今回のリメイクについては、
開発チームとソフトの相性が
とってもいいように思えるんですよ。

そうですね。
もともと、このチームならうまくやってくれるだろう、
ということで担当してもらってるんですけど、
事前に予想した以上の水準で、すごくうまく回ってますね。

NINTENDO64時代の名作に対する敬意のようなものが
うまく作用している気がします。

それは、あるかもしれませんね。
このタイトルをあずかってるんだっていうことに対して、
まぁ、ぼくが言うのも変ですけど、
みんな、ちょっと誇らしく感じてるというか、
集中力が上がってる感じですよね。

『オカリナ』を担当しているチームなんかは
ほんとうに、そうですね。

「これをやらせてもらっていいんですか？」
っていう（笑）。

つまり、自分たちのつくったものが
世界中の人に届くということを
確信しながらやれるんですよね。
それは、いいソフトをリメイクするときの
恩恵のひとつですね。

そうですね。
あらかじめ、きちんとしたプライドを持っているから、
「ここまでやる」という水準を高く保てるんです。
もう、逆にぼくのほうが、「ああ、十分です」って
すぐにＯＫしてしまうような感じで（笑）。
いや、ほんとに、いまはチームがうまく回ってます。

いいテンポで、ものができてる感じがありますよね。

はい。あの、今回、どの開発チームにとっても
はじめてのハードでしょう？
ふつう、はじめてのハードに取り組むときって、
わからないことが多くて、どうしても、
「できない言い訳に終始する」
みたいなことが多いんですけど、今回、わりとみんな、
それを乗り越えるのが技術なんだ、みたいなプライドを
当たり前のように持ってやってくれているというか。

そうですね。
むしろそれ以上というか、
いろいろなことがまだそろっていなかったり
整っていなかったりするということを、
喜んでる感じさえ、あるんですよ。

ああ（笑）、
技術者ってそういうところがありますよね。
「これ、どうやってやってると思います？」
みたいな気持ちが（笑）。

はいはいはい（笑）。
私も、プログラマーをやっていたとき、
その気持ちはすごく大きかったですよ。
やりたいことがあって、でも簡単にはできないというときに、
技術でカバーできるのがうれしいんです。

それは、ゲームをつくるときの大きな動機のひとつですよね。

ええ。
だって、私、昔、
つくったものを任天堂へ持ってくるとき、
ちょっと技術的に面白いことができたときには
「これは、どうやってるんですか？」って
訊いてくれないかなぁ、っていつも思ってましたもの（笑）。

その気持ちはよくわかります（笑）。
「えっ、ここまでできるのかぁ」っていう反応を
目にするのがたのしみなんですよね。

ええ。

そういうふうにして
ハードのポテンシャルを引き出してくれると、
あとに続くソフトが豊かになるんですよね。
とくに、ニンテンドー3DSというのは、
たたきがいのあるハードだと思うので。

ええ。ものすごくいろんなことができそうな感じがします。
その意味でも、今回、２本のソフトをリメイクした
意義は大きいなぁと感じているんですけれども。

ええ。

宮本さんは、この２本のソフトをリメイクするときに、
『オカリナ』や『スターフォックス６４』をまったく知らない
新しいお客さんのことを意識しました？
それとも、「ああ、懐かしいな」っていう人たちですか？

うーーん、それは、両方ですね。
昔遊んだことがある人でも
まったく退屈せずにできるように仕上がっていますし。

そうですね、はじめての人には、
もう、純粋に新しい体験でしょうし。

そうなってると思います。
たとえば『スーパーマリオブラザーズ』なんかも
いろんなハードで何回かつくってるんですけど、
そのたびに、知ってる人とはじめての人が
一緒になって、たのしく遊んでくださるんで、
それは、なんというか、うれしいですね（笑）。

はい。