と通信対戦ができたり、
今後、よりゲームに多様性が生まれると思います。
たとえば、ゲームがおわったあとに
『Miiverse』でコメントをしたり、
対戦結果が自動的に投稿されて、
過去の投稿を思い出しながらディスカッションをしたり、
「ゲームライフに『Miiverse』が浸透してくれればいいな」
と期待しています。
岩田
ただ今後、お客さんの数が増えていけばいくほど、
そのぶん、サーバーは大変になっていきますし、
とくにタイムライン(※25)の表示には
いろいろと難題が出てきそうですが、
それについてはどう考えていますか?
※25
タイムライン=過去に投稿された文章などを、時系列順形式に表示したようなものを指す。
湯澤
はい。タイムラインというシステムは、
抽出する部分が人によって異なるので、
なかなか大変で、試行錯誤しています。
世界各国の方がそれぞれストレスなく、
スムーズに見られることもポイントです。
栗栖
それに今回、『Miiverse』には
タイムラインで見かけて気に入った人を
「フォロー」するという仕組みがあるので、
たとえばわたしが100万人くらいの方から
「フォロー」されている場合、
わたしがひとことあいさつしただけで
その100万人のみなさんに届かないといけない、
という問題もあります。
岩田
たくさんの「フォロワー」を集める
カリスマユーザーが現れた場合でも、
システムがパンクしないような対応が必要、
ということですね。
栗栖
はい。わたしは多分、
『Miiverse』においては、“岩田社長”が
その対象になるんじゃないかと思います(笑)。
岩田
いや、それはわかりませんが、
しっかり対応していきましょう(笑)。
では最後に、お客さんにひとことずつお願いします。
湯澤さんからいいですか?
湯澤
はい。今回、起動したらまず、
「わらわら広場」(※26)が見られます。
それはいま、『Miiverse』で起こっている
縮図みたいなものですから、ぜひそこから
「『Miiverse』へジャンプしてほしい」と思います。
興味あるゲームとか、いま遊んでいるゲームについて、
ほかの人がどんな楽しみかたをしているのか、
ぜひのぞきにきてください。
きっと自分でも書き込みたくなると思うので、
投稿型のインターネットサービスに不慣れな方も
少しずつ体験を重ねていただければと思います。
※26
「わらわら広場」=Wii Uを立ち上げたホームメニュー画面に、ゲームのアイコンと、そのゲームを遊んでいる人たちのMiiが出てきて、交流する仕組み。出てくるゲームのアイコンは、すべて自分が持っているものとは限らず、さまざまなMiiがわらわらと登場し、画面上には感想などが表示される。いわば、ゲームのホームメニュー画面とおすすめ機能を統合したかたち。
岩田
加藤さんはどうですか?
加藤
わたしからも似たような感じになりますが、
いままでソーシャルネットワークに
あまり触れていない方や、
肌に合わなかったという方に、
ぜひさわってもらいたいと思います。
ゲームから投稿できたり、
ゲームの中に『Miiverse』のデータが入ってきたり、
といった新しい試みもしていますので。
岩田
きっと、『Miiverse』を使っていただくと、
Wii Uの面白さって
飛躍的に広がっていくんでしょうね。
加藤
そう思います。
ネットワークを使うことで
ゲームの面白さが広がったことと同じように、
『Miiverse』を使うことで、
『Miiverse』対応のゲームの面白さを、
新たに味わってもらえるのではないかと思います。
岩田
はい、栗栖さん。
栗栖
『Miiverse』単体でもさわってほしいですし、
ぜひゲームからどんどん
『Miiverse』へ投稿してほしいと思います。
面白いシーンを見つけたら
HOMEボタンを押して、
スクリーンショットを投稿できますから、
ぜひゲームにつながる
コミュニティを活用してほしいです。
岩田
HOMEボタンを押して、
『Miiverse』に行くと、
そのときに表示されていたゲーム画面の
スクリーンショットを投稿できるようになっているんですよね。
栗栖
ええ。それに「ネタバレボタン」もありますので、
ネタバレを見たくない人には、
ちゃんと見えない仕組みもしっかり用意しています。
岩田
それに「ネタバレだから隠したほうがいいですよ」
ってことを、通報する仕組みもありますからね。
栗栖
はい。そういうところを活用していただいて、
ゲームとつながる部分を
楽しんでいただきたいと思います。
岩田
はい、元山さん。
元山
僕はどちらかというと
ふだんウェブサービスをよく使っている方に
使ってほしいと思っているんです。
既存のソーシャルネットワークのサービスは
ほぼテキスト文化ですけど、
『Miiverse』には手書きメッセージがあります。
書きかたのクセなどから、コミュニケーションが
「より伝わるんじゃないか」と思うので、
手書きのよさを実感してほしいなと思います。
岩田
はい、ありがとうございます。
“メラビアンの法則”(※27)というものがあって、
人が実際に何かしゃべっているのを
見たときに受ける印象のうち、
言葉そのものから受ける影響は7%しかなくて、
あとは声の調子や、見た目などが
印象を大きく左右するそうなんです。
逆に言うと、テキストだけの
ネットコミュニケーションというのは、
本当に一部しか伝わっていない可能性があります。
でも手書きは、それを部分的に補えますし、
そこにMiiの表情ボタンがつけば、
同じことを言っても、怒っているMiiの顔か、
笑っているMiiの顔かで、
印象はすごく変わるでしょうからね。
※27
“メラビアンの法則”=1971年にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱した法則。人の行動が他人にどのように影響をおよぼすかは、話の内容などの言語情報が7%、口調や話の早さなどの聴覚情報が38%、見た目などの視覚情報が55%の割合とされる。
元山
そうですね。
岩田
“共感”というキーワードをもとに
いまのサービスのかたちができあがりましたので、
“共感”を楽しんでくれる人が増えるといいですね。
みなさん、今日はありがとうございました。
一同
ありがとうございました。