4. 新作プチゲームも配信

岩田

ちょっとイジワルなことを訊きますけど、
ゲームをつくりたい人がそんなにいるんだろうか、
そんなことを考えたりしませんでしたか?

阿部

もちろん考えました。
最初に「導入では小さな変更でゲームをつくれるよう
見せかけておいて」と言いましたけど、
それを実現するために、いろんな仕組みを考えました。
たとえば、最初から内蔵してあるプチゲームを呼び出して、
その一部分だけを自分好みに変えることもできるんですね。

畠山

マリオをルイージに変えるようなことも
カンタンにできちゃうんです。

阿部

それに自分でゲームをつくるときも、
内蔵プチゲームの好きなデータだけを呼び出して
それを使うこともできます。
だから絵を描くのが苦手な人でも、
カンタンに自分のゲームをつくれるようになっています。
しかも、そのプチゲームが
どういう「くみたて」になってるのか
全部見られるようになっていますので、
ゲームづくりの参考にもなるんです。

岩田

内蔵プチゲームで、「種明かし」をしてるんですね。
内蔵プチゲームで遊んでくださいというだけではなく、
そこではいろんなゲームづくりのテクニックが見られるし、
材料にもなると。

阿部

だから、プチゲームを収録するにあたっては、
ゲームづくりの材料に使っていただけるよう、
できるだけバリエーションをもたせるようにしました。

岩田

ちなみに内蔵プチゲームは何種類入ってるんですか?

阿部

90種類です。

岩田

これまでの『メイドインワリオ』と比べると
半分くらいの数なんですね。

阿部

でも、インターネットに接続すれば、任天堂から
配信される新作プチゲームもダウンロードできますので、
プチゲームを1本もつくらなくても
たっぷり遊べると思います。

岩田

つまり、つくるのが得意な人たちから
どんどんプチゲームをもらうことができる構造なんですね。

阿部

ところが、おもしろいゲームをつくるのは
けっこう難しかったりするんですね。

畠山

センスが問われちゃうんです。

岩田

やっぱりセンスが問われますか。

阿部

友だちとか家族とか、
知ってる人がつくったプチゲームだと
おもしろかったりするんですけど
まったく知らない人がつくったものだと
あまりおもしろくなかったりすることが多いんですね。

畠山

そこでまず、フレンド登録をした
友だち同士で交換できるような仕組みを考えました。

阿部

さらに、定期的にコンテストを開催することにしました。
こちらで審査をして、選ばれた作品を配信していく予定です。
もちろん、公序良俗とか著作権などの
問題があるものは配信できませんけど・・・。

岩田

どのように審査するんですか?

阿部

人力で行い、そこで選んだものを配信します。

岩田

阿部さんが審査するんですか?

阿部

はい。もちろん助っ人は頼みますけど・・・。

岩田

すごく大変ですよー(笑)。

阿部

大変、でしょうね(笑)。
でも杉岡さんといっしょに
効率よく選べるような仕組みをつくっていますし、
なんだかんだ言って、1個のゲームは
4秒から8秒で見られますので、
他のゲームに比べれば審査しやすいんじゃないかと。

畠山

1000本のRPGを審査することを思えば(笑)。

岩田

RPGだと、
審査に3年くらいかかっちゃうでしょうね(笑)。

一同

(笑)

阿部

そのほかにも、
わたしたちがつくったプチゲームを
毎週2本ずつ配信する予定ですし、
「なんとアノ人がソフト」というタイトルで
いろんな著名な方がつくったものが
ダウンロードできるような仕組みも考えています。
で、岩田さんにもお願いしてますよね?

岩田

・・・・・・。
(心の中で)時間がとれるんだろうか・・・。

阿部

もちろん宮本(茂)さんにもお願いしてます。
ここに坂本(賀勇)さんがつくったものがあるので、
ちょっと触ってもらえますか。
ちなみにテーマは『メトロイド』です。

岩田

坂本さん、もうつくったんですか・・・
(プチゲームをプレイ)・・・・ふふふ(笑)。
 
けど、今日の話を聞いてハードルがあがりましたね。
さっき畠山さんが気になることを言ったでしょ?

畠山

はい?

岩田

「センスが問われちゃう」と。
頼んでおいてひどいこと言いますよね。

一同

(笑)

岩田

それはさておき、この商品では
4コママンガも読めるようにしましたよね。

阿部

『俺』を毎日遊んでもらいたいと思ったんです。
新聞の4コマを読むような感覚で。
そこで5人のプロのマンガ家さんにお願いして、
毎日遊ぶたびに、5人分の新作が読めるようにしました。

岩田

自分でも4コママンガが描けるんですよね。

阿部

4コママンガだけでなく、ちょっと長めの曲の
作曲もできるようになっています。

畠山

もちろん4コママンガが描けるとは言っても
それが苦手な人もいると思うんです。
僕も実際、絵を描くのは苦手なんですけど
スタンプを使えばカンタンにできちゃうんですね。

阿部

つまり、プチゲームのキャラクターを
会話しているように並べて、
フキダシのスタンプを置いて、文字を置くだけで、
絵をまったく描かなくても、
カンタンにストーリーがつくれちゃうんです。
それに、Wiiウェアで配信される
『あそぶメイドイン俺』(※7)をダウンロードすれば
家族みんなで大きなテレビ画面で見られますし、
作った曲が大きなスピーカーで聴けるようになります。

※7

『あそぶメイドイン俺』=DS版『メイドイン俺』の発売と同日の、4月29日からWiiウェアで配信されるソフト。

岩田

なるほど。
ちなみに杉岡さんがつくった
プチゲームは入ってるんですか?

杉岡

いえ、プログラムの仕事でいっぱいいっぱいだったので。

岩田

「NANDカード」の問題で
それどころじゃなかったんですね。
みんなが楽しそうにつくっていて悔しかったんじゃないですか。

杉岡

それはもう。
悔しいけど時間がないみたいな。

岩田

ごめんなさいね。その悔しかった思いは
発売後にぶつけてください。

杉岡

はい、こっそりと。

阿部

コンテストへの応募をお待ちしてます(笑)。

畠山

で、杉岡さんがつくったものとはつゆ知らず
審査でそれを酷評したりして(笑)。

一同

(笑)