4. つんく♂さんのヒント

岩田

ニンテンドーDS版ならではの楽しさを求めて
悶々としていた大澤さんが、
そこから抜けるきっかけってなんだったんですか。

大澤

・・・・・・・・・・・・うーん。

岩田

やっぱり「はじく」という入力が
完成したときがポイント?

大澤

・・・・・・「完成した」とは、思えなくて。

岩田

ああ、そうでしたね(笑)。
ええと、「完成した」ではなく・・・・・・。

大澤

・・・・・・「完成した」とは、いまでも思えなくて。

岩田

こらこらこら(笑)。

大澤

・・・・・・いえ、あの、完成するというよりも、
少しずつ、少しずつ、よくなっていく。
ずっと、少しずつよくなっていく。
・・・・・・そういう感じなんです。

岩田

ああ、なるほど。うん。

大澤

そんなふうにして・・・・・・ある程度できたときに、
つんく♂さんに見てもらうことになって。
直接、ご本人にお会いできないまま、
サンプルを送ったところ・・・・・・ものすごく・・・・・・。

岩田

うん、うん。

大澤

・・・・・・ものすごく、ダメ出しを食らいまして。

岩田

あっちゃー。

竹内

(苦笑)

(苦笑)

大澤

その日は・・・・・・一日中・・・・・・ぐったりしまして。

岩田

悶々感倍増じゃないですか。

竹内

悶々感倍増なんですよ。

大澤

悶々としていたところ・・・・・・
どうやらそんなぼくの状態に・・・・・・
ほかの人も気づいたらしくて・・・・・・。

竹内

そりゃ気づくよ。

そりゃ気づくよ。

大澤

一回、つんく♂さんとしゃべってみたらどうか、
っていうことになったんです。
それで、メールを出して、東京へ行って、
このダメ出しは・・・・・・どういうことなんですかと。

岩田

おお、詰め寄ったわけですね。
どうなりました?

大澤

すると、そこでつんく♂さんの言われることが
・・・・・・いちいち、もっともで。

岩田

(笑)

大澤

やっぱりきちんと
わかってくださってるんだなと。
でも、そうかといって・・・・・・
おっしゃられたことを、
簡単にゲームに反映できるわけではなくて。

岩田

うん、うん、そうでしょうね。
私もプログラマー出身なので
その感じはとてもよくわかりますよ。

大澤

ただ、とっても大きなヒントになったんです。
あの、いまはカエルのゲームとして
形になっているんですけど、
あれの元になる考え方を、
つんく♂さんが話してくださったんです。

岩田

あの、カエルが腰振るやつ?

大澤

そうです。

岩田

今朝、移動中にずっとそれをやってましたよ。

大澤

・・・・・・難易度的には低くないんですけど
あれ、できたら・・・・・・すごく楽しいんです。

岩田

うん、うん、そうですね。

大澤

あれができたとき、
「あ、つんく♂さんは、
こういうことをおっしゃってたんだ」
ということですごく腑に落ちたんです。
そこで・・・・・・・・・・・・行けるかも? と。

竹内

よかった。

よかった、よかった。

岩田

そういうときって、やっぱり、
ひとつ手がかりができると、
ほかのことにもいい影響が出るというか、
ひとつの軸がはっきりすると、
そこからほかのものを仕上げる
エネルギーをもらえるというか。

大澤

そうです、そんな感じです。
この方向で行けるんだと力を、もらった感じで。

岩田

うん、そうですよね。
なるほど、なるほど。
その悶々状態から脱していく大澤さんの姿は、
竹内さんには、どう見えましたか。

竹内

そうですね。
やっぱり、つんく♂さんの存在が大きくて。
それは大澤さんだけじゃなくて
ぼくらもそうなんですけど、
開発に煮詰まって、元気がなくなったとき、
東京に打ち合わせに行って帰ってくると、
みんな元気になってるんですよ。

岩田

へぇーー、そうなんですか。
太陽みたいな人なんですね、
つんく♂さんって。

竹内

つんく♂さんの存在は大きかったですね。

岩田

あの、わかっている人は
わかってくださっているとは思いますが、
やはり、著名な人がゲームの監修をするとき、
「監修っていっても、名前だけで、
そんなに関わってないんじゃないの?」
というふうな先入観をもっている人って
どうしても、いると思うんです。

竹内

はい。

岩田

でも、このゲームにおけるつんく♂さんは、
監修する立場を超えて、
ほんとうに深く関わってくださっていて。
たんに企画して、楽曲を提供するというだけでなく、
いまの話のように迷いを消してくれたり、
「こっちに道があるんじゃないの?」
ということを示してくれたり、
すごくたくさんのことをしてくださったんですよね。

竹内

そうですね。で、そういうことって、
メールではわからないんですよ。
むしろ、メールだけを読むと、
なぜこういうことをおっしゃるのかなと。

岩田

ところが、会うとわかる?

竹内

会うとわかるんです。
歌ったり、実際にリズムを取ったりして、
「ここ、ここ、ここ」と言ってくれると
ぼくらにも、すごくよくわかるんです。
たくさんのことをおっしゃるわけではないんですが、
ポイントポイントで、「あ、なるほど!」
ということを伝えてくれる。

岩田

会うだけで、ものすごく
たくさんのヒントをもらえる。

竹内

はい。