岩田
『リズム天国ゴールド』の話に入る前に
もうひとつ、思い出話を。
アドバンス版の『リズム天国』がヒットした後、
セガさんから想定外のオファーがあって、
アーケード版が出ることになりましたよね。
大澤さん、最初にそれを聞いてどう感じました?
大澤
・・・・・・・・・・・・冗談かな、と。
岩田
(笑)
大澤
でも、実際、お会いして、お話をうかがったら、
すごく『リズム天国』を気に入ってくださっていて。
岩田
なんか、セガさんの開発部内で
流行っていたらしいですね。
大澤
はい。
こんなに気に入ってくださって
うれしいなと思ったんですが、
まぁ・・・・・・アーケード版といわれても・・・・・・
ぼくがどうこうできる話ではないので・・・・・・。
岩田
いや、そんな(笑)。
大澤
その打ち合わせは・・・・・・
「ありがとうございます」ということで・・・・・・
それだけで・・・・・・終わってしまいました。
岩田
終わってしまいましたか(笑)。
竹内
(苦笑)
米
(苦笑)
大澤
というか、まずは、
岩田さんたちの判断を、ということで・・・・・・。
岩田
で、私たちは、その企画を聞いて
「やってみれば?」ということで
あっさりとOKを出すんですけど、
その決定を聞いてどう思いました?
「え! やっちゃっていいの?」
っていう感じだったんじゃないですか?
大澤
・・・・・・・・・・・・はっきり覚えていないんですけど。
竹内
(苦笑)
米
(苦笑)
大澤
でも・・・・・・うれしかったですね。
岩田
いや、なんかね、すごく楽しそうに、
先方と打ち合わせをしている感じが
私のところにも伝わってきたんですよ。
やっぱり『リズム天国』というゲームの
本当に大事なところを
セガさんの人たちも気に入ってくれたというか。
つまり、大澤さんの強い気持ち、
無言で語っていたようなものが商品に乗り移って、
お客さんはもちろん、ほかの会社の開発者にも
それが伝わったような気がして。
大澤
・・・・・・・・・・・・。
竹内
そうだと思いますよ。
社内でセガさんとのやり取りを受け持ってる人も
そういう感じでしたし、
打ち合わせしているうちに、なんていうか、
ぼくらもいっしょにつくりたくなったし。
じつは、絵はちょっと描いたりしたんですけど、
そういう雰囲気になったんですよね。
岩田
そういう作業が、
つぎの『リズム天国』につながるんだったら
とってもいいことですからね。
竹内
はい、それは意識してました。
岩田
で、実際にアーケード版の
『リズム天国』ができて、どうでしたか?
筐体とか見て、感動したりしました?
大澤
・・・・・・「ああ」と思いました。
岩田
「ああ」と思いましたか。
竹内さんは、どうでした?
竹内
もう、うれしくて、リリース当初は、
ゲームセンターに見に行きました。
カップルとか、女性のお客さんが
ふつうにプレイしてくださっていて
すごく驚いたというか、うれしかったというか。
岩田
「実際にゲームが遊ばれている場面」というのは
家庭用ゲームをつくっている人たちは
ふだん、目にできませんからね。
竹内
そうなんです。
もちろん、女性のお客さんも
プレイしてくださっているのは知ってるんですが、
やっぱり、わいわいと遊んでくださっているのを
実際に見ると新鮮な驚きがありましたね。
岩田
なるほど。
竹内
で、資料用にと思って、
ロケテストのときに写真を撮ってたんですけど、
関係者とは認識されてなくて、
ゲームセンターの人に「ちょっと来てください」って
別室につれて行かれたりしました。
岩田
なにをやってるんですか(笑)。
竹内
説明したら、わかってもらえましたが。
岩田
あと、『リズム天国』の
キャラクター商品もできましたね。
竹内
ああ、そうですね。ありがたいですね。
タマネギばっかりでしたけど。
岩田
タマネギばっかりでしたね。
竹内
タマネギばっかりでした。
「もうちょっとかわいいの、ないですか?」
って思ったんですけどね、
まあ、自分で描いたんですから。
岩田
あの印象が強いんでしょうね。
「リズムに合わせてヒゲを抜くタマネギ」。
竹内
あれ、もともとは、
タマネギじゃなくて人間の顔だったんです。
最初は人の顔の実写を取り込んでたんですけど、
あまりにも気持ち悪くて・・・・・・。
岩田
タマネギの話はさておき、
米さんは、アーケード版にはかかわったんですか?
米
はい。同じサウンドデータを扱うといっても、
やはりアーケード版は仕組みが違いますから、
うまく再現するためにいろいろと調整をして。
あと、アーケード版にはアドバンス版にない
アレンジステージが入っていたので、
そこの音楽の監修もやらせていただきました。
岩田
で、そのアーケード版の開発が進むなかで、
いよいよ「つぎの『リズム天国』はなんだ?」
というトライがはじまっていくわけですが。
・・・・・・苦労しましたね、大澤さん。
大澤
・・・・・・はい。