社長が訊く
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社長が訊く『スーパーポケモンスクランブル』

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社長が訊く『スーパーポケモンスクランブル』

目次

4. 3DS最初のポケモンタイトルとして

岩田

では、松村さん。
『乱戦!ポケモンスクランブル』未経験の方には
どんなことをお伝えしたいですか?

松村

まず未経験の方には、スカッと遊べる・・・。

岩田

「スカッとさわやか」みたいな感じですか?

松村

そうです(笑)。
さわやかに遊べる、夏らしいゲームです。
いや、冬に遊んでも楽しいんですけど、
いまは夏ですから、スカッと遊んでほしいと思っています。

岩田

携帯機との相性がいいゲームですか?

松村

そうですね。そう思います。
Wiiウェアから3DSに移行するときに、まず考えたのは、
このゲームは、何人の人が電車を乗り越してくれるかで
価値が決まるんじゃないかと思ったんです。
もし、このゲームのせいで
電車を乗り過ごすようなことがあれば
「乗り過ごしたー!」と教えていただければ、
僕はすごく喜びますし、
それだけ夢中になれるものをつくったつもりです。

岩田

でも、東京のように、電車の本数が多かったり、
駅の区間が短い場所で、ひと駅乗り過ごすのは
まあかわいいと言えるんですけど、場所によっては、
とんでもない事態になることもありますので(笑)。

小澤

新幹線だと取り返しがつかないですし(笑)。

松村

あ、そうか・・・。

一同

(笑)

岩田

でも、それくらいのことが起こると、
つくり手冥利につきるということなんですよね。

松村

はい、なので、電車のなかで遊ぶときは、
ぜひ乗り過ごしにご注意ください。

岩田

わかりました(笑)。
経験者の方には、どう説明しますか?

松村

Wiiウェア版をつくったときは、
しっかりチューニングをしましたので、
「手触りがいいよ」というのがウリだったのですが、
今回はさらにその部分により磨きをかけました。

岩田

手触り感がさらにパワーアップですか。

松村

はい。それから、携帯機であっても、
ボリューム感が増していますので、
とても長く遊んでいただけるゲームになったと思います。

岩田

単純に終わるようなことがなく、
長年のお供になるゲームになる可能性もあるんですね。

松村

ぜひ、そうなってほしいですね。
それにクリア後には、ちゃんとお楽しみを用意していまして、
経験者の方は、そこもたっぷり楽しんでいただけると思います。

岩田

経験者の方にとっては、
ある意味、クリア後が本番のようなイメージなんですか?

松村

そうです。ちょっとハードなんですけど、
もちろん僕らもそれを遊びますし、
みなさんにも遊んでもらえたらうれしいですね。

岩田

では、石原さん、お願いします。

石原

ゲームというのは、初めての人にとって、
最初のつかみがとても大切だと思っているんです。
Wiiウェアの『乱戦!ポケモンスクランブル』をつくったときは、
最初の30分で十分に満足してもらえるつかみがあれば、
そのあとはずっとついてきてくれると思って、
そのようなつくりにしましたが、
今回のような携帯機の場合、最初の10分のつかみで、
「よし!」と思っていただけるのか、
それとも「ちょっとしんどい・・・」と感じられるのかで、
このソフトの評価が決まると思っていましたので、
その意味で、最初の10分を仕上げることを
すごく大事にしてつくりました。

岩田

その最初の10分に関しては、
スタッフの間ですごくやりとりがあったそうですね。

石原

そうです。
今回はとくに物語をしっかり紡(つむ)ぎましたので、
こういうおもちゃの世界があって、
そこでどういう問題が起きて、
何を解決する話なのかということを
序盤でたくさん語りたくなってしまうんです。

岩田

設定が大きくなればなるほど、
どうしても前置きが長くなってしまって、
アクションゲームなのに
すぐに遊べなくなってしまうんですね。

石原

そうなんです。
やっぱりアクションゲームは
「画面が出たらすぐにアクション」というのが大事で、
「次、何をすればいいの?」「あ、こんなことがあるんだ」
というところの引き込みが、いちばん重要なんですよね。
なので今回は、最初の10分から30分のなかで、
どれだけ面白いゲームなのか、ということを
わかっていただけるようにしまして、
そこで「これは自分でもできる」と思ってもらえたら
最後まで遊んでいただけると思いますし、
ポケモンの種類や深さには
間違いなくかなりのボリュームがありますので、
ぜひ楽しんでみてください。

岩田

はい。経験者の方に対しては?

石原

経験者の方には、さっき小澤さんが
「これが本番です」と、ひとことで言い切ったように、
『ポケモンスクランブル』の集大成のような
ソフトになったと思います。

岩田

『ポケモンスクランブル』究極の進化型なんですね。

石原

そうですね。
なので、Wiiウェアを経験した方は
3DSで進化した『ポケモンスクランブル』の完成版を
ぜひ深く味わっていただきたいと思います。

岩田

タイトルに『スーパー』が付いたのも、
そういう理由からなんですよね。

石原

そうです。

松村

当初は、『乱戦!ポケモンスクランブル』の文字を抜いて、
『ポケモンスクランブル』だけにしようという案もあったんです。
でも、それではわかりづらいだろうと。

石原

なんか減った感じがするんです。
『乱戦!』のなくなった『ポケモンスクランブル』だ、と
そう思われるのはちょっと・・・と思ったので、
もう少し進化したものがイメージできる単語が欲しいということで、
任天堂といえば、やっぱり『スーパー』でしょうと(笑)。

岩田

あははは(笑)。
そういうことですか。

石原

ええ(笑)。

松村

『大乱戦!ポケモンスクランブル』というのも
考えたんですけど(笑)。
これはこれでどこかで見た感じがしますし。

岩田

はい(笑)。

松村

でも、自分が言うのもなんですけど、
とてもいいタイトルになったと思います。

岩田

そうですね。
では最後に、石原さんに
訊こうと思っていたことがあるんです。

石原

はい。なんですか?

岩田

数あるポケモンタイトルのなかで、
ニンテンドー3DSのパッケージソフトの第一弾として、
これを世に問う、石原さんの、その心は何なんでしょうか?

石原

・・・それは「いちばん遊びやすいゲームだから」ですね。
やっぱり新しいハードというのは、
いろんなポテンシャルや機能を秘めていますけど、
今回の3DSは、それがてんこ盛りのところもあって。

岩田

新しい機能がいろいろありますからね。

石原

そのような新しい機能をふんだんに使って、
遊びに拡げていくことを、一方では行いつつ、
シンプルにスッと入って、長く遊んでもらえるゲームこそが、
ロングテールの商品として位置づけられますので、
「それにいちばんふさわしいポケモンタイトルでは何かな?」
と思ったときに・・・。

岩田

それが『ポケモンスクランブル』だったんですね。

石原

そうです。
最初にも言いましたように、
アクションゲームが苦手な家内が最後まで遊べたことは
すごく大きいことだと思っているんです。
それと同時に、おもちゃのポケモンを集める遊び自体が、
女性にも十分、楽しんでいただけることもわかりましたので、
このタイトルでスタートしてみたいと思ったんです。

岩田

ですから、アクションゲームが好きな人はもちろん、
そうでない人も、このゲームを遊んでみたら
面白さがわかっていただけるタイトルなんですね。

石原

そうです。
「3DSの最初に出すのにふさわしい、
万人に向けたタイトルになった」と思います。

松村

石原さんの奥さんが、という話ですけど、
じつはアンブレラのスタッフの嫁さんたちも
このゲームを楽しんでいるんです。
なので、パッケージのデザイン
かわいい感じになったのがうれしいですよね。

岩田

そもそもWiiウェアでは
パッケージ自体がありませんでしたからね。

松村

そうなんです。
なので、店頭で見るのがとても楽しみです。

岩田

わかりました。
みなさん、今日はありがとうございました。

一同

ありがとうございました。