岩田
火山では、どのようなネタが入っているんですか?
藤林
火山では「バクダン」がキーとなるアイテムなんです。
岩田
火山というフィールドに入って、
まず手に入るアイテムがバクダンなんですか?
藤林
そうです。
いちばん危ないもの同士がくっついてるのが、
ちょっと面白いんです。
火山は熱いところだから、
気をつけないとかんたんに暴発してしまうんですね。
しかも今回はダンジョンだけでなく、
フィールドでも溶岩が流れていたりもしますし、
安全に使わないと解けないネタもあるんです。
岩田
バクダンだけに、
「取扱注意」ということなんですね(笑)。
藤林
はい。で、今回のバクダンは上から投げるだけでなく、
下から転がすようなこともできるようになりましたので、
坂道を転がすこともできて、それがすごく楽しいんです。
岩田
Wiiモーションプラス(※3)を使って
カーブもかけられますよね。
※3
Wiiモーションプラス=ジャイロセンサーを内蔵した周辺機器で、Wiiリモコンに接続して使用する。
藤林
はい。これまでのシリーズのバクダンは、
怪しい岩があったら、それを壊して先に進んだり
モンスターの口に放り込んで倒したりと
使い方が限られていたんですけど、
今回は投げるだけでなく
転がすというアクションが増えて、
それをWiiリモコンの角度によって
使い分けられるようになっているので、
ネタがどんどん拡がりました。
たとえば、どうやって対象物にバクダンを近づけたらいいのか、
そういったことを考えるだけでも
新しい遊びにつながっていったんです。
冨永
それと、坂道を転がるのは
バクダンだけじゃないんですよね。
藤林
そうなんです(笑)。
岩田
何が坂道を転がるんですか?
藤林
敵です。
岩田
敵、ですか?
敵キャラクターを担当したのは
木内さんですよね。
どんなことをしたんですか?
木内
シリーズでおなじみのボコブリンという
敵モンスターがいて、敵を倒すと
ふつうはその場でひっくり返って
ボンと爆発しておしまいなんですけど、
今回は転がしてみようと(笑)。
岩田
坂道があるから、転がるのが自然だということですか?
木内
そうです。で、ボコブリンだったら
どんな転がりかたをして落ちていくんだろう?
ということで、いろいろ試してみて、
最終的には大車輪のように転がり落ちるようになりました。
冨永
その転がっていく様が、
見ていてとても・・・カワイイんです(笑)。
岩田
え、カワイイんですか?(笑)
木内
はい(笑)。
なので、倒したあとも、
そのまま素通りせずに、
転がる姿をじっと見ていたくなります。
藤林
その様を見たいがために、
わざと突き落としたりして(笑)。
木内
あと、そもそもボコブリンは、坂道の途中にある
見張り台のような場所にいることが多いんですけど、
そこから矢を射ってきたり、
岩を投げつけてきたりするんですね。
で、リンクが「がんばりダッシュ」で坂を駆け上がったとき、
ちょうどその見張り台に手がかかることがあるんです。
藤林
すると・・・リンクは両手でぶら下がった状態になります。
木内
そこで、「よいしょっ」と
見張り台にはい上がろうとしたとき、
近くにいるボコブリンに見つかってしまうと、
サササッと駆け寄ってきて
リンクの手を足で踏もうとするんです。
岩田
手を足で? それはひどい(笑)。
木内
で、リンクは滑り落ちちゃうと。
岩田
なんだか・・・マンガのような展開ですね(笑)。
藤林
ボコブリンに見つかったときは
「ふにゃ」と言うので、
「ああ、見つかってしまった」というのがわかるんです。
しかも、踏んづけられるときも、
ボコブリンがニヤッと笑ってるように見えるんです。
岩田
実際は笑ってないのに、ですか?
藤林
はい、なぜかそう見えちゃうんです(笑)。
木内
そこで、踏まれたら悔しいので、
なんとか反撃したいと思いますよね。
そんなときは、ボコブリンが岩を投げようと
頭の上に持ち上げたタイミングのときに、
ボコブリンに、パチンコを撃つといいんです。
すると・・・。
岩田
岩を頭の上に持ち上げているから・・・
ああ、はいはい(笑)。
木内
そんなふうにやっつけることもできます。
あと、パチンコ以外でも、
そのときに持っているアイテムを使うと、
ボコブリンは予想外の反応をすることもありますので、
いろいろ試していただきたいですね。
岩田
なんだか、ボコブリンは敵なのに、
今回は大活躍している印象ですねぇ。
冨永
そうなんです。
これまでのボコブリンは、
単に剣を振ったり、弓矢で攻撃してきたりと、
リンクのじゃまをするだけの存在だったんですけど、
今回は“人間味”のあることを
いろいろやってもらっています。
藤林
なので、ボコブリンにはいろんな種類がいるんです。
森に住むボコブリンは、とても原始的な姿なんですが、
砂漠に住むのは、スタイルも少し変わっていて、
ものすごく近代的な武器を持っていたりもします。
岩田
へえ〜。
藤林
で、ランタンを持って歩くヤツもいると思えば、
なかには電気でビリビリする剣を持ってるヤツもいて。
岩田
そこにリンクが剣で斬りかかると
どうなるんですか?
藤林
斬りかかった向きを
その剣でガードされてしまうと、しびれて
しばらくの間、動けなくなってしまいます。
岩田
なるほど。
でも、そんなふうにボコブリンが多彩になったのは
どうしてなんですか?
藤林
今回のプロジェクトでは、
たとえば「森」「火山」「砂漠」のフィールド別に
縦軸にグループをつくって、
それぞれが開発を進めていたんです。
でも、ボコブリンたちはどのフィールドにも登場しますので、
敵をつくるグループは横軸だったんですね。
で、「火山さんのボコブリンはこんなことするんですけど、
砂漠さんはどうしますか?」みたいな感じになりました(笑)。
木内
すると「じゃあ、うちではこんなことを」みたいな感じで、
みんながいろんなアイデアを出してくれたので、
ボコブリンの面白さがどんどん上積みされて、
より個性的になっていったんです。
藤林
声もすごくいいんですよ。
さっきの「ふにゃ」の声も耳から離れませんし、
「にゃあ〜〜」と叫びながら
ロープから落ちていったりするんですけど、
これがまた、すごくいいんです(笑)。
冨永
何度も聞きたくなっちゃうくらい・・・
カワイイんですよ。
岩田
なんだかボコブリンは、
ものすごく愛されていますねぇ(笑)。
冨永
そうですね。
やっぱり、いろんな攻撃をしてくるので、
憎たらしいんですけど、でも憎めないというか(笑)。
木内
そもそも、ボコブリンは
敵の第1号として生まれたキャラなんです。
岩田
最初につくった敵がボコブリンなんですか。
木内
そうです。なので、
つきあいがいちばん長かったりするので、
そのぶん愛情をたっぷり注ぎ込むことができました。
岩田
なるほど、よくわかりました(笑)。