2. イヌの体重もネコの体重も10年記録

岩田

バージョンアップという面から言うと
イヌの体重も量れるようになりましたよね。

宮本

もともと『1』をつくったときも
ペットの体重を量りたいという野望はあったんです。
我が家ではイヌも家族の一員ですので。

岩田

でも、断念したんですね。

宮本

ええ。
で、『1』をつくってから
株式会社ポケモンの石原(恒和)さん(※5)
できあがったものを送ったときに、
「ごめんなさいね、イヌが量れなくて」と言ったら
石原さんからすごくウケまして(笑)。

岩田

石原さんはイヌを2匹飼ってますから。

※5

石原恒和さん=『ポケットモンスター』シリーズのプロデューサー。現在は、株式会社ポケモンの代表取締役社長兼CEO。

宮本

そこで、
やっぱりイヌも量れるようにしたらよかったなあと
思った時期があったんです。
イヌというのはいちばんわかりやすいですし。
そもそも『Wii Fit』は、
タイトル画面で家族のMiiがザーッと集まりますよね。
僕はあのシーンがWiiのホームだと思っていて、
そこにペットがいないのはやっぱり寂しいんです。

岩田

ペットは家族同然という家は多いですし。

宮本

だから、『1』のとき
我が家では自分でイヌのMiiをつくっていたんです。
背の低い人なんですけど、顔はイヌみたいな(笑)。

岩田

(笑)

宮本

そんな話をスタッフにしてたら
今回はちゃんとイヌもつくってくれまして。
でも、「あんまり凝らなくてもいいよ」とか言って。
そうは言いつつも「しっぽは長いのと短いのがほしい」とか
「耳はたれ耳と立ち耳くらいはないとな」とか言ったりして(笑)。

岩田

どんどん要求が・・・(笑)。

宮本

で、そこそこのイヌができるようになったので、
「ネコもほしいよね」とか言ったりして。
というのも、最近、ネコも飼いはじめたんです。

岩田

おっと、それは新情報ですね(笑)。

宮本

(笑)

岩田

というのも、「宮本さんはイヌばっかり優遇して、
ネコ派の気持ちがわかっていない」という声が
世の中にけっこうあるみたいですから。

宮本

これからネコ派にも応えていきます。

岩田

ははは(笑)。

宮本

だから、イヌだけじゃなく
ネコのキャラクターも入りました。

岩田

ペットは抱いて体重を量るんですね。

宮本

最初に「誰が量りますか?」と聞いてくるんです。
それで引き算をして、
ペットの体重が出るようになってるんです。

岩田

そもそもペットというのは
バランスWiiボードの上に乗せても
じっとしているわけじゃありませんから、
抱いて量るというのはとても合理的と思うと同時に、
ペットが家族の一員であるという感じがすごくいいですよね。

宮本

ペットを抱いて量ろうとすると
家族みんなが集まってきそうですし。

岩田

合理的なのと、感情的に家族とのつながりとか、
一体感みたいなことも、両方、実にいい判断だなあと思って。
それは、赤ちゃんにも同じことが言えて。

宮本

イヌやネコの話のあとで
「赤ちゃんの体重も量れます」と言うと、
なんか怒られそうな気もしますけど(笑)。
でも、赤ちゃんだと成長が楽しみなので、
その記録が残せるようになれば
やっぱりうれしいですよね。

岩田

日に日にどんどん成長しますからね。

宮本

でも、幼稚園に入る前に
前の記録が消えてしまったらかわいそうなので、
今回は10年間のデータを保存できるようにしました。

岩田

10年間?

宮本

『Wii Fit』のときは3年だったんです。
でも、今度は自分のカラダの変化を
10年間見ることができます。

岩田

それは知りませんでした。

宮本

これはどうしてもやりたかったことなんです。
実際の運動データとかは3年なんですけど
体重とBMIは10年残せるように拡張しました。
なので、一家に1台これがあれば・・・。

岩田

家族の健康管理はお任せください、
ということですね。しかも10年間(笑)。

宮本

それに、ペットとかだけじゃなく、
身の回りにあるものを量るのもけっこう楽しいんです。

岩田

???

宮本

僕は昔から、モノの寸法を言い当てるのが好きで
巻き尺をいつも持ち歩いてるんです。

岩田

へえ〜、それも知りませんでした。

宮本

たとえば、目の前のテーブルの幅は、
たぶん1メートル20センチくらい、だとかね。
それを、実際に巻き尺で測って確認してみるんです。
予想が当たると「今日はいい感じだな」とか
大きく外れると「最近はズレ気味だな」とか。

岩田

調子のバロメータなんですね(笑)。

宮本

で、長さだけじゃなく
重さとかも予想するのが楽しくて。
イスを抱えて、「これだったら何キロくらい?」とか、
週刊マンガ誌を持って、「これは何グラム?」とか。

岩田

重さの場合はハカリが必要ですよね。

宮本

巻き尺は持って歩けるんですけど、
ハカリはあんまりないんですね、あちこちに。
だから、重さ当てはなかなかできないんです。
そこで、前からバランスWiiボードを使って
重さ当てゲームになったらいいなとか思ってて。
たとえば・・・運動会みたいにしましょうか。
10人くらい集まって、札を配るんです。
その札には、岩田さんは12キロとか
僕は3キロとか書かれていて、
その札を持ってヨーイドンで
みんながバラバラに学校中を走り回って・・・。

岩田

その重さのものを見つけて持ってくると。

宮本

それをハカリに載せて、
いちばん近かった人が1等賞みたいな(笑)。
そんなことをしたら楽しいですよね。
楽しいと思いますよね?

岩田

ええ、はい(笑)。

宮本

そういう遊びをバランスWiiボードを使って、
家でもできないかなと思っていまして。
だから、そのまんまじゃないんですけど、
今回の『Wii Fit Plus』には
似たような遊びも入ってます。
イヌ以外でも、いろんなものを自分で持って量るというのは
けっこう面白いと思っているんです。