4. 友だちの顔や声を観察するように

岩田

中川さんがつくってくる変なコンテンツを
ゲームのなかに入れていく一方で、
最初からずっと変わらなかったものもあると思うんですけど、
それはたとえばどんなことですか?

高橋

適職診断がそうですね。
これは『とっとこハム太郎』のときから入っていて、
昔からある占いをもとに、そこに性格をあてて、
適した職業をあてるようになっています。

岩田

ちなみにみなさんの適職は何でしたか?

高橋

僕は「」でした。

中川

僕も「工場の検査員」でしたね。

椎葉

僕は「王様」です(笑)。

岩田

坂本さんは?

高橋

坂本さんは「ギタリスト」でした。

岩田

なるほどねえ。なんかわかりますねえ(笑)。

高橋

しっくりきますよね(笑)。
しっくりくると言えば岩田さんの適職は
「社長」だったんですよね。

岩田

あれにはホントびっくりしました(笑)。
実は『とっとこハム太郎』のときにも適職が「社長」だったんです。
9年前の当時、わたしは経営企画室長だったんですけどね。

高橋

今回の『トモコレ』では
生年月日情報だけではなく、性格の設定の仕方で
微妙に変わるようになっていて、
岩田さんの性格がドライ系だと「社長」なんですけど、
ノリ系にすると「ラーメン屋の店長」になるんです。

岩田

性格は大きくは4分類に分かれるんですよね。

高橋

「ノリ系」「ドライ系」「ナゴミ系」
そして「クール系」の4タイプです。

椎葉

その性格によって、
しゃべる内容が違ってきたりするんです。

岩田

性格を4つに分けることにしたのは?

高橋

坂本さんが社内の研修を受けてきたのがキッカケです。
その研修では、部下の性格ごとに
どんな接し方をしたらいいのかを習ってきたみたいで、
研修から戻ってきて、
「これは使える」と(笑)。

岩田

そもそも部下の接し方と『トモコレ』は
まったく関係ないですよね(笑)。

高橋

坂本さんが習ってきたことのひとつに、
性格の分類法があったそうなんです。
自己主張度が高いか、低いか、
感情表現度が高いか、低いか、
それらを掛け合わせて、人間のタイプは
大きく4タイプに分けることができるそうなんですね。

岩田

習って、即応用(笑)。

高橋

これは面白い、使えると。

岩田

部下のマネージメントではなく、
ゲームづくりに活かすとは。
これは人事部的には想定外だったでしょうね(笑)。

一同

(笑)

岩田

では、そのMiiに関して
ちょっとチャレンジングな質問をしますね。

高橋

はい。

岩田

このゲームは、友だちなり、家族なり
わざわざ苦労してMiiを入れないと
楽しめないんじゃないですかと、
あるいはそんな面倒なことはしたくないと
そんな人もいると思うんです。
そういった人たちに対して、
高橋さんはどう答えますか?

高橋

Wiiがこれほど普及したいまは、
Miiをつくれる人はけっこういたりしますし、
自分でつくれなくても、
Miiづくりの上手な友だちがいれば・・・。

岩田

もらってこられますしね。

高橋

それに、すでにWiiを持ってる人は
自分の家族や身の周りの人のMiiがいるでしょうし、
「Miiコンテストチャンネル」(※10)で登場した
どこかで見たようなMiiも
『トモコレ』に持ってくることができますし。

岩田

だから、だいぶ敷居が下がってるということなんですね。

※10

「Miiコンテストチャンネル」=Wiiショッピングチャンネルのダウンロードソフト(無料)。自分でつくったMiiを投稿したり、知らない人がつくったMiiをもらったりすることができる。

高橋

そもそも、人とのつながりを意識したゲームですので、
家族や友だちどうしで、「似てるよ」「似てないよ」とか言いながら
Miiをみんなでつくる行為自体が
とても楽しいかなと思ってるんです。

椎葉

僕も初めの頃は絵心がないので、
Miiをつくるのはちょっと苦手だったんです。
ところが、友だちを少しずつ登録すると
いろんなことが『トモコレ』のなかで起こるようになって、
すると、もっと楽しみたいと思うので、
どんどん友だちを入れるようになったんです。

中川

そういえば、Miiをつくるようになって、
人の顔をじっくり観察するようになりましたね。
それで、後からMiiを改良したりとか。

岩田

ああ、なるほど。

中川

あと口癖も登録できますし、
高橋さん、あれ楽しいですよね。

高橋

口癖を言わせることで
よりその人に近くなった感じがしますね。

中川

でも、いきなり「口癖を教えてください」と聞かれても、
ちょっと困るんですよ。
いかに、その人のことを
見てなかったんだなあと気づかされて・・・。

岩田

なるほど。
すると、顔を観察して、口癖も観察して・・・。

中川

それに、声もですね。
声の調子も似せられますので。

岩田

そうやって人を観察するという習慣を身につけるようなことは、
けっこう重要なポイントかもしれないですね。
人間関係を深めていくためにも。