Wi-Fi対戦の導入が決まったときは、かなりワクワクしたのを覚えています。対戦モードに一番力を入れて作っているゲームですので、その環境がこれ以上無い形で整うということで、ちょっと神の存在を信じたくなるぐらいうれしかったですね(笑)
しかし同時に、通信プログラムの作業、通信遅延の不安、バトルルールとマッチングの仕様調整など、問題が山積となりました。
通信速度については、最初にノイズ社内で擬似的な通信環境を作ってシミュレーションをしています。光同士だとこんな感じでバトルができる、ADSLだとこのぐらいになる、という具合に。それで行けそうだという感触をつかんでから正式に作業を進めました。実験するまでかなり不安だったのですが、想像以上に問題なく快適に遊べたときには、心の中でガッツポーズが出ました。
バトルルールの決定については、けっこうカンカンガクガクがありましたね。
1回のバトル数は最終的に2本先取に落ち着きましたが、当初は「もう少し多くてもいいのでは」という意見もありました。しかし、ステージ選択やカスタマイズの待ち時間なども考え、1回のバトルはできるだけ簡潔にしたいということで最低限まで削りました。気に入った相手であれば、連戦を申し込むこともできますし。
マッチングについては、「近いランクと」の詳細が悩んだところです。
最終的には、すごく大ざっぱに言うと、Wi-Fi対戦における勝率の近い人同士が当たるようにして、かつその際、Wi-Fiでの総試合数の近さもある程度判断基準に入れるようにしました。言うまでもなく、試合数が10の人の勝率5割と試合数が100の人の5割では、意味が全然違うからです。
なお、シナリオモードで得られるコマンダーズクラス(ビギナーとかポーンなど)は、マッチングには関係ありません。
違法パーツについては、任天堂もノイズも「完全に無しにはしたくない」というところでは意見が一致していました。違法パーツというのは、シナリオで悪役が使っている、強化パーツのことです。ゲームバランスを意図的に壊しているので、「対人戦では使いたくない」&「相手にも使われたくない」人の方が多い(と思う)のですが、捨てがたいスリルもあります。
全コマンダーに納得してもらうために、どうやって選択させるのか、どうモード分けすればいいか、すぐには決まりませんでしたが、最終的に「最初に違法を使うかどうかを互いが選び、両者合意した場合のみ使用可」というアイディアでまとまりました。むやみに選択肢が細分化しない、良い落としどころだったと思います。
また、Wi-Fi対戦では、その人の戦い方によって「大山鳴動」とか「花鳥風月」「快刀乱麻」など、四字熟語の称号がつきます。この称号は、どのタイプのロボを多く使っているか、そしてどの距離用のガン(遠・中・近)を多く使っているか、その組み合わせによって決まります(変化していきます)。
この法則を知っていると、相手がどんな装備で来る可能性が高いか、予測することができます。相手の性格や好みが分からない一発勝負のWi-Fi対戦に、できる限り読みや駆け引きの要素を増やしたいと考えて入れた、個人的にとても気に入ってる仕様です。皆さん、上手く戦略に組み込んでいただけたでしょうか?
漢字の四字熟語というのも気に入ってて、ロボのタイプごとにできるだけ字面か言葉の雰囲気を合わせるようにしてみました(エアリアルビューティ使いなら、必ず「花」という言葉が使われているとか)。まあ、この辺はホントに感覚的な選び方をしているんですけどね。
それではまた次回お会いしましょう。
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