岩田
じゃあ、そろそろ2つめの軸について訊くことにしましょうか。
野上
いえ、WiiConnect24に関しては
まだお話することがあって・・・。
サブタイトルにもなっている「街」のことなんです。
今回、街をつくったのもこの機能を活かしたかったからなんです。
岩田
そもそも街は、どのような場所なんですか?
野上
イメージとしては街はこの世界に1つだけ存在していて、
そこにみんなの村がつながっているという感じです。
その街はサーバに置かれてるわけではなく
プレイヤーそれぞれのソフトのなかにありますので
データとしてはぜんぜん別物なんですけど、
そこに行くと、みんなが同じ場所に行ってるような
感覚になれるようにしました。
岩田
別物なのに、どうして同じ印象を持てるんですか?
野上
街ではプレイヤー同士が出会うことはできないんですが、
たとえば、「この間、○○ちゃんが遊びに来てたよ」って
街のどうぶつが教えてくれたりするんです。
岩田
つまり、だれかが街に遊びに行くと、
それをどうぶつがしっかり見ていて
あとから街にやってきたプレイヤーに
教えてくれるようになっているんですね。
野上
みんなが似たような体験をできることで
同じ街に来てるという感覚になってくれればと思ってるんです。
岩田
なるほど。
で、街にはどんなものがあるんですか?
野上
いちばん大きいのはグレースのお店ですね。
これまでのシリーズにも登場してきたキリンのデザイナーがいて、
そのグレースがついに自分のショップを建てたと。
岩田
ちょっと気取った物言いをするキャラクターですね。
野上
はい。そのグレースがたまにお店に出てきて
プレイヤーのファッション批評をしてくれるんですけど、
そのときの評価が別の村のどうぶつにもウワサで伝わって
「○○村の△△ちゃんはイケてたから、あなたも見習いなさい」って
言われたりするんです。
岩田
じゃあ、街に出かけるときは
おしゃれをしたほうがいいんですね。
で、グレースのお店に入っておしゃれな服を買うと。
野上
でも、グレースのお店の商品は恐ろしく高価なんです。
村で売ってる商品の20倍くらいの値段です。
しかも、村のたぬきちの店とは違って
商品の品揃えが固定されていて
四半期、つまり3ヶ月ごとに切り替わるんです。
岩田
「四半期ごと」って、やけにリアルですね(笑)。
野上
四半期ごとに、季節にあった商品を入れ替えるんですけど、
入れ替えの時期はバーゲンになります。
ただ、バーゲン目当てに街に買い物に行っても
売り切れになっている商品も多くて・・・。
岩田
ますますリアル(笑)。
野上
バーゲンは、どの街でも同じ時期にはじまるんですね。
だから、「今日からバーゲンだ!」って、
本当のバーゲンに行くような感覚で街に行けるんです。
岩田
つまり、わたしと野上さんが会社で会って、
「昨日からバーゲンがはじまったけど、もう行った?」
みたいな会話も生まれるということなんですね。
野上
そうなんです。その流れで言うと、
パロンチーノという新しいキャラクターがいて
タダで風船をくれるんですけど
どの街でも同じ日に現れるんですね。
でも、いつ現れるのかはわからなくて・・・。
岩田
そこで、メールとかで
「今日街に行ったら風船もらったよ」って
教えあったりするんですね。
野上
「じゃあ、すぐ街に行かなきゃ」って。
ゲームの外でも、そのような会話が増えてくるとうれしいですよね。
あと、WiiConnect24を使った遊びとしてはオークションがあります。
誰かが出品した家具とかをほかの人が入札して、
実際に売り買いする仕組みです。
オークション期間は結構長いんですけど
その間に、たとえば
「このハニワ、ダブったから不要なんだけど誰かいる人いないかな?」
って、そこに置いておくと、
誰かが買っていってくれるようなことも起こるんですね。
岩田
つまりプレイ時間がそろわなくても
一緒に楽しめるんですね。
野上
そうなんです。しかも、
「○○村の○○ちゃんが買ってくれた」ということも
あとからわかるようになっているんですよ。
京極
あと、モデルルームでもすごくいいことがあるんです。
シリーズのおなじみのハッピールームアカデミーで
いい点数を取ると・・・。
岩田
ハッピールームアカデミーというのは
村にある自分の部屋のレイアウトを審査してくれるところですね。
京極
そうです。で、ある日、テストプレイをしていたら、
毛呂さんの街のモデルルームに
わたしの部屋が飾られていたんです!
それを見たときは、すごくうれしくて(笑)。
毛呂
ハッピールームアカデミーでいい点数をとると
他の人のモデルルームに飾られるようになるんですね。
野上
あと、DS版のときに初めて登場した
ししょーという旅芸人がいて、
いろんなリアクションを伝授してくれるんです。
友だちとテキストチャットをするときにとても役立つ
驚いたり、笑ったりするリアクションなんですけど、
ししょーは劇場に出演できるようになりまして。
岩田
みんな、街ができて出世したんですね(笑)。
野上
みんなというわけじゃないんですけど(笑)。
で、ししょーが教えてくれるリアクションは
1週間単位で変わるようになっています。
グレースのお店の品揃えが変わるのは3ヵ月に1度ですし、
あまり頻繁に通わなければならないとしんどいので、
街では変化が起こるスパンが、村よりも長くなっています。
岩田
つまり毎日、街に通う必要はないんですね。
野上
バスに乗っていくのも時間がかかりますしね。
ですから、日曜になったら
ちょっと街へ出かけてみようかな
みたいな感じで通ってもらえるといいかなと思っています。
岩田
なるほど。そう言えば、Miiに特殊メイクをしてくれるのは
街のなかにある美容院でしたよね。
小林
髪型を変えたりしてくれるビューティーサロンです。
岩田
わたしはMiiに関してすごく興味があったんです。
『どうぶつの森』ではどんな扱いにされるんだろうかって。
野上
自分がつくったのに、Miiを使わないって言ったら
たぶん怒られるやろうなって。
一同
(笑)
小林
実際「今度の『どうぶつの森』はみんなMiiになるんでしょ」って、
言われることが多かったんですね。
そこで、最初の頃は実験してみたんですけど
すごく違和感があって何より気持ち悪かったんです(笑)。
岩田
『Wii Sports』などに出てくるMiiと
『どうぶつの森』のキャラクターでは頭身が違いますので
異質なものに感じちゃうんでしょうね。
小林
ええ。それに、帽子をかぶったり、メガネをかけたりと
いろんなファッションが楽しめるのも
『どうぶつの森』の魅力だと思うんですね。
ところがMiiしか選べないようにしてしまうと
それが楽しめなくなってしまいますし、
もともとの主人公の顔を気に入っている
お客さんもいらっしゃいますし。
野上
そもそもMiiしか選べないとなると
遊んでいてちょっと重たい感じになりますよね。
そこで、特殊メイクという設定にして
Miiをかぶったり脱いだりできるようにしました。
小林
でも、ただのかぶり物とは違って、
ししょーから伝授されたリアクションを
楽しめるようになっています。
Miiの顔で驚いたり笑ったりすることができますので
すごく新鮮なんですよね。
野上
だから、おでかけするときはMiiがおすすめです。
小林
友だちがMiiをかぶって自分の村に現れると
ホントにおもしろいんですよね(笑)。
京極
たまに別の人のMiiをかぶって現れる人もいるんです。
「この人、一体誰よ」って(笑)。
小林
そのイタズラをいちばんやってたのは、
京極さんだったじゃないですか(笑)。
岩田
それにしても、WiiConnect24という
新しい仕組みを採用することで、
今度の『どうぶつの森』には新しい要素が
どんどん足されていったことがよくわかりました。
それでは、そろそろ2つめの軸について話を訊くことにしましょうか。
野上
はい。