岩田
時間がまだちょっとありますし、
何か言い残したことはないですか?
宮本
じゃあ僕、先に仕事に戻りますね。
岩田
(部屋の外に出て行くのを見届けて)
じゃあ、宮本さんの前では
言いにくいことを訊きましょうか。
一同
(笑)
堂田
でも、記事になったら・・・。
嶋村
あとから読まれてバレちゃいますよね(笑)。
一同
(笑)
岩田
まあ、それはそれとして、
宮本さんから言われて
いちばんきつかったことは何ですか?
嶋村
いちばんきつかったのは・・・。
岩田
企画者には容赦ない人ですからねえ。
嶋村
「モードをもう1個つくれ」と言われたのは
かなりショッキングでしたけど、
「こんなんやってたらアカンで!」というようなことは
いつも言われてました。
「こんなんやってたら、いつまでもまとまらんで!」
という・・・アドバイスをいつもいただいてました。
一同
(笑)
岩田
アドバイスね(笑)。山下さんは?
山下
僕は「自転車レース」をつくってたんですけど
「まったく面白くないっ!」と。
岩田
キョーレツですね(笑)。
山下
「なんも面白くないっ!」と。
僕はただ「あああ、そうですか・・・」と
答えるしかなかったんですけど
本当に厳しかったですね。
岩田
「まったく面白くない」というのは厳しいですね。
光がいっさい見えませんし。
山下
「自転車レース」をつくりはじめた頃は
どこかで迷ってたんですね。
そもそもノープランではじめましたので・・・。
岩田
ノープランは嫌いですからね、宮本さんは。
山下
でも、そう言っていただいたので、
最終的には、仕様を見つめ直す機会にもなりましたし、
とてもありがたいと思っています・・・
これってちょっとキレイに言い過ぎてますでしょうか?
岩田
(笑)
嶋村
でも実際そうなんですよね。
ああ言ってもらえなかったらたぶん・・・。
山下
本当に自分たちだけで進めていると、
安易な方向に行ってしまいがちなところもあったんで、
結果的にはよかったですね。
嶋村
あと、数ヵ月に1度、宮本さんに対して、
プレゼンというか、報告会がありまして・・・。
岩田
恐怖の報告会ですね(笑)。
嶋村
まさに恐怖の報告会なんです(笑)。
山下
1人1時間ずつ立たされますしね。
岩田
立たされちゃうんですか?(笑)
一同
(笑)
山下
宮本さんの前で、
開発中のゲームの説明をするために・・・。
岩田
それは立って説明すると言うんですよね。
山下
確かにそうですね(笑)。
そのときに「ここはアカンな」、
「そうですね、はい、はい、はい」ということが
1時間くらい1人ずつ続きまして・・・。
嶋村
しかも12種目、24モードもあるから、
すごく時間がかかるんです。
山下
そうなんです。
それで僕が1時間半くらいやられたあとに・・・。
岩田
やられたあと・・・(笑)。
山下
「アーチェリー」を担当したプランナーの・・・
本人の名誉のために、仮にHさんとしておきましょうか。
岩田
はいはい、Hさんね。
嶋村
Hさんは担当だけあって
「アーチェリー」がものすごくうまいんです。
ふだんはド真ん中にブスブス当てるようなことを
カンタンにやってのけるんですね。
山下
ところが、その報告会のときは
実演するときにぶるぶる震えてたんです。
嶋村
画面を見たら、上下左右にすごく揺れてるんですよ。
ふだん、あんなに揺れるのは見たことがないと思って
「揺れてるよ」と声をかけたら、
「・・・武者震いです」と(笑)。
一同
(笑)
山下
指摘したらもっと揺れが大きくなってたしね。
嶋村
で、あさっての方向に矢を飛ばしたりして。
たぶん武者震いがとれるデバイスは
Wiiモーションプラスが世界初なんじゃないでしょうか。
岩田
(笑)。で、その武者震いのプレゼンは、
宮本さんにダメ出しされずにすんだの?
嶋村
あのときは・・・。
山下
やっぱり、ダメでしたねえ。
一同
(笑)
山下
でも、そのあとはすごくよくなりました。
岩田
そういった厳しいチェックが
情報開発本部のソフト品質を支えてるんですね。
みなさん、本当にお疲れ様でした。