『マリオギャラクシー』のテーマ曲については、
この曲をつくった横田さんがコメントしたほうがいいでしょう。

はい。このときは人生のどん底を味わいました。
自分がつくる曲、つくる曲が
近藤さんにどんどんダメ出しされましたし。

そうでした（笑）。

なので「自分はこの会社を辞めるしかないな」と
本気で思ったくらいですから。
自分の人生で初めてそこまで思いましたね。

それくらい大きな生みの苦しみだったんですね。

わたしはもともとマリオはかわいいものだと思って
曲づくりをしていたんですが、
近藤さんに「マリオはね、かっこいいんだよ」と言われて。
それでつくったのが、ウィンドガーデンやこの曲なんです。
なので、どん底から這い上がった歓びの曲でもあるんですが・・・
詳しくは社長が訊く『スーパーマリオギャラクシー』をお読みください。

（笑）

でも、『マリオギャラクシー』のときは
「おお、『マリオ』がオーケストラで来たか！」と
僕自身、すごく感動したんです。
それで、「僕にもオーケストラをやらせてください」と言う
キッカケにもなったんです。

それで、永松さんも『マリオギャラクシー ２』のときに
オーケストレーションに参加することになりましたしね。

そうなんです。

実際、横田さんがいなかったら
オーケストラはなかったと思うんですけど、
宇宙の壮大な感じを出すためにもよかったと思いますね。
この曲は僕は担当していないんですけど、
『マリオ』の感じを残しつつ
壮大な『ギャラクシー』の感じが出たテーマ曲だと思います。

あ、ありがとうございます！

（笑）

次は『NewスーパーマリオWii』のタイトル曲。
これをつくったのは永松さんですね。

はい。自分が初めて
『マリオ』シリーズを担当することになってつくりましたので、
個人的にはすごく印象の深い曲です。

この曲、僕はけっこう好きなんです。

おお、ありがとうございます！
初めてです、ほめられたのは（笑）。

そもそも近藤さんが好きじゃないと、
このＣＤのなかに入らないですよね。

確かにそうですね（笑）。

実は、Wii版の『Newマリオ』の開発当時、
仕事の様子を聞く機会があったんです。
そのとき永松さんは
「『マリオ』の曲のつくり方はだいたいつかめました」と。

それはすごい！

ああ、それは・・・。

勢いで言ったんですか？

あれは何なんでしょう？
勢いで言ったんでしょうか・・・。

コツがあったら、ぜひ教えてほしい。

あのときは『マリオカートWii』の開発が終わって、
『NewスーパーマリオWii』の開発の中盤に入っていて、
たぶんその頃は、１、２曲つくったんですけど、
近藤さんのダメ出しが偶然にもなかったときだったと思うんです。

ダメ出しがなかったから
『マリオ』の音楽の神髄がつかめたと思ったんですか（笑）。

たぶん調子に乗っていたんだと思います（笑）。
で、その後になって、近藤さんから
「まだわかってへんな」と。
「僕もまだわかってへんのに」と言われまして。

（笑）

近藤さん、マリオサウンドの生みの親が
「僕もわかってへんのに」と言っているなら
いったい誰がわかると言うんですか？（笑）

（笑）。
でも、『NewスーパーマリオWii』のこの曲を聴いて、
けっこうつかんでいる部分もあるなと。

おお！（笑）

でも「部分」なんですよね。（笑）。

うん。「すべて」ではないんですけどね。

（笑）

なかなかキャッチーで、楽しい曲になったと思います。

ありがとうございます。

曲づくりを担当したみなさんは苦労していましたけど、
他の曲もDS版よりも豪華になりましたし、
『マリオ』の路線を守った、いいかたちになったと感じました。

で、最後の『マリオギャラクシー ２』。
このテーマ曲も横田さんですね。

『マリオギャラクシー ２』では、
いろいろやりたいと思っていたことが叶えられて、
しかもマリオミュージックのことがようやくわかりはじめましたし、
その意味では、思い出深い１作になったと思っています。

前作の『１』よりも垢抜けしたというか、
ちょっと飛び抜けた印象がありますね。
『マリオギャラクシー』のときは、
横田さんの「『マリオ』の音楽は難しい」という気持ちが
サウンドにも表れていた印象がありましたけど、
『マリオギャラクシー ２』のときは「楽しい」という雰囲気も入ってきたし、
さらに宇宙に飛び抜けたかなと、そういう感じがしました。
だんだんこなれてきたと言いますか、
これからのこの２人は、どんどん楽しみになりますね。

おお、これは・・・（笑）。

がんばります！

こうして、マリオ音楽の伝統は引き継がれていくわけですね。
今日は、みなさんがどんなことを考えて
マリオミュージックをつくってきたのかが明らかになりましたから、
ちょっと宣伝文句っぽくなりますけど、
『スーパーマリオコレクション スペシャルパック』に付いてくる
ＣＤを聴いたら、もう一度これを読んでいただきたいですね。

今日はマリオミュージックの謎がいくつか解けましたし、
次の『マリオ』プロジェクトがはじまる前に、
「社長が訊く」をやってほしいくらいです。
そうしたら、もっとつくりやすくなるような気がするんです。
これまでは開発が終わったあとに、
「ああ、そうだったのか」ということが多かったですし。

「はじめに社長が訊く」みたいに、ですか？

まさにそれです（笑）。

（笑）。
でも、今日はわたし自身も新しい発見がありました。
なぜマリオミュージックがユニークなのかという話を
いろいろ訊くことができましたし。
それに、いま紹介していただいた１０曲のほかに、
オマケの音もこのＣＤのなかに入っているんですよね。

はい。コインを取ったり、１ＵＰしたりといった、
おなじみの効果音を１０種類収録しましたので、
そちらのほうもお楽しみいただければと思います。

ＣＤが我が家に来るのが、ますます楽しみになりました。
みなさん、どうもありがとうございました。

ありがとうございました！