岩田
そういう経緯ではじまったものですから、
『スマブラX』の開発チームは、
すごく特殊な成り立ちになりました。
桜井
そうですね。
京都に移って、任天堂の中でつくるということも
案としてはあったんですけれど、
いろいろと話し合った結果、
東京でつくる必要があるということになって、
けっきょく、このゲームのためだけに
高田馬場にオフィスを借りることにしました。
自分も高田馬場に引っ越しをして。
岩田
そのために。
桜井
ええ。そのために。
だって『スマブラ』をつくるためには、
本当に、すべて捨てきらないとダメなぐらい
やらないといけないですからね。
岩田
職住接近。
桜井
はい。
で、そのころ、ちょうど、とある開発会社の
スタッフが手伝ってくださることになって。
岩田
たしか宮本さんが紹介してくれたんですよね。
会社の名前を出してもいいですよ。
桜井
ああ、そうですか。ええと、ゲームアーツさんです。
『グランディア3』というソフトが上った直後で、
人材が空いているというふうに言ってくださって。
それで、その方たちに初期のメインをお願いして、
足りないスタッフは『スマブラX』のために
人材募集するという形になりました。
岩田
ひとつのゲームのためだけに
人材の募集をかけるというのも
かなり特殊な話ですよね。
「この仕事のために来ていただきます」
という点についてはわかりやすいですが、
それが終わったあとの保証はないわけですから。
桜井
でも、そこでできる人の縁というのは、
かならずあると思いますからね。
その中での何人かは、おそらく自分も含めて
いっしょに仕事をすることもあるだろうし。
もともと、自分がフリーになったのも、
「同じ人たちと同じシリーズをずっとつくる」
という状況に閉塞感を覚えたからですから。
岩田
そういう特殊な仕事だからこそ、
特別な信頼関係ができて、
長く続く縁が生まれたりもする。
桜井
はい。外からスタッフを入れたり、
あるいは仕事を外に出したりすることで
生まれる可能性というのもあると思うんです。
実際、今回集まってくださったのも
ゲームアーツのみなさんを含めて
非常にレベルの高い方々ばかりでした。
岩田
けっきょく、何人くらいになりましたかね。
桜井
だいたい100人くらいですね。
もちろん、監修者や外注のスタッフを加えると
もっともっと増えますけど。
スタッフロールに出てくる数でいうと
700人ぐらいになりますから。
岩田
フルタイムで関わった人でいうと、
だいたい100人くらい。
桜井
そうですね。