社長が訊く
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社長が訊く「フィットメーター」

社長が訊く「フィットメーター」

目次

4. テレビの前にいなくても

岩田

実際にフィットメーターと
『Wii Fit U』がリンクしてみて、
どんなふうに感じましたか?

「ゲームをしているとき以外も
 ゲームのことを感じている」といいますか、
いま、フィットメーターに記録をためていることが
常にゲームとリンクしていることに
ちょっと不思議な感じがします。

林03

岩田

フィットメーターのデータを転送するとき、
貯金箱に貯金が貯まるように
1日の活動量がたまりますからね。

そうなんです。
手もとで押したら金貨が飛んでいくように
「チャリンチャリン」と音が鳴る
のが
移動感があっていいなぁと思います。

岩田

実際に、手もとからものが飛んでいく感が
あるんですよね。

松永

はい。そこが『Wii Fit U』でもともと
つくっていた演出とうまく結びついたと思います。
フィットメーターと『Wii Fit U』がつながったとき、
僕もすごく手ごたえを感じたんですよ。
データは最大1か月分ためられるんですが、
1週間のグラフをならべてみて、
平日と休日で行動がぜんぜん違うことが
わかって印象的でした。

松永03

岩田

やっぱり自分の活動を
振り返れることが楽しいんでしょうね。

あと、消費カロリーを
1分ごとにグラフで確認でき、
階段の上り下りや歩行も色分けされます
から
パッと見てわかりやすいです。
何日か分、ためて送ると
「そういえばあの階段を上ったなあ」
って思い出せるので
ちょっとした“脳トレ”にもなります。

岩田

『Wii Fit U』で“脳トレ”ですか(笑)。

はい(笑)。一昨日の晩ご飯を思い出すように、
自分の行動を思い返すのは、けっこう楽しいと思います。

岩田

『Wii Fit』がテレビの前にいるときだけやる
というものではなくなったことが、
大きなポイントなんでしょうね。
杉山さんは、どう感じましたか?

杉山

残念ながらフィットメーターで
自転車に対応することはできなかったんですが、
山に登ったときに、山の稜線(※16)
気圧センサーで出ることが最初の目標だったので
きちんと出てほっとしました。

杉山03
※16
稜線=山の峰から峰へ続く線のこと。尾根。

岩田

はい(笑)。

杉山

あと、開発終盤に「フィットメーターチャレンジ」
という仕様を追加したんですが
これはフィットメーターで測定した
「歩いた距離」や「登った高さ」の分だけ
各都市のジョギングコースを走ったり
有名な山を登ったりすることができる
というものです。
これ、無性に進めたくなるんですよ。

岩田

目標が提示されると、人は俄然ムキになりますからね。
そういえば、「いまは地上にいるからここを0mとする」
という操作もありましたよね。

松永

はい、高低差を気圧センサーで計っているので
環境の変化によって気圧に誤差が出てしまうため
いつでもリセットできるように入れました。

岩田

たしかに、気圧センサーですから
高気圧や台風などの“天気”にも
影響を受けてしまうこともあるんですね。

はい。それにこれはもともと杉山さんの提案で、
「山を登る前に0mにもどしてから登りたい!」
って言うんで、仕様変更して入れていただきました。

岩田

それも仕様変更だったんですか。

杉山

あとから言ったので、だいぶ怒られましたが・・・。

ちなみに気圧のことがわかっていれば、
たとえば自分が動いていないのに
高度が上昇している場合は
「低気圧が近づいてきたんだな」
とわかるようになります。
台風のときなどは、
100mくらい高度が変化していました。
あと地下鉄の駅に着いたときとトンネルを
通過しているときとで気圧が大きく変化するので、
乗り降りした駅の分だけ気圧に山ができます。
グラフで見ると、地下鉄で何駅進んだか
だいたいわかるんですよ。

岩田

へえー、何駅かわかるくらいの変化があるんですね。
わたしは、海外出張で飛行機に乗ることが多いのですが、
飛行機から降りてフィットメーターを確認したときに、
画面にきれいな気圧の山のグラフができていて
非常に面白かったです。
これを読んだ方は、ぜひ気圧の変化にも注目してください。

そうですね(笑)。

岩田

ところで北堂さんは、
フィットメーターがゲームとくっついた
状態をご覧になって、
どんな印象をお持ちになりましたか?

北堂

1日の足りない活動量を
ゲームで楽しく消費しようという点が
「いい使い方だなぁ」と思いました。
ふだん、我々がつくる活動量計には
ゲーム的な機能がないので
「あと30分歩いてください」という
アドバイスくらいしかできないですから。
あと、フィットメーターに
Miiの似顔絵が出るのはすごくいいと思います。

北堂03

岩田

「自分のもの」という感じになりますからね。
遠山さんはいかがですか?

遠山

いちばんの違いは、やっぱり見せ方や形の違いです。
途中で追加された「相性診断」という機能に至っては
発想自体、我々には思い浮かばないですから
勉強になりました(笑)。

岩田

「相性診断」とはどういう機能ですか?

松永

フィットメーター同士をかざして通信させると
「相性診断」ができるんです。
お互いの過去24時間の行動パターンを比較して
似通っているほど相性が上がります。

岩田

ああ、同じパターンで生活している人同士ほど
相性がいいということですね。

松永

はい。行動パターンが似ているご夫婦や
毎日いっしょに散歩するペットの犬などは
同じ行動パターンである確率が高いので、
相性が高くなります。

遠山

あっ、犬の話もおどろきました。
フィットメーターは犬にもつけられるんですけど
犬の活動量の単位が「ワンワン」とは!(笑)
我々からしたら、考えもつかないですよ。
(北堂さんに向かって)ねぇ・・・?

遠山03

北堂

ええ(笑)。

岩田

犬の場合は正確な消費カロリーが計れないので
「ワンワン」という単位で呼ぶんですね。

松永

はい。もっとかっこいい案も出たんですけど
「気楽にワンワンがいいよね」
みたいな感じで決まりました(笑)。

そうですね、気楽に。

松永

はい。

岩田

うん・・・。

一同

(少し沈黙のち、爆笑)

遠山

いやいや、我々の社内なら
「どうやって企画を通そう、これ!?」って。
だって・・・ワンワンですよ?

北堂

無理です。企画が通りません(笑)。

岩田

お互いにカルチャーショックを
受けあっているさまが面白いですね(笑)。
でも、この出会いがなければ
『Wii Fit U』はこの形になっていませんし、
市販の活動量計とはひと味違った
フィットメーターには、なっていなかったと思います。

遠山

そうですね。

岩田

いろんなところに持っていっていただいて
テレビの前にいないときにも
どれくらいカラダを動かせているかを自覚してもらえると、
『Wii Fit』はちょっと新しいものに変わるかな
という感じがしています。
今日はご足労いただきありがとうございました。

岩田02

一同

ありがとうございました。