1. はじまりは“遠足”から
岩田
今日は「社長が訊く『Wii Fit U』(※1)」ではなく
「社長が訊く フィットメーター(※2)」
という形でお届けします。
パナソニック(※3)さんと任天堂が協業して
この不思議な活動量計(※4)がどのようにつくられたか、
という話をお訊きできればと思います。
今日はよろしくお願いします。
一同
よろしくお願いします。
岩田
まず、みなさん自己紹介をお願いします。
遠山
活動量計のサービス企画を担当しています、
パナソニックの遠山と申します。
北堂
フィットメーターの開発を担当しました、
同じくパナソニックの北堂と申します。
活動量計の計測ソフトをつくってます。
杉山
今作『Wii Fit U』では
プロデューサーを担当しました、
制作部の杉山です。
松永
『Wii Fit U』のディレクターを担当しました、
制作部の松永です。
林
『Wii Fit U』のサブディレクターを担当しました、
制作部の林です。
岩田
はい。さっそくですが、みなさん
まず「『Wii Fit』(※5)に活動量計があったら?」
という話はどのようにしてはじまったんですか?
杉山
あの、僕が言い出したんです。
『Wii Fit Plus』(※6)でMETs(メッツ)(※7)から
各トレーニングの消費カロリー(kcal)が
わかるようになりましたよね。
それとは別に、僕は自転車や登山が趣味なので
その時に汗だくになったぶんの消費カロリーと、
『Wii Fit』で運動したときの消費カロリーを
いっしょに管理できたらいいな、と
ずっと思っていたんです。
岩田
テレビの前にいないときの活動量も計って
ゲームといっしょに管理したいと思ったんですね。
杉山
そうです。
それで活動量計に目をつけたのですが、
開発のノウハウがなかったんですよ。
どこに協力を頼むかを探していたところ、
ハード系のチームから
パナソニックさんを紹介されまして。
岩田
ああ、そこから話がつながるんですね。
パナソニックさんとは以前、
ゲームキューブ(※8)をつくったときに
光ディスクの技術でいろいろとお世話になりました。
いまも継続的におつき合いいただいている会社ですが、
遠山さん、最初はどのように話がきたんですか?
遠山
最初はやっぱり“遠足”・・・ですよね?
松永
そうですね。
岩田
“遠足”というのは?
遠山
「美容・健康系の技術を見せてほしい」ということで
任天堂さんのメンバーの方が10名くらい、
うちの会社に来られたんです。
岩田
ああ、こちら(京都)から
パナソニックさん(大阪)まで
出かけていったから“遠足”なんですか?
遠山
はい(笑)。
それでいろんな技術をご紹介させていただきました。
もしかしたら、最初から活動量計に目をつけて
いらっしゃったのかもしれませんけど。
岩田
杉山さん、最初から目をつけていたんですか?
杉山
じつはそうです(笑)。
岩田
でも、いきなり「活動量計を見せてください」
って直球で言うのも気が引けますよね。
杉山
そのとおりです(笑)。
岩田
「大人数で、いったい何しに来たんだ!?」
と、遠山さんは思われませんでしたか?
遠山
「何をお話しすればいいんだ!?」と
社内でちょっとした騒ぎになりました(笑)。
文化がやっぱり違いますので・・・。
岩田
たしかに任天堂とパナソニックさんでは
文化の違いのようなものがあるのかも知れませんから、
「言葉が通じる人たちが来るんだろうか」と
感じられたんでしょうね。
遠山
はい(笑)。
岩田
でも、きっと活動量計以外にも
面白いものを見せていただいたんですよね。
松永
そうですね。睡眠に関する技術とか
お肌にまつわる技術とか・・・。
遠山
お肌をきれいにする技術なんて、
どうゲームになるのか
わからなかったですけど(笑)。
岩田
まあ任天堂は『顔トレ』(※9)といって
表情筋をトレーニングするソフトを
外部の先生とつくったことがありますから
美容と健康系の技術とはまったく無縁、
というわけでもないんです。
遠山
ああ、そうなんですね。
我々はそういった発想がないので
こういった技術がどうゲームになるのか、
ちっとも思い浮かばなかったですけど(笑)。