岩田
ニンテンドーDS版ならではの楽しさを求めて
悶々としていた大澤さんが、
そこから抜けるきっかけってなんだったんですか。
大澤
・・・・・・・・・・・・うーん。
岩田
やっぱり「はじく」という入力が
完成したときがポイント?
大澤
・・・・・・「完成した」とは、思えなくて。
岩田
ああ、そうでしたね(笑)。
ええと、「完成した」ではなく・・・・・・。
大澤
・・・・・・「完成した」とは、いまでも思えなくて。
岩田
こらこらこら(笑)。
大澤
・・・・・・いえ、あの、完成するというよりも、
少しずつ、少しずつ、よくなっていく。
ずっと、少しずつよくなっていく。
・・・・・・そういう感じなんです。
岩田
ああ、なるほど。うん。
大澤
そんなふうにして・・・・・・ある程度できたときに、
つんく♂さんに見てもらうことになって。
直接、ご本人にお会いできないまま、
サンプルを送ったところ・・・・・・ものすごく・・・・・・。
岩田
うん、うん。
大澤
・・・・・・ものすごく、ダメ出しを食らいまして。
岩田
あっちゃー。
竹内
(苦笑)
米
(苦笑)
大澤
その日は・・・・・・一日中・・・・・・ぐったりしまして。
岩田
悶々感倍増じゃないですか。
竹内
悶々感倍増なんですよ。
大澤
悶々としていたところ・・・・・・
どうやらそんなぼくの状態に・・・・・・
ほかの人も気づいたらしくて・・・・・・。
竹内
そりゃ気づくよ。
米
そりゃ気づくよ。
大澤
一回、つんく♂さんとしゃべってみたらどうか、
っていうことになったんです。
それで、メールを出して、東京へ行って、
このダメ出しは・・・・・・どういうことなんですかと。
岩田
おお、詰め寄ったわけですね。
どうなりました?
大澤
すると、そこでつんく♂さんの言われることが
・・・・・・いちいち、もっともで。
岩田
(笑)
大澤
やっぱりきちんと
わかってくださってるんだなと。
でも、そうかといって・・・・・・
おっしゃられたことを、
簡単にゲームに反映できるわけではなくて。
岩田
うん、うん、そうでしょうね。
私もプログラマー出身なので
その感じはとてもよくわかりますよ。
大澤
ただ、とっても大きなヒントになったんです。
あの、いまはカエルのゲームとして
形になっているんですけど、
あれの元になる考え方を、
つんく♂さんが話してくださったんです。
岩田
あの、カエルが腰振るやつ?
大澤
そうです。
岩田
今朝、移動中にずっとそれをやってましたよ。
大澤
・・・・・・難易度的には低くないんですけど
あれ、できたら・・・・・・すごく楽しいんです。
岩田
うん、うん、そうですね。
大澤
あれができたとき、
「あ、つんく♂さんは、
こういうことをおっしゃってたんだ」
ということですごく腑に落ちたんです。
そこで・・・・・・・・・・・・行けるかも? と。
竹内
よかった。
米
よかった、よかった。
岩田
そういうときって、やっぱり、
ひとつ手がかりができると、
ほかのことにもいい影響が出るというか、
ひとつの軸がはっきりすると、
そこからほかのものを仕上げる
エネルギーをもらえるというか。
大澤
そうです、そんな感じです。
この方向で行けるんだと力を、もらった感じで。
岩田
うん、そうですよね。
なるほど、なるほど。
その悶々状態から脱していく大澤さんの姿は、
竹内さんには、どう見えましたか。
竹内
そうですね。
やっぱり、つんく♂さんの存在が大きくて。
それは大澤さんだけじゃなくて
ぼくらもそうなんですけど、
開発に煮詰まって、元気がなくなったとき、
東京に打ち合わせに行って帰ってくると、
みんな元気になってるんですよ。
岩田
へぇーー、そうなんですか。
太陽みたいな人なんですね、
つんく♂さんって。
竹内
つんく♂さんの存在は大きかったですね。
岩田
あの、わかっている人は
わかってくださっているとは思いますが、
やはり、著名な人がゲームの監修をするとき、
「監修っていっても、名前だけで、
そんなに関わってないんじゃないの?」
というふうな先入観をもっている人って
どうしても、いると思うんです。
竹内
はい。
岩田
でも、このゲームにおけるつんく♂さんは、
監修する立場を超えて、
ほんとうに深く関わってくださっていて。
たんに企画して、楽曲を提供するというだけでなく、
いまの話のように迷いを消してくれたり、
「こっちに道があるんじゃないの?」
ということを示してくれたり、
すごくたくさんのことをしてくださったんですよね。
竹内
そうですね。で、そういうことって、
メールではわからないんですよ。
むしろ、メールだけを読むと、
なぜこういうことをおっしゃるのかなと。
岩田
ところが、会うとわかる?
竹内
会うとわかるんです。
歌ったり、実際にリズムを取ったりして、
「ここ、ここ、ここ」と言ってくれると
ぼくらにも、すごくよくわかるんです。
たくさんのことをおっしゃるわけではないんですが、
ポイントポイントで、「あ、なるほど!」
ということを伝えてくれる。
岩田
会うだけで、ものすごく
たくさんのヒントをもらえる。
竹内
はい。