5. クリエーターになるということ
岩田
間さんは今回、初めて自分が中心として
つくり手を経験されたわけですけど、
完成したいま、「大変だった」とか、
「おもしろかった、もっとやりたい」とか、
どんな気持ちがいちばん強いですか?
間
うーん、そうですね・・・。
周りの人には本当に申し訳ないんですけど、
「ぜひ、もっとやりたいなぁ」と思っています(笑)。
岩田
それは今回の経験で、いろんな周囲の人から
フィードバックを受けて、
次へのエネルギーが得られているからですか?
間
そうですね。それもありますし、
やっていくうちに自家発電みたいに、
どんどんテンションが上がってきたんです。
岩田
あぁ、自家発電ができてるとしたら、
まちがいなくクリエーターに向いてますよ。
その人の原動力と合致しているわけですから。
間
そうなんですかね?
ありがとうございます(笑)。
岩田
誰に頼まれるわけでもなく、
周りが元気づけてくれなくても、
自然に頭も体も動くわけですから、
結果、自分が報われる循環ができやすいんです。
ただそこに至るまでに、
運不運であったり、ご縁や巡り合わせが
早く来る人とゆっくり来る人の
個人差があったりするんだと思います。
間
たしかに、そうでした。
岩田
それと今回はある意味、もともともあった
『FF』というコンテンツのエネルギーを
うまく自分のものに変換することができた、
というのはあるんでしょうね。
間
それはあると思います。
岩田
エネルギーそのものをつくって
生み出さなきゃいけないときって、
たぶんまったく同じチームでやったとしても、
自分が現場にテーマを打ち出して、
次々に判断していくということが迫られるんですけど、
この商品は『FF』へのオマージュとしてできていて、
そのクリエイションのエネルギーが
存在していたわけですからね。
間
そうですね。そこがまさに、
自分がクリエーターをいちばん尊敬している点で、
タイトルを引っ張っている人たちって、
いまの制作期間だと下手をすると1年以上の間、
ずーっと、一人きりで暗い道を
歩いているような感じじゃないですか。
岩田
はたから見て、そう見えますか?
間
見えます。
たとえ自分に自信がなくてもそれは言わずに、
「絶対あっちに行けば大丈夫、ついて来い!」
って言わなきゃいけない。
それはきっと、暗くて厳しい道だと思うんです。
岩田
本当は、行き先なんて誰も知らないんですよ。
ただ、「たぶんこっちに行ったらあると思う」、
あるいは「そこに自分の感覚だとか、
判断を信じて突き進む」ってことだと思うんですよね。
間
それをしてきた人間たちも、
そこから生まれた『FF』も、
本当に素晴らしいとつくづく思っています。
岩田
でも逆に、そういった部分を
今回、自分で経験されたことで、
ますますクリエーターを
敬うようになるかもしれませんね(笑)。
間
実際それはすごくあります。
自分が彼らほどいろんなものを抱えて、
裸で堂々と歩けるようになるには、
たぶんまだ時間がかかると思います。
でも、「いつかそうなれたらいいな」という気持ちも、
いまは自分のなかに、しっかりとあります。
岩田
わかりました。それでは間さん、
最後にプロデューサーとして
みなさんへメッセージをお願いします。
間
今回は本当に、自分が最初思い描いていたものよりも、
はるかにおもしろいものになった手応えがあります。
でも結局、自分たちでできることはここまでで、
あとはお客さん一人一人の記憶や経験が、
このタイトルを何倍にも
“化けさせて”くれる可能性があると思っています。
『FF』が好きなすべての方に、
長く楽しんでいただけると思いますので、
まずはぜひ、体験版(※18)からさわってみてください!
ちなみにこの体験版は、以前配信した楽曲とは違う
2曲を3つの難易度で体験できます。
岩田
今日わたしは、もともとはつくり手として
業界に入ったわけではない間さんが、
どうしてこういう商品をつくったのかをたどるなかで、
まるで何かに吸い寄せられるように、
この場に来ていただいたように思えましたし、
非常に興味深くお話を訊かせていただきました。
そして、そんな間さんがつくられた
『シアトリズムFF』が
『FF』にいろんな思い入れを持った方たちの
気持ちや記憶を呼び覚ますきっかけを、
手のひらのニンテンドー3DSで体験できる。
それがどんな風に受け入れられるか、楽しみです。
間
僕も、すごく楽しみです。
岩田
この商品がたくさんの方に届くように、
我々も引き続き頑張っていきたいと思います。
間さん、今日はどうもありがとうございました。
間
こちらこそ、ありがとうございました。