岩田 |
河本さん、『脳トレ』シリーズを2本作って、
自分の作ったソフトを
ものすごくたくさんの人に遊んでもらったあとで、
「つぎはWiiのチャンネルを作ってくれ」
って言われたとき、どう感じました?
なぜふつうのゲームを作らせてくれないんだって
思いませんでしたか?
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河本 |
思っていない、と言ったらウソになりますけど(笑)。
でも、そうですね、たとえば「写真チャンネル」でいうと、
ぼくにはまだ幼い息子と娘がいるんですよ。
当然、写真もいっぱい撮ってまして、
それをノートPCで管理したり、
見たりするときのわずらわしさを感じてました。
ノートPCで子どもに写真を見せようとしても
画面よりもキーボードに興味がいってしまって、
キーを押したがったりするので。
そういうときに、岩田さんから
「テレビの大きな画面でデジカメの写真を見よう」
というコンセプトをいただいたので、
どういうものを目指せばいいかということは
すぐに理解できました。
そういうものが欲しいなと自分でも思っていたわけですから、
作ってくれと言われたときは、ある意味うれしかったですね。
自分が欲しいものを作れるわけですから。
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岩田 |
そういう背景があるからかもしれませんが、
私が、こういうものを作ってくれと言ってから、
最初の試作品ができるまでがものすごく早かったですね。
正直、こんなにすぐ作れるのかと驚いたくらいで。
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河本 |
やはり、日ごろから自分がデジタルカメラに接していて、
もっとこうだったらいいのにという
考えがあったからだと思います。
その意味では、迷わずそのまま作ったという感じでした。
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岩田 |
しかも、その最初の試作品の段階で、
いまの基本構造やテイストはほとんど完成してましたよね。
もちろん、細かいところは調整されてますが。
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河本 |
基本的な閲覧の仕組みや、
拡大縮小やモザイクといった加工、
スライドショーなんかは初期の段階からありましたね。
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岩田 |
チャンネルの中ではもっとも早い段階で
具体的な形になってましたね。
それをみんなが見たときに
「ああ、Wiiはこういうことができるのか」
ということですごく説得力がありましたから、
チャンネル全体の開発を進めるうえで
非常に貢献したと思っています。
その構造は、私と河本さんで『脳トレ』の開発を
スタートしたときに似ていますね。
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河本 |
ああ、けっこう似てますね。
あのときもぼくは、ニンテンドーDSのソフトを見て、
「どうして手で書くだけのソフトが無いんだろう?」
とずっと思っていたんです。
そんなときに岩田さんが計算ソフトの企画、
いまの『脳トレ』でいう「計算20」のモードですね、
それを作ってくれと言われて。
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岩田 |
川島先生の理論をDSで電子化しようというときに、
河本さんのチームにまず提案したのが
「計算20」だったんですよね。
あのときの試作品も、ほとんど完成されてました。
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河本 |
チューニングは甘かったですが、
基本的な構造や、触ったときの楽しさは変わってませんね。
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岩田 |
河本さんはソフトのディレクターですが、
系統としてはプログラマー出身のディレクターですよね。
ですから、プログラムを自分でできる強みがあるんです。
つまり、自分で思ったことは、仕様書なんか書かなくても
自分で作っちゃえばいいという、手の早さ、スピード感。
私もプログラマー出身ですから、
そのあたりにすごくシンパシーが湧くんです。
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河本 |
それは、はじめて聞きました(笑)。
そういう考え方もあるんですね。
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岩田 |
「写真チャンネル」を作るときに、
こだわったことはなんでしたか?
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