4. 「ピンチはチャンス」
岩田
では、最後にみなさんからひとことずつ、
このゲームの自分なりのオススメポイント、
また印象的なできごとがあればお願いします。
トムさんからいいですか?
トム
はい。まず開発視点からお話ししますと、
『マリオカート』にかかわることで
多くの情報開発チームの方と知り合えて
本当にワクワクしました。
プレイヤー視点では、毎日新しいロムが上がってきて、
仕事として『マリオカート』を遊べたので、
これ以上ない楽しい体験でした(笑)。
空中や海中でのプレイという新しい要素が、
これからどのようにお客さんに評価してもらえるか、
気になりますね。
そして忘れられないできごとは、情報開発さんと
ネットワークを通してはじめて遊んだときのことです。
レトロが恥をかかないように、
よいレースをしなければという気持ちもありましたし、
はじめて一緒にプレイできたというだけでとても楽しかったです。
また、それによってチームとしての連帯感が強まったと思います。
岩田
はい、ではヴィンスさん。
ヴィンス
まず何より『マリオカート』にかかわれたことが光栄でした。
最初にこの話が来たとき、家に帰ってすぐに
『マリオカートWii』(※15)を立ち上げまして、
情報開発チームのゴーストデータとレースをしながら
「そうか、この人たちと・・・」と
しみじみ思ったものです(笑)。
新機能についても、とても新鮮な感覚を
お客さんに味わってもらえると思います。
石川さんとやりとりをしたウィルや、
コミュニケーションや進捗管理をしやすくするツールについて
助言してくれたブライアン・ウォーカーにも、
この場を借りて感謝したいと思います。
岩田
はい、ライアンさん。
ライアン
スーパーファミコン時代から長年のファンでしたので、
わたしも非常にエキサイティングな体験でした。
情報開発チームのみなさんが
どのようにコースについてアプローチしているのか、
またツールについてなどを学ぶことができて、
デザイナーとして見識を深めることができたと思います。
開発終盤にゴーストデータの作成を頼まれたときも
わたしやほかのデザイナーみんなでチャレンジして、
達成タイムの厳しさを学んだと同時に楽しくプレイしました。
本当にすばらしい体験をありがとうございました。
岩田
一条さん。
一条
はい、レトロのみなさんと連絡を密に取り合うことで、
お互いのよさがすごく活きた、いいゲームになったと思います。
今回はインターネットで8人対戦できるので、
みんなで一緒に遊べたことが楽しかったです。
チェックの一環で遊んでいるんですが、
情報開発から4名、レトロさんから4名、
各部署を代表するメンバーが集結して・・・。
岩田
それはマジな対戦ですね?(笑)
一条
そう、マジな対戦でした(笑)。
さらに出張でレトロさんのところに行ったときは
ローカル通信で対戦できて、それも
ものすごく楽しかったです。
そこではまさにお互いのプライドをかけて、
社を代表して本気の対戦をしました。
こんな感じでお客さんにも
楽しんでいただけるのではないかなと思います。
岩田
レトロのみなさんも、相当うまいんですか?
一条
すごくうまいです。
しかも、対戦のときに限って
上手な人たちを集めてくるんです(笑)。
一同
(笑)
岩田
会社のプライドがかかっている、ということですね。
はい、石川さん。
石川
キャラクターとカートのデザインに関してですが、
今回はカスタム機能があり、
さまざまなカートにいろいろなパーツを付けることができます。
また、手ごたえのあるキャラクターたちがそろっています。
ですので、ぜひ自分好みの組み合わせを見つけて
レースを楽しんでいただきたいです。
見ごたえのあるアニメーションもありますので、
ゴール後のリプレイもしっかり見てくださいね。
あと、これは開発中のエピソードなんですが、
深夜遅くにテレビ会議でレトロさんと、
アニメーションについて話し合いをする機会があって、
回線が悪くて向こうの音声が聞こえなかったんです。
岩田
ああ、たまに、そういうことが起こりますよね。
石川
だから僕が「ジェスチャーでもいい?」と聞いたら、
レトロさんがカメラに向かって「ウェルカム!」と
ジェスチャーで返してくれたんですね。
それが非常に頼もしかったと言いますか・・・
深夜遅くにおじさんたちが激しくジェスチャーをしながら、
やりとりをしたのが面白くて、
それが忘れられない思い出です(笑)。
一同
(笑)
岩田
はい、森本さん。
森本
では新コースについて
あまり触れていなかったので、補足しますね。
こちらはレトロさんから提案されたコンセプトアートで、
実際に新コースとして使われているものです。
新コースについては、今作が4作目である僕自身も
「なぜ思いつかなかったんだろう!?」っていうくらい、
いいアイデアをレトロさんが出してくれて、
互いに刺激し合えました。
岩田
うん、新しい人の視点って大事ですね。
森本
そう思います。
じつはアメリカの方のグラフィックや
デザインのセンスに興味がありましたので、
どこかで学ぶ機会があればと思っていましたが、
今回実現することができてラッキーでした。
今後、自分でも取り入れていきたいと思います。
それからオススメポイントですが、
今回、情報開発スタッフとレトロさんとでアイデアを出し合い、
互いにバリエーション豊かなコースをつくりました。
新コースもクラシックコースもバトルステージも
いいものができたと思います。
そこに加えて、宙に舞う火の粉や桜の花びらや
水中のマリンスノーなどのエフェクト効果で、
奥行きや臨場感がすごく増しているんです。
3DSならではの新感覚の『マリオカート』を楽しんでください。
岩田
はい、最後に紺野さん。
紺野
『マリオカート7』がようやく完成しました。
今回はレトロスタジオさんと情報開発とのコラボレーションで、
とても完成度の高いものができたと思います。
携帯機ですが機能はかなり充実していて、
すれちがい通信(※16)やいつの間に通信(※17)、
インターネット対戦なども含めて
末永く遊んでいただけるような商品になりましたので、
いまはお客さんに早く遊んでいただきたい、
という気持ちでいっぱいです。
岩田
では最後に、わたしから。
わたしは「ピンチはチャンス」という言葉が好きなんです。
当然、物事は予定どおりに進まないことが多いですが、
それは言い換えれば、
普段やらないことにトライするチャンスなんですよね。
今回、社内のデザインスタッフの手が空かず、
レトロさんにお声がけしたことからはじまったんですが、
逆にレトロさんとつくったからこそ
できたことがいっぱいあると思うんです。
だから、今回は「ピンチはチャンス」ということを
地でいくようなプロジェクトだったなという印象です。
これはまぎれもなく『マリオカート』ではありますが、
同時にいままでのシリーズになかった魅力も加わりました。
それは情報開発チームの努力と共に、
レトロのみなさんと協力し合えたことで
実現できたことだと思っています。
本当にみなさん、ご苦労さまでした。
そしてサンキュー、マイケル(※18)&ブライアン!
マイケル&
ブライアン
(顔を出し、ビデオに向かって手を振る)
岩田
みなさん、今日は本当にありがとうございました。
一同
ありがとうございました。