少し時間があるようですので、
最後にひとつだけお訊きすることにします。
横田さんが『時のオカリナ』で
好きな曲をひとつ選ぶとしたら、
どの曲になりますか？
横田さんに対して１曲選べというのは、
すごくつらい質問でしょうけど（笑）。

強いて１曲を選ぶとすれば、
「ゼルダの子守歌」という曲です。
ニンテンドー3DS体験会で自分が演奏した曲なんですけど、
あの曲は家でずっと練習していたくらい好きな曲だったんです。
というのも、任天堂の入社試験を受けるときに、
ピアノの腕前を試されるんじゃないかなと思って・・・。

入社試験用に練習したんですか？（笑）

はい。実技試験があると思って、
たっぷり練習したんです。
そしたら・・・なかったんですね（笑）。
自分なりにピアノアレンジしたんですけど、
そのくらいいい曲だと思います。

わかりました。近藤さんは？

１曲と言われると、変なのを言ってしまいそうで（笑）。

そうなんですか？（笑）
では３つを選ぶとすれば？

自分で3DSでやっていて、
「ああ、これはよくできてるなあ」というのが
何曲かあったんです。
自分で言うのも恥ずかしいんですけど（笑）。
ひとつは・・・ゼルダのお城に行くときに、
見張りの兵士に見つからないように
庭でかくれんぼをする曲です。
タイトルは忘れちゃったけど。

確か「ハイラル城中庭ゲーム」ですね。

あれ、かくれんぼ的な曲で、
抜き足差し足ですり抜けて
見張りの兵士からうまく隠れることができたらホッとする、
みたいな感じが曲で表現できていて、
「なかなかうまくやってるなあ」と（笑）。

１０年以上前の自分を
自分でほめたいくらいなんですか（笑）。

そうそう（笑）。

やっぱり近藤さんにとっての音楽としての価値は、
メロディがどうかではなく、
求められてる機能に対して
しっかり対応できたサウンドになっているかどうか、
ということなんでしょうね。

そうです。

あの曲は、あそこでしか使われないんです。
しかも、あのミニゲームは１回しか遊べないので
貴重なＢＧＭなんですよね。

１回こっきりのミニゲームで
クリアするとゼルダ姫に会えるんですね。

そうなんです。
なので『時のオカリナ 3D』では、
その曲にも注目しながら、遊んでいただきたいですね。

ふたつ目の曲は？

さっきの話にも出た「コッコ当てゲーム」です。

ああ（笑）。あれはいい曲ですよね。
自分でも、「コケケケケケケケ」と言いながら
遊んでいたくらいですから。

あれは本当にニワトリの声を表した曲で。

そこでも機能を表してるんですね。

そうですね。そんな感じで、
ニワトリが逃げ回っているというところを
テンポよく表現できたかなと思います。

最後の１本は？

えーっと、そうですねえ・・・。

王道の曲が
ひとつも来ないのがうれしいな（笑）。

じゃあ、「スタッフロール」の曲を。
あれは音楽に合わせたように
絵が進んでいるように見えるんですけど、
じつは絵が先にあって、それに合わせてつくったんです。

え？ あれ、音が先じゃないんですか？

ええ。

音楽を合わせてるんですか？

できあがったムービーを見て
あとから音楽をつけているので・・・。
だから、女の人が現れたら、
その人のボーカルが入るようになっています。
あの女の人、誰だっけ、名前、忘れちゃった（笑）。

・・・マロンですね。
エポナの歌をうたう・・・。

そうそう、マロンちゃん。
マロンが現れたら、歌声が出るようになってるし、
ゴロンが出てきたら、太鼓の音が鳴るようにしてるし、
１曲、１曲のなかで、そういうアレンジをしているんです。

あー、それは驚きです。

・・・近藤さん、ごめんなさい。
ここはカットかもしれない・・・。

あ、そう。エンディングの曲だから？

いえ、いま、最終調整してるんですけど、
なかなかうまく合わなくて・・・。

横田さん、これは、やらないとダメでしょう。
何といっても、近藤さんのお気に入りの３本に
選ばれた曲なんですから。

あ、はい、そうですよね・・・。
3DSだとエンディング中でもロードがあるので、
そこで若干ズレちゃうという問題があって・・・。
いえ、でもなんとかします！ はい。

だからエンディングまで
楽しんでください、ということですね。

はい。ぜひ楽しんでください！

みなさん、今日はお疲れさまでした。

ありがとうございました。