任天堂 E3 2011情報
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コンセプト映像
6. 『NEW スーパーマリオブラザーズ Mii』
岩田
「Wii U」で、『マリオ』はどう変わり、
『ゼルダ』はどう変わり、というのは
たぶん世界中の人たちが聞きたいことなんでしょうけど、
いま、宮本さんが言えることって、何ですか?
宮本
えー・・・あまりたくさんのことはまだ語れないんですけども、
任天堂もHDの画面で、
シェーダー(※9)を使うとかですね、
そういうレベルに今度やっと乗り出しますから。
そういう意味では、より・・・
なんて言うんですかね、
「より臨場感のある」ゲームを遊んでもらえる、
というふうにはなると思います。
※9
シェーダー=主に光や影などの表現を行うグラフィックス処理回路やプログラムのこと。
岩田
臨場感、ですね。
宮本
はい。それから、『マリオ』は・・・
どうでしょうね。
ちょっとテストをしてみても、やっぱり、
着地ひとつをとっても絵がこまかくなっただけで、
ちょっとどきどきしますから。
ただまあ、それをこの新しいコントローラとあわせて使うのか、
『時のオカリナ 3D』のように、
たとえばサブ画面として
この新しいコントローラがあればよいと考えるのか、
それ自体を使って遊ぶようにするのか、
まだ具体的には決めていないんですけれども、
マリオには、両方の可能性がありますね。
岩田
そもそも、今回、『New スーパーマリオブラザーズ Mii』
という名前のソフトを発表しましたが、
そこでは『マリオ』がMiiで
遊べるようになったじゃないですか。
宮本
はい。
岩田
あれは、どんな経緯で、ああなったんですか?
宮本
そうですねえ・・・。
これはすごく決断は迷ったんですけど、
Wiiの『New スーパーマリオブラザーズ Wii』(※10)
4人で遊ぶときに、
マリオとルイージと2人のキノピオがいて、
「どうして2人はキノピオなんですか?」
っていう話になるんです。
岩田
まあ、これまでも4人で遊ぶと
すごくおもしろいんですけど、
だれがだれなのか
わからなくなってしまうこともありましたしね。
宮本
ああ、そうなんです(笑)
※10
『New スーパーマリオブラザーズ Wii』=2009年12月発売のWii用アクションゲーム。
岩田
「さっき、そこでヘマをしたキノピオはだれなんだ!?」
みたいな感じですよね(笑)。
キャラクターに色はついているんですけど、
つい、熱中するとわからなくなりますし。
宮本
ただ、ピーチで遊べるようにすると、
同じプロポーションでピーチの遊びをどうするかとか、
ワリオだと違う性能が望まれるとかが出てくるんですね。
とはいえ、全員キノピオにするわけにもいかないですし、
そういう中で、「Miiが使えたらいいなぁ・・・」
という話が出てきたんです。

ただ、「マリオというゲームの主人公が
Miiで本当にいいのか?」っていう悩みは、
いまだにあるんです(笑)。
でも、お客さんが一番遊んでみたいのは
自分のMiiだろうな、ということで、
今回、そう決めました。
Miiというよりも「自分のマリオ」だと思って、
使ってもらえたらと思っています。

それと、解像度が上がることで、
ちっちゃくなってもMiiがちゃんと見えるんですね。
それから、遊びのほうは単純に、
Wiiリモコンを横向けに持って
4人で遊ぶ環境っていうのがそろっていますから。
岩田
Wiiリモコンを、もう家族の人数分お持ちで、
テレビも大画面のHDテレビになっているという環境が
もう整っていて、
これを受け入れていただける準備ができたお客さんって、
世の中にすでにたくさんいらっしゃるので、
そこはたぶん、伝わりやすいですよね。
宮本
そうですね。
岩田
私も、「解像度が上がる」ということが、
マリオのようなゲームでは
どういうふうな恩恵を受けるんだろうと思っていたんですけど、
はじめて『New スーパーマリオブラザーズ Mii』の
試作品を見せてもらったときに、
すごくわかりやすい恩恵だと思いました。
宮本
特に3D系のゲームはそうですね。
岩田
はなれていても、だれだか一発でわかる、ということですね。
宮本
はい、そういうことです。
それと、ああいう横スクロールタイプのゲームであれば、
ひとりで遊ぶときは、大きなテレビを使わなくても、
このコントローラの画面だけでも遊べるんですね。
そして、直前までテレビで遊んでいても
家族のだれかがテレビを見たいということになったら、
自分はコントローラの画面でゲームを続ける
ということもできるし、大画面のテレビで、
みんなに見せながらゲームをすることもできるし。
選択肢が広いと思います。
岩田
一方、いままでになかった、全然新しいものを
つくっていくということでいうと、どうなんですか?
「Wii U」ができたことで、
そういうことも考えやすくなりましたか?
宮本
うーん、そうですねぇ・・・。
でも、僕はいつも新しいことを考えるのを
「どうしよう?」って悩むことはないんですね。
「新しいことはあるはずだ」って思うほうなので。
毎回、なにか終わったときには
「次は、それを超えるものはできるのか?」って
言われるのが常なんですけど。
岩田
それは、シリーズものでも一緒ですよね。
だって、マリオやゼルダで、
「やり尽くしたら、次はどうするんですか?」って
言われますからね。
宮本
ですよね。
1作終えたあとはやり尽くした、って
つねに言いますからね。
岩田
そのときはやり尽くしたけど、
またすぐ出てくるということなんですか?
宮本
そう、僕は「また新しいことが出てくる」
というふうに思うほうなんです。
ただ・・・
今回はかなり選択肢が広いというところもあって、
何を考えたらいいのか、逆に絞りにくいかもしれません。
岩田
ああ・・・思いつくネタがいっぱい出るから、
逆に上手に絞らないと、かえって発散しちゃう
というのがむしろ悩みなんですね。

・・・いま、世の中でゲームをつくっている人たちって、
「次は何をしたらお客さんに喜んでもらえるか?」
ということが、昔よりも見えにくくなってきていますよね。
「もっと中身を詰めこんだり、もっと密度を上げたり、
もっと量を増やしたりしたらお客さんは喜んでくれるはずだ」
って、これまでやってきたと思うんですけど・・・。
やっぱり、次に宮本さんから
どんな遊びが生まれてくるのか、楽しみになりました。
期待しています。
宮本
わかりました、がんばります(笑)。
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