岩田
開発期間が延びたとき、
受け取り方は2通りあると思うんです。
せっかく年末に出せるように頑張ってきたのに、
ハードにトラブルがあって製造開始が遅れたので、
自分たちが努力したことがムダになってしまったと、
そんなふうに考える人もいるでしょうし。
宮本
そういう受け取り方もできますね。
岩田
もうすぐゴールだと思いながら走ってきた人たちに
「お前たち、ついてるぞー!」と叫んで(笑)、
フルマラソンをもう1回走れみたいなことを言って、
9ホールを2倍の18ホールにしろと言ってみたりと。
宮本
そういうことが言えるのも、
受けてくれるスタッフがいるからこそ、なんですよ。
「ゴルフはね、18ホールだと思ってるお客さんが
9ホールだと、がっかりしちゃう人もいるし、
そういう人たちのためにも
18ホールつくったほうがいいよね」と言うと、
みんなが受けてくれるので、すごく健全ですよね。
同じ、延びるにしても。
岩田
「もうすぐゴールだ」と思っている作り手の気持ちを考えると、
それが健全な面だけなのかどうなのかはわかりませんけど(笑)、
最終的によくなれば、それは健全なことですね。
宮本
ただ、とくに日本のお客さんに対しては
新しいタイトルの発売が延びてしまって
それは本当に申し訳ないと思っています。
岩田
でも、宮本さんが
「お前たち、ついてるぞー!」と叫んで
その後にやったことは、
「ゴルフ」を18ホールにしただけじゃなかったんでしょう?
嶋村
はい。モードを新たに追加することになりました。
山下
もともとのスポーツ数は12種類で、
各スポーツには、それぞれいくつかのモードがあるんです。
嶋村
それだけでも、十分なボリュームだと思ってたんですけど・・・。
山下
ところが「もう1個足しませんか?」
という話があって。
岩田
誰がそんなことを言い出すんですか?
山下
チーム内からはなかなか言い出せないですよね。
やっぱりそれは・・・(笑)。
一同
(笑)
宮本
岩田さんが言ったんですよ、「1個足せ」と。
岩田
え?
宮本
「まだまだボリュームが足りないと
社長が言ってるんだけど、どうするの?」と
僕がみんなに伝えたんです。
岩田
はあ・・・(笑)。
山下
まあ、社長命令だったら仕方ないですね。
嶋村
やるしかないですよね。
一同
(笑)
岩田
わたしが何を言ったのかは別にして(笑)、
新しいモードには何が入ったんですか?
嶋村
「スカイダイビング」です。
山下
それを決めるのに、休日出勤して、
嶋村さんともうひとりのディレクターと3人で
ヒザをつき合わせながら、話し合ったんです。
「どうしましょうか・・・」
「開発期間がぜんぜんないですよね・・・」
「デバッグまで時間もありませんしね」
という話をして、いくつかの案を考えたんですけど、
そのうちのひとつが「スカイダイビング」だったんです。
宮本
賢いですよね、しっかりアイデアを考えたのは。
普通は月曜日の朝に、僕のところにやってきて
「できません」と言うことが多いんです。
岩田
そんなとき、宮本さんはどう答えるんですか?
宮本
「できない理由は聞きたくない」と。
岩田
(笑)
宮本
でも今回は、そのステップを踏まなかったんですよ。
岩田
時間を節約したんですね(笑)。
開発のための期間は限られてるし。
宮本
そもそも、できない理由を最初から言うのではなく、
「これならできます」という提案があるのが基本ですよね。
岩田
そうですね。
山下
だからもう、アイデアを考えて
つくるしかなかったんです。
岩田
でも「スカイダイビング」は
ちょっと見せてもらいましたけど、
短期間でつくったようには見えませんでしたよ。
山下
よかった(笑)。
宮本
実際の話、ゆっくりした動きを
そのままダイレクトに反映する種目が、
ちょっと足りないなあと感じてたんですね。
山下
「アーチェリー」と「遊覧飛行」の
2種目だけでしたからね。
宮本
だから、誰でもできて、
すごくわかりやすいものはないかなあと思っていたところに
「スカイダイビング」が追加できたので
それはよかったと思いますね。
山下
でも追加したのは、それだけじゃなくって・・・。
岩田
まだあるんですか? 追加したものが(笑)。
山下
「カヌー」の対戦モードがそうなんです。
もともとこの種目は、協力プレイにするか、
それとも対戦できるようにするかで、
ちょっと迷った時期があったんです。
でも、対戦は盛り上がるけど負ける人がいるし、
協力プレイにしたほうが
いがみ合わなくていいんじゃないかということで、
その方向でつくることにして
年末までにキッチリできあがっていたんです。
ところが・・・。
岩田
ところが・・・?
山下
「やっぱり対戦はあったほうがいいよね」と。
岩田
宮本さんが、また(笑)。
山下
ところが、対戦することを想定してなかったので、
1人用でも処理がパンパンになるんです。
岩田
もともとその予定で
つくっていたわけじゃないですからね。
山下
だから、2画面分割で対戦ゲームをつくるのは
とても厳しいという話になったんですけど、
1画面で対戦するのであれば、なんとかなりそうだと。
宮本
もともと対戦は、分割画面で遊ぶより
ひとつの画面で遊んだ方がおもしろいんですよね。
だから、結果的にも相性がよかったと思います。
岩田
開発期間が延びたうえに、
最後の最後まで本当にお疲れ様でした。
それでは最後にお客さんへのメッセージをお願いします。
まずは佐藤さんから。
佐藤
『Wiiスポーツ リゾート』では、
「ピンポン」のような馴染みのあるスポーツでも、
さも自分がうまくなったかのような
ものすごいスーパープレイが体験できます。
「ピンポン」は最後の最後まで磨きをかけましたので
実際に卓球をやったことがない人も
もちろん経験者の人にも、
ぜひ楽しんでいただきたいですね。
岩田
最近、ちょっと遊ばせてもらったんですが、
ちょっと告白すると、わたしは一時期、
ものすごく夢中になったことがあるんですよ、
本物の卓球に。
そのためもあるんでしょうが、
無心で「連続リターン」を続けているときの感覚は、
自分にとってものすごくリアルでした。
年甲斐もなく、ちょっと血が騒いでしまいましたよ。
それでは、堂田さん。
堂田
「ピンポン」や「ボウリング」は
ちょっとはずれますけど、
今回の『リゾート』の種目に関しては、
見たことはあるけれど、やったことのない種目とか、
実際にやるのはけっこう大変なものが多いので、
そこで興味を持っていただければいいなあと思います。
岩田
「スカイダイビング」とか、
なかなか体験できるスポーツじゃありませんからね。
堂田
実は、スタッフのひとりは
『リゾート』で興味をもつようになって、
実際にスカイダイビングに行ったりしたんです。
ですから、『リゾート』を通じて
リアルな遊びにも関心をもっていただけるとうれしいですね。
岩田
はい。じゃあ嶋村さん。
嶋村
今回は、クセがあるけどおもしろい種目が
『リゾート』という名の下に
うまく集まったと思います。
たぶん、すべての種目を気に入る人は
なかなかいないかもしれませんけど、
自分が大好きな種目はきっと見つかると思います。
それに、12ジャンルの種目がありますので、
毎月1個ずつやっても1年間楽しめます。
たとえば「今月はこの種目をモノにしよう」と決めていただいて、
じっくり遊んでいただいても
応えられるものになっていますので、
ぜひご家庭で、ひとり暮らしの方も含めて、
みんなで集まって楽しんでいただきたいなあと思います。
岩田
それでは山下さん。
山下
今回はやっぱり前作の存在がとても大きかったので
前作に追いつけ、追い越せの気持ちでやってました。
で、実際につくり終えてみて
今回も前作と同様に「絶対におもしろい」と
胸を張って言えるものになっていますので、
たくさんの人たちに遊んでいただきたいですね。
岩田
じゃあ、最後に宮本さん。
宮本
このゲームを遊んで、
「ウーフーアイランド」に詳しくなってほしいなと。
岩田
アイランド構想ですね。
宮本
この島に詳しくなっておけば、
さらに次のゲームも楽しめます(笑)。
岩田
(笑)
宮本
それと今回は、
Wiiモーションプラスが1個ついてくるのですが、
対戦用にできたらもう1個手に入れて欲しいんですね。
というのも、今後はこれに対応した
ライセンスの商品もいろいろ出てくるでしょうし、
ぜひともおすすめします。
岩田
ちなみに今回の『Wiiスポーツ リゾート』は
手頃な価格でお届けしたいと思っています。
2人以上で遊んでほしいですから。
もう1個のWiiモーションプラス単体も
お買い求めいただきやすいような価格に設定しました。
Wiiをすでにお持ちのお客さんには、
これに触れておかないともったいないですよと
わたしからは言いたいですね。