岩田
ダンジョンによって
そこに適したアイテムをレンタルすることで
好きな順番に攻略できるということですけど、
借りたアイテムはいつか返さないといけませんよね。
四方
そうですね。
そこで、たとえばタイマーを回して、
翌朝にニワトリの鳴き声が聞こえたら
返さないといけないとか・・・。
青沼
それでも返さない場合は、
延滞金を取られるとか、
いろんなことを考えてみたんですけど、
どれもしっくりこなかったんです。
岩田
で、どうしたんですか?
青沼
ゲームオーバーになったら、
勝手に回収されてしまうシステムにしました。
ちょっと『ムジュラの仮面』(※19)のようですけど(笑)。
岩田
なるほど。
青沼
しかも、一度レンタルをすると
それを返したくないものですから、
ゲームオーバーにならないように、
がんばるじゃないですか。
岩田
ゲームオーバーになって、
そのようにはっきりしたペナルティーがあると、
プレイにも緊張感が出ますよね。
青沼
そうなんです。
それに、これまでのシリーズだと、
ゲームオーバーになったら、
入口まで戻されたりすることもありましたけど、
せっかくダンジョンの奥深くまで入ったのに、
そこで入口に戻されちゃうと・・・。
岩田
やる気が続きませんよね。
青沼
でも今回は、遊ぶ人の
リトライ意欲を落とすようなことは
しないでおこうというのも
ひとつのテーマだったんです。
四方
だから、ゲームオーバーになっても、
すぐにアイテムを借り直せるようにしましたし、
ダンジョンにもワープポイントがありますし、
フィールドでもある程度好きな場所に
ワープできる仕組みを入れました。
青沼
世界を歩き回るのが
すごく楽になったと思います。
岩田
そうやって、
これまでの一本道の『ゼルダ』から
「ゼルダのアタリマエを見直す」ことで、
自由度の上がった今回の『ゼルダ』ですが、
最後に、お客さんに「ここをアピールしたい」ということを、
それぞれの立場からお願いします。高橋さんから。
高橋
はい。今回は「ハイラル」と「ロウラル」の
2つの世界を行き来しながら遊びますけど、
デザインでとくに意識したのは
その世界の対比だったんです。
岩田
2つの世界の対比も
楽しんでください、ということですね。
高橋
はい。
「ハイラル」にいたキャラクターが、
「ロウラル」では別の役割でいたりとか、
建物の配置はいっしょだけど、
形状や材質はぜんぜん違ったりとか、
そのように対比も楽しめるようにつくりましたので、
2つの世界のフィールドをくまなく冒険しながら、
そういう違いも発見してほしいと思っています。
冨永
今作は前作のフィールドを
ベースにつくりましたけど、
ダンジョンもすべてを新しくしましたし、
前作にはなかった新しいネタも
たくさん詰め込んでいますので、
ぜひ楽しんでいただきたいと思っています。
岩田
今回はリメイクではなく、
続編という新作ですからね。
冨永
はい。それから、
ミーティングのときに青沼さんが
「今作は新しさと懐かしさが
両立している感じがあるよね」
と話をされたことがあるんですけど、
その言葉のとおり、新しく遊んでいただく方にも、
前作のファンだった方にも
きっと楽しんでいただけるゲームになりましたので
ぜひ触っていただきたいです。
毛利
僕は、秒間60フレームの見やすさ、
遊びやすさ、快適さを
ぜひ味わっていただきたいと思っています。
岩田
なにしろ毛利さんは
60フレームにすごくこだわって、
走り続けた人ですからね(笑)。
毛利
はい(笑)。
それから前作にはなかった、すれちがい通信(※20)が
今回はできるようになりました。
岩田
すれちがい通信では
どのようなことができるんですか?
毛利
すれちがい通信をすると、
すれちがった相手とバトルができます。
で、その勝負に勝つと、
ルピーががっぽりもらえるのですが、
それで高価なアイテムが買いやすくなりますし、
買ったアイテムはパワーアップできるようになりますので、
どんどんすれちがってほしいと思っています。
四方
僕は、これまで『ゼルダ』を触ったことのない
はじめての人にも、遊んでいただきたいと思っています。
先ほど言いましたように、
ダンジョンが並列で遊べたり、
仮にどこかで詰まっても、
別のアプローチの方法が必ず用意されていますので、
あきらめなければ、みなさんが最後まで
クリアできるような構造になっています。
しかも、3DSを持ち歩くと貯まる
ゲームコイン(※21)を使って
ヒントを聞ける仕組みも入れていますので、
はじめての人もぜひ楽しんでください。
岩田
もちろん、これまでの『ゼルダ』が
大好きな人にもオススメなんですよね。
四方
もちろんです。
これまでの『ゼルダ』にはなかった
アイテムをパワーアップさせるやりこみ要素や、
一度クリアしても、その先に敵の攻撃力がアップしている
きついモードなども用意していますので
これまで『ゼルダ』をプレイされてきた方にも、
すごく手ごたえを感じていただけると思っています。
青沼
今回は「ゼルダのアタリマエを見直す」
ということでつくりましたけど、
この『神々のトライフォース2』は、
本当にいろんなことにチャレンジしました。
それを担ったのは、とても若い人たちで、
開発中は「その手がありましたか!」という
驚きの連続だったんです。
岩田
青沼さんも思ったんですね、
「その手がありましたか!」と(笑)。
青沼
はい(笑)。
先ほどの「ヘラの塔」の話で、ハンマーを叩いて
ジャンプするという仕掛けが入って、
ぽーんと飛んだときに、
上の階に自然に切り替わるという表現が生まれたときに、
「その手がありましたか!」と
岩田さんと同じように思いましたし、
そのあとも、みんなから出てくるアイデアに
「その手がありましたか!」
と思うことがいっぱいあったんです。
ですから今回は、新しい『ゼルダ』なんですけど、
「やっぱり『ゼルダ』だ」ということも、
ちゃんと表現できたように思っています。
岩田
「誰が見ても『ゼルダ』だ。でも、新しい」
ということなんですね。
青沼
はい。
岩田
わたしは今日、話を訊いていて、
「3DSというプラットフォームがなければ、
きっと生まれなかったであろう『ゼルダ』ができたんだ」
ということを強く感じました。
しかも、つくり手の人たちは、
まるで『ゼルダ』の謎解きをするように、
いろんな課題に挑戦して、
その結果、パズルがピタッとはまって
正解を見つけられたときは
すごく気持ちが良かっただろうなって(笑)。
頭の中で、あの謎解きの音楽が流れるように。
青沼
そうなんです(笑)。
岩田
それがある種、
つくり手の醍醐味でもありますし、
いいものができるときに感じられる手ごたえの話を、
今日はたくさん訊くことができました。
四方
僕、言い忘れたことがあるんですけど・・・。
岩田
はい。
四方
今回はミニゲームがけっこう入っているんです。
青沼
たとえば「野球ゲーム」とかね(笑)。
岩田
『ゼルダ』で「野球ゲーム」ですか?(笑)
青沼
そうなんです(笑)。
バッティングセンターみたいな感じで
リンクがバットを持って打つんです。
本編とはまったく関係ないんですけど(笑)。
岩田
(笑)
四方
で、その中に
「コッコのミニゲーム」というのがありまして、
最初は簡単なんですけど、
次第にレベルが上がっていって、
僕は最高レベルをクリアできなかったんです。
たぶんスタッフの誰もが、
クリアできなかったんじゃないかと思うくらいで、
ひょっとしたら、発売されたあとでも、
世界で数人しか・・・。
岩田
そこまでハードルを上げますか!?
毛利
マリオクラブ(※22)に聞いたんですけど、
誰も最高レベルをクリアできなかったそうです。
四方
なので、もし、最高レベルをクリアした人がいたら、
積極的に自慢してください。
岩田
最後に、開発者から挑戦状が出ました。
一同
(笑)
岩田
みなさん本当にお疲れ様でした。
一同
ありがとうございました。