岩田
では最後に、それぞれの世界をつくった立場から、
このゲームのことをまだよく知らない方に対して、
『スカイウォードソード』はこんなゲームなので、
こういうところがオススメですよ、
という話をしてもらおうと思います。
足助さんからお願いします。
足助
はい。『ゼルダ』がうまくなかった僕でも、
この世界にスッと入れて、スッと慣れていくような
そんな楽しいソフトになったと思います。
以前は、まわりの人たちが、
「『ゼルダ』ってこういうところが面白いんだ」と
すごく熱く語るのを聞いても、
僕には、ゼルダの遊びが難しすぎて、
その楽しさがよくわからなかったんです。
でも今回の『スカイウォードソード』で
思いどおりの操作ができるようになって、
敵と戦うアクションと、
謎を解いたときの両方の楽しさが
自然に実感できるようになりました。
ゼルダの楽しさを熱く語る人たちと
ようやく同じ場所に立てるようになったという、
そんな実感があります。
岩田
それは、『ゼルダ』が苦手だった足助さんが
がんばったから、そうなれたんですかね?
足助
がんばったというよりは、
ふつうに遊んでいたら、いつの間にかそこに到達していました。
Wiiモーションプラスを使っているので、
複雑なボタン操作も必要なく、
初めての人にもとてもわかりやすいと思います。
そのため、操作が難しいとは感じないままに
ゲームに入っていくことができ、
続けて遊んでいくうちに上達していることを
実感することができました。
そして、謎を解いていくことに対して、
段々と楽しさがわかってきたんです。
今回の『ゼルダ』は、
『マリオ』しか遊んだことのない人でも、
自然に操作がうまくなって
ゼルダの楽しさを味わってもらえると思うので、
ぜひ遊んでほしいです。
岩田
では、平向さん。
平向
足助さんが「マリオな人」なら、
僕は、かつては「ピクミンの人」だったんですが、
いまや『ゼルダ』のほうが長くなってしまって・・・。
岩田
「ピクミンの人」から「ゼルダの人」になったんですね。
平向
はい(笑)。で、今回は
“何度か行き来する”ということを意識して
「森」をつくりましたけど、
じつは『ピクミン』シリーズでもやっていたことですし、
『夢幻の砂時計』でつくった
「海王の神殿」でも似たようなことをしていたんです。
藤林
「海王の神殿」というのは、何度も入ることで、
深く潜ることのできるダンジョンだったんです。
岩田
なるほど。だから、平向さんのなかでは
『ピクミン』も『夢幻の砂時計』も
今回の『スカイウォードソード』も
全部つながっているんですね。
平向
そうなんです。
『ピクミン』も、30日あって、
日ごとに生き物の配置が変わったり、
成長していくようになっていましたけど、
今回も、お話の流れによって森がどのように変わっていくのか、
そういったところをぜひ楽しんでいただきたいですね。
最後に訪れたときは、とんでもないことになりますから。
岩田
え?
平向
あ、これ以上は・・・(笑)。
岩田
はい(笑)。では、伊藤さん。
伊藤
一般的に『ゼルダ』に対しては、
西洋の中世ファンタジーといったイメージを
抱いている方が多いと思うんです。
でも、今作にはロボットが出てきたりしますし・・・。
岩田
はいはい。前回の「社長が訊く」で、
「ロケットパンチが生んだ古代文明」
という話を訊きました(笑)。
伊藤
そうなんです(笑)。なのでよく
「ゼルダらしさとは何?」という質問がありますけど、
じつは魅力的なものであれば、
何でも受け入れてもらえるような懐の深さが
『ゼルダ』のなかにはあると思っているんです。
そのような自由な発想でつくられるソフトですので、
いろんな人がアイデアをどんどん出していって
たくさんの面白いものが凝縮された結果、
今回の“濃密”さにつながっているのではないかと。
その“濃密”なものが、
今回はWiiモーションプラスを使って
直感的に遊べるようになっていますので、
ぜひ楽しんでほしいと思います。
岩田
“濃密”なものが気持ちよく遊べるということですね。
伊藤
はい。あともうひとつ、僕は個人的に、
ファイというキャラクターが大好きなんです。
岩田
ファイというのは、
リンクといっしょに冒険をしながら
ナビゲートもしてくれるキャラクターですね。
伊藤
そうです。
「ファイキャプション」と呼ばれているシステムなんですけど、
たとえばいろんなキャラクターや敵を注目した状態で
ファイを呼び出すと、それらについて語ってくれるんです。
その内容がすごく面白くて(笑)。
岩田
物語では語られないことでも、
そこで知ることができるんですね。
伊藤
そうなんです。
なので、その「ファイキャプション」を使うと
世界がどんどん拡がっていくと思いますので、
いろんなものに注目していただきたいですね。
岩田
はい。では、これから何度も登場する藤林さんには
別の機会に訊くことになると思いますので、
最後にわたしから今日の感想を。
これほどの巨大なプロジェクトで、
これほどの長期間つくり続けて、
その間に、たくさんたくさん変更もして、
ときには迷わなかったはずもなく、
苦しまなかったはずもなく、
でも自分たちがつくったものを
じつに楽しそうに語れるのがいいなと思いました。
また、同じ地形で遊ぶということの意味を
自分ではある程度わかっていたつもりだったのですが、
今日もう一段深く理解することができました、
というのが、今日のわたしの感想です。
だから、同じ地形で遊び、
“濃密”になったことの意味を
いろんな人に実感してもらいたい、と
より強く思いました。
みなさん、お疲れさまでした。
一同
ありがとうございました。