5. 初心者にも濃密ゼルダを

岩田

冨永さんは「何度も遊べるような場所にしてほしい」
というお題が来たとき、何を考えて、
どう実現しようと思いましたか?

冨永

たとえば同じ場所であっても、また次に来たときは
リンクが持っているアイテムが増えますので、
また別の遊びができるんです。
火山ですと、先ほど藤林さんが
バクダンを使うという話をしましたけど、
その次に来たときは弓矢にフィーチャーして、
もともと高低差のあるフィールドですから、
遠くの敵を狙撃するような遊びができるんですね。
しかもそのときは、あるキャラクターを守りながら
先に進まないといけなかったりするんです。

岩田

ひとりで斬り込んでいくのと、
自分以外のキャラクターを守りながら進むのでは、
まったく違う遊びになるわけですね。

冨永

そうです。
盾があれば、自分の身は守れますけど、
ほかにも守らなければいけない対象があると、そうはいきません。
それに、今度はボコブリンも弓矢を持って登場するんです。
リンクが弓を射ると、向こうも応戦してくるんですが、
物陰に隠れたりしながら、お互いに撃ったり撃たれたり、
という雰囲気をうまく出せたように思います。

岩田

しかも、二度目に訪れる場所だから、
どこに隠れたら有利だ、ということもわかるんですね。

冨永

地形が頭に入っているので、
とても遊びやすいと思います。

岩田

はい。では最後に、それぞれの立場から
お客さんへのオススメの言葉をいただきたいのですが、
冨永さんから、続けてお願いします。

冨永

はい。まず「火山」の話をすると、
もちろん謎解きも楽しめるんですけど、
がんばりダッシュなどを使ったアクションなども
バランスよく入っていますので、
丸ごと堪能していただけたらなあと思います。
それに、敵についてもいろんな動きが実現できましたし、
さっきのボコブリンも、やはり人間味あふれるというか・・・。

岩田

今日、何回出てきましたかね、ボコブリンの話(笑)。

冨永

あはは、すみません(笑)。

岩田

本当に、みんなでボコブリンを
愛してやまないという感じが、すごく伝わってきますねえ。

冨永

ボコブリンには、みんなのパワーと思い入れが
すごく詰まっていると思います。
本当にカワイイですし・・・。

岩田

だって今日、「ゼルダ」というキャラクターの名前は
一度も出なかったくらいですからね(笑)。

一同

(笑)

冨永

あの、ゼルダももちろんカワイイのですが(笑)、
先ほども話に出たギラヒムについて言うと、
Wiiモーションプラスの新しい遊びをうまく伝えるために
とても力を入れたキャラクターですので、
倒すのはかんたんではないかもしれませんが、
相手の動きをよく見て、なんとか打ち勝っていただきたいと思います。

岩田

なんだか、話を訊くだけでも、
遊んだ人の記憶に強く残る戦闘になりそうですね。

冨永

はい。ギラヒムも、ボコブリンに負けないくらい
思い入れが詰まっているので、
ぜひ楽しんでもらえたらと思っています。

岩田

はい、では木内さん。

木内

僕は敵をつくりましたので、
今回のWiiモーションプラスならではの戦闘を
ぞんぶんに味わってほしいと思っています。
剣以外にも、敵が攻撃してくるタイミングで盾を使ってみてください。
単純に盾を構えて防御してもいいですし、
少し慣れてきたら盾アタックにチャレンジしてほしいです。
ピンチからチャンスに転じることもできますから。
また、プランナーやプログラマー、デザイナーの熱意で
敵がいろいろな反応をしますので、
ぜひ、いろんなアイテムを使って戦ってみてください。
なかには思ってもいない反応をする敵もいるので
楽しんでもらえると思います。

岩田

では、尾山さん。
“入場番長”としてのメッセージをお願いします。

尾山

いや、“番長”というほどでもないんですけど(笑)。
今回は、『ゼルダ』がはじめてという人にも
すごく遊びやすいゲームになったと思います。
操作自体がすごく直感的ですし、
すごく細かい話になりますけど、崖際を走るときに
落ちにくい仕組みも入っていたりするんです。

岩田

これまでは、カメラの角度によっては
自分の位置がわからず、気がついたときには
崖から落下、なんてこともありましたよね。

尾山

はい。でも、今回はそういったところも進化していて、
あまり3Dゲームが得意じゃない方にも、
ストレスなく操作をしていただける『ゼルダ』になっていると思います。
ほかにも、あまり気づかれませんが、
プレイを快適にする仕組みがサラッと入れ込んであったりして、
今回は親切設計だということも
ポイントのひとつになっていると思います。

岩田

いままでもそうだったと思うのですが、
いままで以上に親切設計になったんですね。

尾山

そうですね(笑)。
なので、初心者の方にも
ぜひ“濃密ゼルダ”を楽しんでほしいです。

岩田

では最後に藤林さん、
何か補足することはありますか?

藤林

今回はあまりにボコブリンの話が多かったので、
チュチュというゼリーみたいな敵の話も(笑)。

岩田

ぷるんぷるんした感じの敵ですよね。

藤林

はい。→チュチュは横に斬れば、上下に分かれますし、
縦に斬れば、左右に斬れてしまう
のですが、
上下だとすぐ落ちてくっついて元にもどってしまいますし、
左右だと2匹に分かれてしまうので、すごく面倒な敵なんです。

岩田

アメーバのように分裂するんですね。

藤林

そうです。
なので、「どうやって倒すんだろうか?」
という代表例でもあるんですけど、
まず横に斬ると、空中で上下ふたつにパカッと分かれますので
続けて素早く、縦にサッと斬ると
くっつく前にやっつけられるんです。

岩田

つまり、2斬りで倒せるんですね。

藤林

はい。コマンドで出すワザではなくて、
プレイヤー自身が実際にWiiリモコンを動かして出す剣技です。
自分の剣の腕前がすごく上達した気持ちになれますし、
何より、すごく気持ちがいいんです。
とくに「火山」には、そのような敵や
よく見て倒す敵がたくさんいますので、
いろいろ試して、自分で剣技を編み出してほしいですね。

岩田

それにしても、今回ほど
「相手の動きをよく見て」というゲームは、
あんまりないかもしれないですね。

木内

実はたくさんありそうで、
あまりなかったように思います。

岩田

敵をつくる人からすると、木内さん、
けっこううれしいんじゃないですか?

木内

はい、やっぱりうれしいです。
それに戦うときの緊張感も
いままでとは違うんじゃないかなと思います。

藤林

緊張感といえば、自分の体力がなくなったときの、
ボコブリンの反撃がものすごく恐いんです。
カキンとガードされて、一発やられたらって思って
攻撃を躊躇してしまうんです。

岩田

ハートが少なくなると、ボコブリンが相手でも
攻撃をためらってしまうんですか。

藤林

そうなんです。
ハートがピコピコ鳴っていて、
あと一撃をくらうと倒されてしまう、という
そんな状況におかれたとき、
「どこから打ち込もうか・・・」
という緊張感が出るんです。

岩田

絶対にこのスキをつけると確信できないと、
なかなか手出しできないんですね。

藤林

で、間合いをとりながら、
「スキあり!」と、思いっきり剣を打ち込むと、
「カキーン!」と聞こえたりするんです。

岩田

ああ、剣でガードされて「カキーン!」なんですね。

藤林

はい。で、その直後に一撃をくらって
叫び声をあげると(笑)。
一時期は、部屋のあちこちから
そんな悲壮な叫び声が聞こえることもあって、
そのような緊張感のある剣戦闘も
今作のウリのひとつではないかと思っています。

岩田

わかりました。
ますます“濃密”ぶりが明らかになっていく
今回の『ゼルダ』ですが、
まだまだ、「つづく」ということで(笑)。
今回の『ゼルダ』は、ネタ密度がものすごく濃いので、
内容を少しくらい事前に知ってしまったとしても
実際に遊んでいただくときの印象を損ねるようなことは
ないんじゃないかと感じています。
ソフトがとても“濃密”なので、
「社長が訊く」もあえて“濃密”にしていますが、
「ネタバレが怖い」と恐れなくても大丈夫と、
読者のみなさんに強く申し上げておきたいです。
みなさん、今日はどうもありがとうございました。

一同

ありがとうございました。