- 桜井
- 今回は、ワイヤレス通信やWi-Fi通信を使って
自分で育てたユニット同士を戦わせることができるんですね。 - 成広
- 「レンタルユニット」と言って、
強力なユニットを友だちから貸してもらうこともできます。
僕はこのレンタルユニットに、すごく期待しています。
愛の交換というか、自分の育てた子どもを友達に預けるみたいな、
ほのぼのとしたキャッチボールができるんじゃないかなって。 - 桜井
- ほのぼのとしたキャッチボール・・・!?
通信と聞いて、剣と剣をぶつけ合うイメージがあったんですけど。 - 成広
- いえ、友だちと2人で、
剣と剣をぶつけ合う通信対戦ももちろんできます。
一方、レンタルユニットは、お助け要素のひとつなんです。 - 桜井
- どんな仕組みになってるんですか?
- 成広
- しばらくプレイすると、エクストラのメニューに
モードが追加されるようになっています。
自軍に同名のユニットがいるときに、
借りることができるんですが、
どうしてもマップでの戦闘で勝てないときには
大きな効果を発揮すると思います。
つまり成長したユニットを友だちからもらって、
難局を突破していくイメージですね。
- 桜井
- あーなるほど。
友だちにレンタルしたユニットは消えちゃうんですか? - 成広
- レンタルしてもユニットは残るので心配いりません。
- 桜井
- だったら、自分で育てた自慢のユニットを
友だちにどんどん配ると喜ばれるでしょうね。 - 成広
- そうです。
僕はこのゲーム、友だちの存在が大事だなあと思ってるんです。
かなり個人的な話になりますけど、
今年に入って、すごく画期的な出来事がありまして・・・。 - 桜井
- 画期的な出来事って?
- 成広
- うちの娘が『エムブレム』をプレイしはじめたんです。
- 桜井
- それはすごい画期的だ!
- 成広
- (笑)。息子のほうは『エムブレム』をやっていたんですけど、
高校生になる娘のほうは、まったく興味を示さなかったんです。
ところが同級生のなかに、『エムブレム』をすごく好きな友だちがいて、
その子に遊び方を教えてもらったようなんです。
それで『聖魔の光石』(※9)をはじめたんですね。
※9 『聖魔の光石』=ゲームボーイアドバンス用ソフトとして、 2004年10月に発売された『ファイアーエムブレム 聖魔の光石』。シリーズ8作目。
- 桜井
- 話を聞いている限りでは、
成広さん親子ってかなり仲良しですよね? - 成広
- もちろん!
- 桜井
- プロデューサーのお父さんに
教えてもらったほうが早いのに・・・。 - 成広
- やっぱり照れくさいんでしょうね。
でも、これは自分にとっても発見でした。
家の棚には、これまでのシリーズをずらっと並べているのに
まったく興味を示さなかったうちの娘が、
友だちをキッカケに『エムブレム』をはじめたわけですから。 - 桜井
- なるほど。
- 成広
- やっぱり、友だちって本当に大事ですよね。
ファミコン版の『エムブレム』を発売したとき、
最初の2ヵ月くらいはほとんど売れなかったんです。
当時はあの画面を見て、興味を持つような人は少なかったですし、
ところが口コミでじわじわ広がっていって、
発売から数ヵ月後に売れるようになったんです。
やっぱり、そんな風に人に勧めてもらうことが、
このゲームにとっては大きいのかなあと思うんです。 - 桜井
- そうですね。そのためには機会が必要で、
たとえばそういう友だちがそばにいたか、いないかがすごく大きいわけですね。
自分にとっても、目の前でプログラマーがやってくれたことが
『エムブレム』をはじめる大きなキッカケになったわけですし。
やったら面白いゲームであることは間違いないから、
そういうフックは大切にしたいですね。 - 成広
- 友だち以外にも、キッカケづくりは必要ですよね。
僕に、桜井さんくらいのパワーがあれば、
「スマブラ拳!!」(※10)のようなこともやっちゃうんですけど(笑)。 - 桜井
- あははは(笑)。「エムブレム拳!!」やりますか?
でも、あれはあれでとてもしんどいですよ。
- 成広
- あんなこと、なかなかできないですよね。
※10 「スマブラ拳!!」=『スマブラ』開発者の桜井政博氏が運営する公式ホームページのこと。
- 桜井
- しんどい上に、まわりの人にもお手間をかけちゃったりしますので、
ほどほどにしたほうがいいかも?
でも、『エムブレム』もホームページ(※11)の活動が活発なほうですよね。 - 成広
- 任天堂さんがサポートしてくれてますので、
ホームページを通じて、どんどん情報を発信していきたいですね。
機会があれば、イベントとかもやれたらなあとも思っていますし。
※11 シリーズ公式サイト「ファイアーエムブレムワールド」HP 詳しくはこちら
- 桜井
- じゃあ「エムブレムイベント」をやりますか!
- 成広
- そういう言い方をされると怪しい響きに聞こえちゃうなあ(笑)。
- 桜井
- 対戦をやるとか、どうですか?
- 成広
- そうそう、今回はWi-Fiで通信対戦ができますからね。
- 桜井
- 今後にも期待しています。
それでは最後に、みなさんへのメッセージをお願いします。 - 成広
- 僕的には『エムブレム』シリーズは
「スローゲーム」だと思ってるんです。 - 桜井
- スローゲームって・・・?
- 成広
- 「スローフード」とか「スローライフ」ではないんですけど、
ゆっくりと自分のペースで楽しんでもらえるゲームかなあと思ってるんです。 - 桜井
- え、『エムブレム』って、スローなイメージかなぁ・・・。
でも、そう感じるのも自分のプレイスタイルを
反映しているからなのでしょうね。 - 成広
- そうそう(笑)。
アクションゲームが苦手な人も楽しめますし、
時間や得点を競うゲームでもありませんので、
自分のペースでゆっくり楽しんでほしいと思ってるんです。
お話もすごくわかりやすいですし。
だから、ゲームを触ったことのないような人が、
間違って買ったとしても・・・。 - 桜井
- 間違って『エムブレム』を買うわけないじゃないですか(笑)。
- 成広
- 言葉のアヤですって(笑)。
でも、たまたまやってみたら、
ハマってもらえるかなあと思ってるんです。
それに、さきほどお話した「セーブポイント」や
「兵種変更」といった新しい仕組みのほかにも、
ゲームの遊び方をていねいに説明している
チュートリアルカードもゲーム中に読めるようにしています。
ですから、初めての方にもぜひ遊んでいただきたいと思っています。
- 桜井
- つまり、「『エムブレム』って何よ?」というような人にこそ
遊んでほしいということですね。 - 成広
- もちろん『エムブレム』をよく知ってる人にも
DSで新しく生まれ変わった本作を楽しんでほしいですね。
シミュレーションゲームというと、
大量のパラメータを扱って、巨大なシステムを動かすようなゲームもありますが、
『エムブレム』では、なるべく少ないパラメータで遊べるようなものを目指しています。
ちょっと頭の中で考えればそれで理解できる範囲内で
数字の遊びをしてほしいと思ってるんです。 - 桜井
- お疲れ様でした!
- ※番外編もあります