岩田
ところで2月25日に
「みんなのおすすめセレクション」(※9)が発売されますが、
これもみなさんの“販売開発プロジェクト”から
はじまった企画なんですね。
※9
「みんなのおすすめセレクション」=『みんなのニンテンドーチャンネル』の「みんなのおすすめ」で、高い評価を獲得したソフトのなかから、Wiiソフトの7タイトルをセレクトして提供される新シリーズ。2010年2月25日発売予定。
竹内
はい。
岩田
どんな内容なのか
ちょっと話していただけますか?
竹内
さきほども話に出ましたけど
「みんなのおすすめ」で高い評価を受けたソフトに対し、
みなさんにもっと注目していただきたいと思いまして、
ソフトメーカーさんのWiiソフトから厳選して、
7タイトルを同時に発売することになりました。
岩田
まさに波多野さんがおっしゃったことなんですけど、
なぜかソフトというのは、どんなに評価が高いものでも、
鮮度というのがあって、発売してからしばらくすると
まるで無価値であるかのようになっていくんですけど、
わたしはそれをずっとおかしいと思っていて、
ロングセラー化ということに対し、
いろんなことで取り組んできました。
そこで、任天堂のタイトルのいくつかは
ロングセラーになりましたが、
やっぱり圧倒的多数のソフトは、
発売時だけが盛り上がって、
あとはまるで何もなかったかのように
収束してしまうことが多いんですよね。
竹内
実際に遊ばれたお客さんの評価はすごく高いのに、
店頭で忘れられたような存在になっていくんです。
こういうことは、われわれとしてもすごく残念ですし、
もし、面白いゲームをお求めの方たちに対して
しっかり出会いの場をつくることができれば、
みんなのプラスになるんじゃないかと
「みんなのおすすめセレクション」の企画を
スタートさせることにしました。
岩田
“販売開発プロジェクト”の
アウトプットのひとつみたいなものですね。
竹内
そうです。
『みんなのニンテンドーチャンネル』の中心人物である
酒井さんと相談しながらはじめた企画です。
酒井
実際、『みんなのニンテンドーチャンネル』で、
「面白いですよ」ということをお客さんにお伝えできたとしても、
お店に行っても品切れで在庫が残っていなかったりするんです。
岩田
お店の立場で考えると、
むかし発売され、これから何個売れるかもわからないものを
わざわざ仕入れて、リスクをとろうとは、
お考えにならないんですね。
酒井
そうなんです。
そこで、任天堂が旗振り役になって、
そういった面白いソフトを集めて、再販することによって、
求めているお客さんが
手軽にご購入いただけるような環境がつくれたら、
先ほども話に出たロングセラーにもつながりますし、
面白いものはセールスを伸ばしていくという
健全なマーケットになると考えたんです。
岩田
世の中によくある「ベスト版」と
この「みんなのおすすめセレクション」の違いは何ですか?
竹内
それは、お客さんが面白いとおすすめする商品に
1人1票ずつ投じてくださった、
客観性が高い評価をもとに、世の中に出していくところが
根本的に違うところです。
もちろん、お求めやすい価格にするのですが、
それはお客さんとの接点を増やして
買っていただきやすくするためで、
僕らのなかには“ベスト版”という意識はないんです。
酒井
やっぱり、あれほど多くの方たちから
おすすめされているソフトですから、
できるだけ多くの方々に遊んでいただきたいという思いなんです。
岩田
売り場には、
「みんなのおすすめ」の一覧表示も出すんですよね?
酒井
はい。「みんなのおすすめ」のPOPも用意します。
それを見れば、そのソフトをおすすめしている性別・年代が
一目瞭然でわかるようになっていますし、
ゲームに慣れている人向けか、じっくり遊ぶタイプか、
気軽に遊ぶタイプかどうか、など、
「みんなのおすすめ」投票に含まれる、
選択式質問の回答結果も掲載する予定です。
岩田
実は「みんなのおすすめセレクション」と
「おさがしガイド」は地続きの企画で、
お客さんといいソフトとの出会いをつくり、
最終的にたくさん売れる流れをつくりたいというのは、
“販売開発プロジェクト”がめざす、
いろんな考え方のひとつなんですね。
竹内
そうです。
波多野
ソフトそのものはひじょうによくできていて、
買ってプレイいただいた方からは、とても評価されているんです。
だけどなぜか、わたしたちが期待するほど、
お客さんに買っていただけていない。
でも、けっしてそのソフトは悪くはないし、
これほどすばらしいソフトはないというくらい
絶賛されているんですけど、
それ以上は売れないということがあるんですね。
で、その理由は何なのかはともかく、
やっぱりそれはおすすめするべきだと考えたんです。
そうすることは、
わたしたち任天堂の義務というか責務というか、
当然の役割だと考えています。
岩田
波多野さん、
これからもますます忙しくなりそうですね(笑)。
波多野
はい。
岩田さんが先ほどおっしゃったように
「終わりのないチャレンジ」ですからね(笑)。