5. 「奇跡」と「神器」
6. メデューサ戦のあと ※ストーリーに関する具体的な情報を含みますのでご注意ください。
岩田
今作の最大のポイントは
「悪魔の釜」という話でしたけど、
他にはどんな新しい要素があるんですか?
桜井
岩田
ナスビになると、
手も足も出なくなりますね(笑)。
桜井
まあ、足はついてるんですけど。
岩田
あ、そうか(笑)。
桜井
ただ、やみくもに「奇跡」を選べばよいわけではなく、
「神器」の特徴なども、ある程度は
考慮する必要があります。
岩田
自分の装備している「神器」の能力を
活かしたりすることのできるような、
「奇跡」を選ぶといいんですね。
桜井
そうですね。
しかも手に入れた「奇跡」は、
好きなだけ持っていけるのではなくて、
パネルのなかにピースを組み込む必要があります。
弁当箱におかずを詰め込むみたいな感じです。
岩田
はい(笑)。
桜井
で、その「奇跡」と「神器」の2つは
1人用においても、対戦においても、
「うまく循環して使えるようにしたい」
というのが今作のテーマでもあったんです。
岩田
それは、1人用でも対戦でも、
その遊びで得られたものは、そのまんま
どっちにも持っていける、
ということなんですね。
桜井
そうです。
岩田
能力の高い「神器」は、
「悪魔の釜」でホンキ度を上げて、
それをクリアして手に入れるという話でしたけど、
対戦でもそれができるんですか?
桜井
はい。ただ、対戦をするときに、
いい「神器」が勝ち続ける人に得られるようになると、
かたよるんですよね。
強い人はたくさんの「神器」を持ってるし、
そうでない人はぜんぜん手に入らないみたいな。
岩田
すると、強い人はいいけど、
そうでない人はイヤになってしまいますよね。
桜井
そこで、くじ引きに近いようなかたちで
「神器」がもらえるようにしました。
岩田
じゃあ、負けている人にも、
いい「神器」が当たったりするんですか。
桜井
はい。がんばっていれば、ですけど。
岩田
がんばらないとどうなるんですか?
桜井
対戦中にまったく動かないような人には、
ご褒美は入らないようになっています。
岩田
つまり、「汗をかかないヤツは認めない」、
「そこにはご褒美はない」ということですね(笑)。
桜井
ですから、対戦セッションを組んで、
何もしないで何かを手にするのを期待する、
そんなプレイはできません。
やっぱり勝敗にかかわらず、
一生懸命にやってる人を優先するというのは
とても大事なことだと思っていますので。
岩田
なるほど。そのほかにも
いい「神器」を手に入れる方法はあるんですか?
桜井
「
融合」というシステムがあります。
「神器」と「神器」を合体させると、異なる種類になって
強さやスキルを引き継ぐことができます。
これを繰り返し、
好みの「神器」に好みのスキルを加える遊びは
かなりハマります。
また、すれちがい通信(※14)で、
「神器のタネ」がたまるようになっています。
岩田
すれちがうことでもらえるのは、
「タネ」なんですね。
桜井
はい。
タネをつくっても「神器」はなくなりません。
また、「神器」の強さをそのまま引き継ぎます。
ゲットしたタネの還元には
お金、つまりハートが必要ですね。
ハートを払えば持っているタネを還元して、
「神器」を自分のものにすることができます。
ただし、高性能の武器を得ようとすると、
すごくお金がかかって10万くらいします。
岩田
それは高いですね(笑)。
桜井
でも、安く済ませる方法もあります。
「タネ融合」といって、
別々のタネを融合することができます。
これは、直接タネを還元するよりも安く済みます。
また、
要らないタネはすりつぶして
ハートにすることができます。
つまりすれちがえばすれちがうほど・・・。
岩田
いろんな意味で、リッチになれるんですね。
桜井
はい。それにタネは、いつの間に通信(※15)で、
1日1個配信する予定になっていますから・・・。
岩田
ますますリッチになるということですね(笑)。
そうやって「神器」の価値を高めていくなかで、
究極のゴールみたいなものはあるんですか?
桜井
いえ、ありません。
「神器」の価値が高ければ、つまり強ければ、
1人用では有利になっていきますが、
対戦で使うときは、そうとは限らないんです。
岩田
それはどういうことですか?
桜井
対戦における3対3での戦闘は、
「チーム力」がゼロになったときに、
プレイヤーが天使に変身して、
それを倒したほうが勝ち、というルールです。
で、バトルをするときに、
とても価値の高い「神器」を持っている人がいて、
その人が倒されてしまうと、
「チーム力」がゴリッと減ってしまうんです。
岩田
だから、身の丈に合わないような
価値の高い「神器」を持っていると・・・。
桜井
はい。すぐにやられてしまえば
チーム力に大ダメージを受けることになります。
岩田
それもまた“リスクとリターン”ですね。
桜井
そうですね。
しかし、1人用と対戦における性質の差はあります。
1人用を勝ち抜くなら
じつは誘導性の低い「神器」が、やや有利なんです。
というのも敵のサイズは比較的大きいですから、
誘導性があんまりなくても
攻略できることもあって・・・。
岩田
でも、対戦となると、
敵は自分と同じ大きさになるから・・・。
桜井
そうです、そうです。
誘導性が高いということは
どこかが弱くなっているということですが、
1人用の誘導性より
対戦の誘導性のほうが重視されるので、
誘導性より他に重きを置いたもののほうが
使えるということです。
岩田
なるほど。そういう意味では、
「ヤリコミできる要素をものすごく深く用意してあります」
という感じなんですね。
桜井
そのとおりです。
ただ、いろいろなパターンが試せるので、
デバッグもとても大変でした。
対戦バランスは、『スマブラ』のときとは違う方針で
調整をしています。
岩田
どこが違っていたんですか?
桜井
『スマブラ』のときは、
モニターの感想を直接聞くよりも、
モニターが対戦しているビデオを見て、戦績や戦法、
傾向を研究してパラメータを打つ、という感じだったんです。
意外とモニターの意見は偏見が根付くことが多く、
毎日のワザの強さの変化も把握しきれませんから。
でも、今回は、モニターの意見を
より適切に吸い出すことを考えました。
単純に言われた意見を鵜呑みにするのではなく、
まず1対1と、3対3のチームに分けて、
それぞれの視点の意見を互いにチェックするような
ことをしてみたんです。
たとえば、3対3のチームから
「これは強すぎるので、もっと弱く」
というような意見が出てきても、
1対1のチームから
「いや、これには、こういう効果があるから弱くしたらダメ」
という意見が出たりしました。
岩田
『スマブラ』より、遊ぶときの状況が異なるから、
それぞれプレイした人に意見を言ってもらったんですね。
桜井
そうです。かんじんの特徴づけをざっと行ってから、
モニター結果を受けつつ、わりと率直に調整を行いました。
やっぱり何カ月もやりこんだ人たちが
出した結論のひとつですし、
意味のあることだったと思っています。
やっぱり「神器」の数が多かったですし、
チューニングが本当に大変でした。
が、そのぶん幅広い楽しみがありますので、
ぜひ多人数で、できれば顔と顔を向き合わせる
ローカル対戦で楽しんでほしいですね。