「キャラクターたちがほめてくれる」
というのは、どういうことなんですか？

「火山」にはモグマ族が住んでいるんですけど、
その子たちとアイテムを使って遊ぶ、
みたいなネタを入れてみたんです。

「その子たち」という、その言いかたに、
なんだか、特別な思い入れとか愛を感じますね（笑）。

ええ（笑）。あの子たちがいないと・・・。

保坂さんは独りで冒険はできない、ということですか？

そうです（キッパリ）。
で、モグマ族と遊んで、成功すると
「キミ、すごいね！」みたいに・・・。

うまくいくと、ほめてくれるんですね。

はい（笑）。

「がんばれー！」みたいな感じで
応援もしてくれるんです。

そこはやっぱり、応援してくれる人がいないと
ダメだと思ったので・・・。

途中でキレてしまうということですね。

しかも、けっこうな頻度で応援してくれるんです。

え？ ほめてくれたり
応援してくれるのはけっこう頻繁なんですか？

ええ（笑）。

たまにしか応援してくれないというのは、
保坂さん的には、足りなかったんだと思います。

（笑）

だから、「ここでも応援してくれるんだ」
というくらい頻繁です。

それに、すごく強い敵と戦って勝つと・・・。
（片手を上げながら）
「よお、がんばったね」みたいな。

あははは（笑）。

「かっこよかったよ」
と言ってもらえるようにしました。

自分がかっこよく戦って
うまく結果を出せたときは、
やっぱりほめてほしいということですね。

しかも、その場でほめてほしかったんです。

ああ、まさに“応援ダンジョン”ですね。

でも、それ、すごくわかるんです。
わたしも『時のオカリナ』のときに経験があるので・・・。

久田さんはそっと
コントローラを置いてしまったくらいですからね（笑）。

でも、そのときに、（優しい声で）
「がんばれ。見ればわかるだろう？」と、
近くのキャラクターが言ってくれたら
気づくことができたかも・・・と。

誰かが励ましてくれたら、穴に気づいて、
そこに飛び降りる勇気が出たかもしれないということですね。

そうなんです。なので、
保坂さんが“応援ダンジョン”をつくったのは
すごく納得しました。

あと、もうひとつ言ってもいいですか？

はい、どうぞ。

最後のほうのフィールドの遊びも企画したんですけど、
その時点ではすでに、すべてのアイテムを持っていて・・・。

最後のほうだから、
アイテムが全部使える状態なんですね。

そうなんです。そうすると、
すべてのアイテムを使い分けながら
ダンジョンをクリアするような遊びになりがちなんですが、
わたしは３Ｄアクションがあまり得意ではないので、
たとえばわたしの基準で調整すると、
うまい人は物足りなくなるかもしれないし、
調整しなければ、今度はわたしのほうが
できなくなるかもしれないんです。

バランス調整が難しくなりますよね。

そうです。そこで、全部を封印しちゃおうと。

え？

つまり、丸腰で遊べるようにしたんです。

アイテムが全部使えるところなのに、
あえて封印しちゃうんですか。

はい。その場所に至るまでに、アイテムを
自在に操作できるようになっているはずなんですけど、
あえて丸腰にしてしまうと。
もちろん剣すらも持っていない状態になって、
すると、それまでは一撃で倒せていた敵からも
逃げざるをえなくなるんです。
なので、どんどんイライラもたまっていくし、
もちろんわたしのようにあまりうまくない人は、
イヤな敵からはいつも逃げているので
変わりはなかったりするんですが（笑）。

『ゼルダ』は、戦わずにやり過ごせる敵も出てきますからね。

でも、そのようにアイテムどころか、
剣や盾も使えないような状態になると、
うまい人もそうでない人も
フラットなラインで遊びなおせるかなと思ったんです。
そこで藤林さんに相談したら、ＯＫだったので・・・。

つくってみて、どうでしたか？　
遊んでみたらすごいストレスに感じたりはしないんですか？

じつは『風のタクト』の冒頭の遊びが
わたしはすごく大好きだったりするんです。
そのときは剣をなくしてしまって、
丸腰で妹のアリルを救い出すというもので・・・。

敵に見つからないよう
かくれんぼをしながら奥へ奥へと進んでいく遊びですね。

はい。あのような遊びを
今回もぜひ入れてみたいと思いました。
それに、今回は剣の操作感がすごくいいので
いったん使用禁止になるとしょんぼりするんですけど、
再び剣を手に入れた日には・・・
（目の前に剣を掲げるポーズをしながら）
「おおお〜っ！」って（笑）。

（笑）

ああ、なるほどね〜（笑）。
確かにそれはうれしいですよね。

本当にうれしいんですよ（笑）。
剣のあつかいがうまい方であればあるほど、たぶん・・・
「そうそう、オレってこうだったよね」みたいに、
自分の剣術のうまさを
再確認できるようなところもあると思います。
もちろんそこでも、
濃いモグマ族が応援してくれるんです（笑）。

丸腰になっている状態で、
やっぱり不安な人は不安になっちゃうところを
モグマ族が出てきて、「がんばれ」って（笑）。

さすが“応援ダンジョン”ですね。
でも、実際に遊んだら、
もう、保坂さんの声が聞こえそうな気がしますね（笑）。

わたし、実際・・・聞こえたかも（笑）。

（笑）