岩田
では最後に、それぞれにみなさんの言葉で、
『ゼルダ』を遊んでくれるかもしれない人たちに
おすすめの言葉をお願いします。
久田
はい。先ほども話に出たように、
見た目も変わりましたし、操作も変わりましたし、
いままで地つながりだった箱庭のゲームという印象からは、
今回はすごく変わったと思います。
そもそも社長が訊くの第5回の話にあったように、
「『マリオ』のコースセレクト画面でいいんじゃないか」
という話が出てきたくらいで(笑)。
岩田
あの話は衝撃でした(笑)。
久田
そのくらい今回は
「変えよう」という意識を持ってつくっていたんですけど、
じゃあ、ぜんぜん違うものかというと、そうでもなくて・・・。
岩田
どう見ても、まぎれもなく『ゼルダ』ですよね。
久田
はい。『ゼルダ』なんですよね、正真正銘の。
実際にプレイしてみると、
「ああ、自分ってかっこいい!」と
思えたりしますし、手ごたえとしては
やっぱり『ゼルダ』だと思うんです。
で、『ゼルダ』のいいところは残しつつ、
さっき言ったように、なるべく新しい部分を
スタッフ全員が悩みに悩んでがんばって入れたところが
すごく活かされていて・・・。
岩田
しかも、遊ぶ人ががんばっていると
励ましてくれますしね(笑)。
久田
そうです(笑)。
今回は応援してくれるキャラもたくさん出てきますし、
旧作をずっとやってこられた方も、新しい方も、
すっと遊べるようなものになっていると思います。
あとは、「怖いゲームが苦手」という
女の人にも手にとってほしいですね。
岩田
『ゼルダ』は男だけのゲームじゃない、
ということですね。
久田
「そうじゃありませんわよ!」っていうことです(笑)。
岩田
わかりました(笑)。
では、丸浪さん。
丸浪
わたしはどうしてもオブジェクト推しになってしまいますが、
先ほど、背景に溶け込むという話がありましたけど、
じつはオブジェクトは、これまでのシリーズと比べて、
サイズ的には大きめにつくってあるんです。
たとえばルピーも・・・。
岩田
確かに、ずいぶん大きくなりましたよね。
丸浪
そうしたのは、
せっかくジャラジャラと出したルピーを
確実に取ってほしいと思ったからなんです。
でも、視認性を上げるための大きめな
見た目であるにもかかわらず違和感がないのは、
今作の少しデフォルメされた世界観ならではだと思います。
あと、リンクの体力を回復するハートなんですけど、
今回はフィールドのあちこちに生えていて・・・。
岩田
まるで花のように生えてますよね。
丸浪
「バクダン花」があるので
「ハート花」があってもいいじゃないかということで(笑)。
それに、今回はダンジョンだけでなく
フィールドにも遊びがたくさん入っていて、
そこでも体力を回復させる必要が出てきたんです。
だからといって、すべてのフィールドに
ハートの入ったツボをめったやたらに
置くわけにはいきませんよね。
そこで、もともとはハートを手に入れるための
手段のバリエーションとして、
チューリップみたいに咲いてる
“ハート花”を咲かせることになりました。
結果、フィールドに限らず、
いろんな場所に咲くことになりましたので
初心者の方にも親切な設計になっていると思います。
ぜひ初めての人にも遊んでいただきたいですね。
岩田
はい。では、岩崎さん。
岩崎
いまの丸浪さんの話の流れで言うと、
今回、「がんばりの実」というアイテムが初めて登場します。
これは別に応援してくれるわけじゃないんですけど(笑)、
今回はダッシュができるものの、しばらく走ってると
「がんばりゲージ」が減ってきて息切れしてしまうんです。
で、体力を回復させるための
丸い緑色の実をつくったんですけど、
そもそも「がんばりの実」というものが
現実世界にも、これまでのシリーズにもないものなので、
最初は「それって、どういうデザインにすればいいの?」と。
岩田
誰も見たことのない実ですからね。
最初は、どんな設定で「がんばりの実」を
つくってほしいという話だったんですか?
岩崎
「いろんな場所に生えている植物で、
力がわいてきそうな見た目で、
しかもスッキリさわやかな味がしそうなもの」と。
岩田
スッキリさわやかな味ですか(笑)。
岩崎
なので、デザインもそれを意識して、
息切れしそうなところには必ず配置しましたので、
どんどん活用していただきたいです。
岩田
スッキリさわやかに
ダッシュをしてほしいということですね。
岩崎
はい。あともうひとつ、
「ビートル」というアイテムなんですけど、
Wiiモーションプラス(※14)での操作がすごく新鮮で、
飛ばすだけでもすごく楽しくておすすめなんです。
ダンジョンに入ったときは偵察することもできて、
オブジェクトに当てたりとか、
敵に向かって放つと、反応があったりするので、
ぜひ何度も飛ばして遊んでみてください。
※14
Wiiモーションプラス=ジャイロセンサーを内蔵し、Wiiリモコンに取り付けることで細やかな動きを感知できるようになる周辺機器。
岩田
廣野さんは?
廣野
「スカイロフト」には
個性的な人物がたくさん住んでいるんですけど、
そこではサブイベントが
けっこうたくさん用意されているんです。
岩田
励ましてくれる以外にも、いろいろあるんですね。
廣野
はい(笑)。
それぞれ好きなように生きている感じで、
リンクにいろいろお願いする人もいたりします。
たくさんのスタッフが考えた
いろんなアイデアが詰まったキャラクターたちが、
リンクが話しかけてくれるのを待ち受けていますので、
たとえば、ゲームの進行に詰まったり、
「ちょっと冒険に疲れたな」というときは、
いったんスカイロフトに戻って・・・。
岩田
「スカイロフト」の住人と
たわむれてください、ということですね。
廣野
はい。とても楽しんでいただけると思います。
それから、そういった住人に注目をすると、
ファイがその人のことをいろいろ教えてくれるんです。
岩田
社長が訊くの第2回で、エフェクトを担当した
伊藤(晴康)さんも言ってましたけど、
「ファイキャプション」ですね。
廣野
そうです。敵と戦うときに
ファイは弱点を教えてくれたりするんですけど、
住人のこともいろいろと・・・。
久田
そう、面白いんです、あれ。
丸浪
いろいろ教えてくれますよね(笑)。
廣野
「この人は何なんだろう」と思ったら、
キャラクターにも注目してあげるといいかなと・・・。
岩田
今回は敵だけでなく
キャラクターにも注目、ですね。
廣野
はい。きっと楽しめると思います。
岩田
では最後に、保坂さん。
保坂
アクションが苦手な人でも、
ゲームが初めてだという人でも、今回の絵柄とか
リンクのかっこよさに惹かれてでもいいので、
ぜひ入ってきてほしいと思っています。
そうすれば、すごく引き込まれるストーリーと演出とで、
きっと、泣いてしまうと思いますので。
一同
(みんなでうなずきながら)そうそう。
保坂
それからもうひとつ、
わたし自身がゲームオーバーにならないように、
自分と関係のないところにも食いついて、
わたしなりに、強い敵に勝てるように
回復ポイントの配置を
調整してもらったところもあって・・・。
岩田
企画を考えるだけでなく、
初心者代表として、みんなが遊びやすくなるよう、
自分の意見も主張したんですね。
保坂
はい。「これじゃあできません」と。
そのような調整を細かいところまでして、
わたしのような人でも、最後まで、
必ず楽しめるゲームになったと思いますので
ぜひ遊んでいただきたいです。
岩田
今回の『スカイウォードソード』は、
すごく“濃密”なものをつくる一方で、
新しい方たちにも、どうすれば
「『ゼルダ』をやってみよう」と思っていただけるのか
ということについて、
じつはものすごいエネルギーをかけていた、
ということでもあるんですよね。
なので、ゲームをプレイしたことがないという方にも
遊んでもらえたら、すごくうれしいですよね。
保坂
そう思います。
それに今回は前作までを知らなくても楽しめる
『ゼルダ』の“はじめての物語”ですし、
その意味でも、初めての人にも楽しんでほしいです。
岩田
「がんばれ!」という声が聞こえてきそうですね。
一同
(笑)
岩田
みなさん、本当にお疲れさまでした。
一同
ありがとうございました。